分かりにくいけれど面白いモノたち

紙にもiPadにもそのまま書ける驚きのペン、ゼブラ「STYLUS 2WAY」開発秘話 “失敗”を逆手にとったアイデアとは?(4/6 ページ)

 「最適化じゃないですけど、いろいろいいチップを選んで、ボール回転時はゲルインクを排出できて、ボールが回らないときはインクが出づらい、となるような隙間が絶妙なチップを探しました。また、そのチップに合わせてインクを何度も試作し、書き味とボールの回転を調整して作ったんです。だから、インクとチップは一緒に開発していきました」と田中さん。

スタイラスツーウェイのボール部分の拡大写真
こちらは普通のゲルインクボールペンのボール部分。上のスタイラスツーウェイと比べると、インクの付き方やボールの付き方が全く違うことが分かると思う

 「今まで紙に書けるようにするための試験しかやってこなかったんですけど、今回は“あえて書けない場所”を設定したので、そこで書けないことを確認するための試験を新たに作らなきゃいけなくて、それも大変でしたね」と田中さんが言う通り、従来、筆記具メーカーがやってこなかったというより、やる必要が全くなかった試験が必要になるという点だけでも、この製品の特殊性が分かると思う。

 同時に、筆記具メーカーがこれまで積極的にスタイラスペンの開発を行わなかった理由も分かる。当たり前ではあるが、紙に書くペンと画面に書くスタイラスは同じ書くでも全く違う「書く」なのだ。スタイラスツーウェイを初めて使うとまず驚いてしまうのも当然なのだろう。

“寝かせ書き”は避ける

 もちろん、直接画面に金属で触れるわけだから、画面に傷を付けない製品にすることは重要だ。これが自主製作製品ならば、「自己責任でお願いします」で済むところだが、メーカーが製品化するというのは、「できる、できない」とは全く違うところで完成度を上げていかなければならない。アイデアを形にするというのは、アイデアを出すこと以上に難しいというのは、モノづくりの現場では当然なのだ。

 「なので、“寝かせ書き”(ペンを60度以下に寝かせる書き方)は避けてくださいという点はきちんと周知しなければと考えています。ボールペンとしての耐久性や剛性がどうしても必要な部分は、硬かったり、エッジが立っている部分があって、例えばボールを支えているエッジなどがガラス面に当たると傷がつく可能性があるんです」と田中さん。

 ボールペンのチップのエッジ部分は、それこそ普通のボールペンでも、そこが紙に当たって書き味が悪くなることもあるくらい、筆記面に当たりやすいパーツ。だから、三菱鉛筆の「エッジレスチップ」のように、その部分の角をなくした構造のチップもあるくらいなのだ。ボールを支える部分ということもあり、ここが擦れないように書くのは、このスタイラスツーウェイ使用上の制限として当然だろう。

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ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。

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