NTTドコモは10月11日午前10時、自社の公式Xアカウント(@docomo)において、JR名古屋駅ホームにおける通信環境の改善に向けた取り組みを発信した。
愛知県の主要な玄関口となるJR名古屋駅のホームにおいて、通信環境のスピードアップを達成したことを投稿した。通信環境を改善した主な要因として「ホームへの基地局設置」と「エリアチューニング」という2つの対策を提示し、新幹線ホームで動画を快適に視聴できる状態へ改善した状況を伝え、今後はホームにとどまらず駅構内や駅周辺の通信強化も推進する計画を示した。
さらに、自社サイトでは現場での工夫や今後の取り組みの詳細をまとめている。
多くの利用者が行き交うJR名古屋駅では、長年にわたり通信品質の維持が大きな課題となっていたという。
同駅プラットホームの通信は、従来は駅周辺に設置した基地局の電波でカバーしていた。しかし、大勢の顧客が一斉に通信を利用する環境では十分な容量の確保が困難だったそうだ。加えて、駅構内には巨大な屋根や複雑な構造物が多数存在するため、電波が遮られて一部エリアに届きにくい構造的課題も存在したとしている。
ドコモが公開した2023年5月時点の測定データでは、JR名古屋駅の在来線ホームの一部でダウンロード速度が1Mbpsを下回る事態を計測していたという。この通信速度は、スマートフォンでのWeb閲覧や動画再生には不十分な数値であり、快適な通信サービスの提供には程遠い状態だったと分析している。
こうした深刻な通信品質の課題に対して、NTTドコモは継続的なエリアチューニングを実施してきたが、さらなる抜本的な対策強化を推進した。
東海旅客鉄道の全面的な協力を得ながら、新幹線および在来線のプラットホームへ直接基地局を設置する施策に踏み切った。通信品質改善の核となった対策は、ホームへの基地局設置とエリアチューニングの2点に集約される。
1つ目の対策に掲げるホームへの基地局設置では、迅速な課題解決を最優先する判断を下した。
当初の計画段階では、複数の通信事業者が共通の設備を利用するインフラシェアリングの導入も検討した。しかし、深刻化していた通信品質の問題へいち早く対応するため、東海旅客鉄道と緊密な調整をおこなった上で、NTTドコモが単独で先行して基地局を整備する方針を決定した。
実際の施工にあたっては、各プラットホームの構造や既存設備の配置状況がそれぞれ異なっていたという。そのため、現場の環境に合わせて設置位置や機器の構成を個別に細かく設計する緻密なプロセスを重ねた。作業をおこなえる時間帯は、列車の運行が停止する終電から始発までのわずかな深夜の時間帯に限られた。厳しい時間制限のもとで安全かつ確実に工事を進め、新幹線ホームにおける基地局整備を完了させた。現在も在来線ホームにおいて順次整備を進めている。
2つ目の対策にあたるエリアチューニングは、電波の干渉や集中を防ぐ上で極めて重要な役割を果たした。
プラットホームへ新しい基地局を設置すると、発射された電波は狙ったホームだけでなく隣接する別のホームへも届く特性がある。そのままの状態で運用を開始すると、隣のホームにいる利用者の通信まで新しい基地局へ一斉に集中してしまい、設備全体の処理能力を超えてしまうリスクが生じるという。
この問題を回避するため、電波の届く距離や出力の強さをきめ細かく調整するチューニング作業が不可欠となる。新設した基地局から電波を発射するたびに、ホーム上の設備だけでなく、名古屋駅周辺をカバーしている既存の基地局も含めて広範囲なエリアチューニングを繰り返し実施した。こうした泥臭い調整の積み重ねによって、隣接エリアとの電波干渉を防ぎ、安定した高品質な通信環境を確立した。
名古屋駅周辺では今後も都市の再開発が進行し、人流や通信需要の変化が予想される。さらに将来的なリニア中央新幹線の開業に伴い、移動や滞在に伴う通信量は一層増大することを見込んでいる。NTTドコモは、こうした変化を的確に捉え、名古屋エリア全体の通信環境を継続的に改善していく方針だ。
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