2015夏のauはリアルへの取り組みを加速 モバイルと結びつけて“生活革命”を:新機種より物販重視?(2/2 ページ)
「スマホ・タブレットの進化がひと段落した」と言われる今日この頃。2015年夏のauは「モバイル」と「リアル」をつなげる取り組みの強化で、競合他社との差別化を図る。
au WALLETはさらに拡大 ポイントのためやすさ・使いやすさで勝負
2014年5月に始まった「au WALLET」のサービス。中核となるMasterCardプリペイドのカード会員数は2015年5月に1200万を突破した。その使い方は、田中氏の予想を超えるものもあるようで、使い方の事例を交えつつ、ポイントをどこでもためやすいことをアピール。au WALLETのポイントアップ店の広がりも紹介した。
2014年10月に発行開始した「au WALLETクレジットカード」も順調に会員数を増やしているという。5月下旬には、クレジットカードの国際ブランドにMasterCardも加え、さらなる会員数増を目指す。
子会社のKDDIフィナンシャルサービスが発行するau WALLETクレジットカード。5月下旬からはMasterCardブランドの募集も開始する予定。Visaブランド同様、三菱UFJニコスのライセンスを利用して発行する
auショップを物販の拠点にする「au WALLET Market」
いろいろな店舗で使え、ポイントをためられるau WALLET。一方で、ユーザーからは「なぜauショップでは端末とアクセサリー“しか”買えないのか」という意見が寄せられているという。そこで、auショップを活用し、食品をはじめとするさまざまな商品を購入できる「au WALLET Market」を2015年夏に開始する。まず、KDDI直営の4店舗からスタートし、順次、そのほかのauショップにも拡大していく予定だ。
KDDIがコマース(物販)事業に本格的に参入する背景として、Eコマース(ネット通販)とリアル店舗のオムニチャネル化(店舗だけでなく、ネット・電話通販など、さまざまな方法で同じ商品を買えるようにすること)が進んでいることがある。auショップという接客窓口を活用して、その動きに“取り残されている”ユーザーに安心して買い物をしてもらおう、というのだ。
商品は、購入頻度が高い日用品や食品だけでなく、厳選米や無農薬野菜といった「いつもよりちょっといいもの」も、全国のパートナーと連携して提案型商品として取り扱う。また、KDDIが東京・原宿に“こっそり”出店していたモバイルアクセサリーショップ「HYPER MARKET」で扱っているスマホグッズも販売する。将来的には、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に関連する物品も取り扱う予定だ。
auショップでは、来店したユーザーがタブレット端末で商品を購入する。決済方法は現金のほか、auかんたん決済やau WALLETポイントを選択できる。商品は原則として契約住所に届くが、スマホグッズなど、保存にスペースや設備を必要としないものについては注文したショップで受け取れるオプションも用意する。定期購入商品については、追加・変更をauショップだけではなく、Webやauお客様センターでも行えるようになっている。まずは、KDDI直営の4店舗からスタートし、今後、代理店が運営するauショップでも取り扱いを始める予定だ。
さらに、au WALLET Marketでは、auスマホ用の通信販売サイトも展開する。通販サイトでは、最近KDDIグループに加わったルクサと協業し、高級レストラン、エステや舞台チケットの「体験型商品」や、地方の特産品も取り扱う。
今回の発表会では、au WALLET Marketの説明により長い時間が割かれた。iPhone、Xperiaといった日本国内でブランド力のあるスマホはどのキャリアでも販売されるようになり、通信面でも、以前のような有意な差はあまり見られなくなってきている。そんな中で、KDDIは、auショップを活用した商品販売に注力して差別化を図ろうとしている。
筆者も質疑応答で質問したが、この取り組みは、ただでさえスマホシフトで待ち時間が延びる傾向にあるauショップでの待ち時間がさらに延びる可能性が否定できない。その点について、田中社長は「(au WALLET Marketは)待ち時間の有効活用策でもある」とコメント。つまり、手続き待ちの間に商品を選んでもらおう、ということだ。しかし商品について店員に質問をすると、その対応でさらに待ち時間が延びる、という懸念はぬぐいきれない。また、ショップ店員に必要となる知識量が増えて、負担が増してしまうところも心配だ。ユーザーやショップ店員双方にとって“Win-win”となるように、うまくサービスインできることを祈りたい。
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