翌日は深センから車で1時間ほどの東莞市にある松山湖キャンパスを訪れた。着工は2015年、完成は2018年で、約130万平方メートルの敷地を12のエリアに分けて128棟が建つ。研究開発者2万5000人の職場だ。
12のエリアはそれぞれパリ、ハイデルベルク、ブルゴーニュ、ヴェローナなど欧州の街になぞらえている。ヴェローナのエリアにあるローマ風の円形劇場では音楽会などを開き、新製品の発表会の映像にも登場する。中央に立って手をたたいたり声を出したりすると、エコーがかかったように反響する。
構内には3路線の列車が走り、どのエリアにも駅がある。環状線の1号線は13分で8つの町を回り、2号線は20分、3号線は30分で一周する。最初の1編成はスイス製で、以降は中国製となる。
図書館はパリ市庁舎を模した建物に入る。内部はフランス国立図書館のリシュリュー館を模した楕円形の閲覧室で、天井近くの16の窓には東京、北京、パリ、ロンドンなどの都市名が入る。11万冊の蔵書は中国語と英語が中心で、日本語や韓国語を含めて20言語に及ぶ。貸し出しはせず、館内で読む。1713年に英国で刊行されたニュートンの「プリンキピア」第2版も展示していた。
街並みはテーマパークのようだが、ここはれっきとした製品開発の拠点だ。一角にある音響の研究室では、無響室にマネキンヘッドを置き、イヤフォンの雑音への耐性を試している。欧州風の外観とは裏腹に、扉の内側は機材が並ぶ雑然とした研究の現場で、中の撮影はできなかった。写真で見せられるのは街並みまでだ。
日本の店頭に並ぶHuaweiの製品はスマートウォッチやイヤフォンが中心だが、それを送り出している場所は、湖を渡って欧州の街を一周する列車が走る街だった。1日歩き回っても、そこが単一企業の拠点であることを忘れてしまうほどの圧倒的なスケールだった。
(取材協力:ファーウェイ・ジャパン)
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