NTTは国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究に基づき、「革新的衛星技術実証プログラム」の一環として小型実証衛星4号機に低軌道衛星MIMOおよびIoT伝送装置(LEOMI)を搭載し、世界初となる軌道上実証実験を実施した。2025年12月14日に衛星を打ち上げ、2026年3月より定常運用を開始している。
衛星から地上基地局への通信(フィーダリンク)における低軌道衛星MIMO伝送試験では、送受信アンテナを1台ずつ用いる従来のSISO伝送と比較して、2026年5月5日の2×2 MIMO実証実験で伝送容量が平均約1.94倍、5月24日の3×3 MIMO実証実験で平均約2.67倍となり、アンテナ数の増加による大容量化効果を確認した。さらに、事前構築した通信路モデルによる伝送容量のシミュレーション値と実測値の変動トレンドが高精度に一致することを確認しており、想定する衛星軌道情報に基づくアンテナ数や地上局配置の解析的な最適設計が可能となる見通しを得た。
衛星センシング技術の実証実験では、無線局免許が不要な920MHz帯のLPWA(Low Power Wide Area)信号を用い、地上の異なる2地点にあるIoT端末から同一時間・同一周波数で同時送信された電波を衛星上で受信した。受信信号には2端末からの波形が重なっていたものの、信号処理および復調処理を適用することで良好に分離・復調することに成功した。これにより、地上の離れた2地点にある小型・省電力な端末が同一時間・同一周波数で同時通信できることを確認した。
なお、本研究成果は宇宙事業ブランド「NTT C89」の取り組みの一環として、2026年11月18日から25日に開催される「NTT R&D FORUM 2026」にて展示予定だ。
衛星センシングの実証実験で、920MHz帯LPWA信号を用い、地上2地点のIoT端末から同一時間・同一周波数で同時送信された電波を受信。重なった波形を信号処理と復調処理により良好に分離・復調することに成功した本技術は、NTTが推進する「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想」における超広域衛星センシングプラットフォームの構築に向けた不可欠な要素技術。低軌道衛星MIMO技術の確立により、通信周波数の利用効率を高めて伝送速度の大幅な向上や収容端末数の拡大が実現する。観測衛星による高精細画像やレーダー情報の高速伝送が可能となり、気象情報や地形変化の把握、海洋観測、災害予測などの観測精度向上に寄与する。
また、衛星センシング技術により地上基地局を介さない接続が可能となるため、海洋や山間部など地上通信網が未整備なエリアにおけるインフラ設備点検、環境モニタリング、スマートメータ等のIoTサービスを低コストで広域展開できるようになる。今後約1年間の定常運用を通じて多角的な実験を重ね、技術確立を目指す。
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