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» 2004年12月29日 21時39分 UPDATE

「ひと皮むけた」──そんな2004年だったかな (2/3)

[ITmedia]

ガリバーNTTを揺さぶるソフトバンク

 2004年の通信業界の台風の目はソフトバンクだった。日本テレコムを買収し、直収型の固定電話サービス「おとくライン」をスタート。ソフトバンクは現在、Yahoo!BBのテレマーケティング部隊の大半を「おとくライン」に振り向け、ユーザー獲得に全力を挙げている模様だ。

 KDDIも直収型サービス「メタルプラス」をスタート。先行して「CHOKKA」サービスを展開していた平成電電は「直収型サービスの営業秘密を日本テレコムに流用された」として提訴した。

 新電電に包囲されたNTTはIP化と光化に活路を見出す方針を打ち出した。これに合わせ、固定電話の施設設置負担金、いわゆる加入権の廃止方針を決め、2005年から段階的に値下げする。

 加入権料の返還については、既にNTTドコモが最高裁まで争って勝ち取ってるように、NTTは「義務はない」との立場だ。取引業者や一般ユーザー以上に困るのは、大量の加入権を持つ企業ユーザー。現在は無形固定資産として計上しているが、来年導入される減損会計の対象になれば損失計上を余儀なくされる。損失処理の際の優遇など、何らかの措置が必要との強い要望が出ている。

プロ野球に近づくIT

 プロ野球チームの大阪近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの合併騒動が持ち上がった際、ITmediaを含むITニュース系メディアはまさかこんな騒ぎに巻き込まれるとは思わなかっただろう。

 ライブドアがバファローズ買収に名乗りを上げると後はジェットコースター状態。堀江貴文社長は一般にも知られる有名人となったが、最終的に新規参入を果たしたのは楽天だった。

 さらにクリスマスにはソフトバンクによる福岡ダイエーホークス買収が正式決定。2005年のパシフィックリーグには、IT企業がオーナーの新球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」と「福岡ソフトバンクホークス」が加わる。楽天の三木谷浩史社長が「ネット企業の参加は自然な流れ」と語ったように、新興IT系企業が社会的に認められる一歩となった。その分、果たすべき責任も重い。

本格化する音楽配信

 「絵に描いた餅ではないか」と疑われてきたネット音楽配信だが、一気に実用ステージにのせてしまったのはAppleのiTunes Music Store(iTMS)。12月16日には販売楽曲が2億曲を突破。「iTunesはダントツで世界ナンバーワン」と高らかに宣言したジョブズCEOに誰も異論はないだろう。まだ国内からは正規には購入できないが、日本での開始は「できるだけ早期」を目指して準備が進んでいるようだ。

 となれば早くから音楽配信を手がけてきたソニーが黙っているはずもなく、欧米で「Connect」をスタート。ところが米国人には「それはiPodで聴けるのか」と真顔で聞かれる始末。ついにはATRAC3一本槍の従来方針から、MP3“も”対応する方針へと転換。「21世紀のウォークマン」とのふれこみで登場した「プレイステーション・ポータブル」(PSP)はエクスプローラからドラッグ&ドロップでMP3を転送できるようになっている。一般のMP3プレーヤーでは当たり前の機能ながら、風向きの変化を感じ取ったユーザーも多いだろう。

 エイベックスソニー・ミュージックエンタテインメントによるCCCDの方針変換も、iTMSの間接的な“勝利”と言えそうだ。来年にも始まりそうなiTMS日本版を迎撃すべく、国内でも音楽配信への取り組みが本格化した。OCNやエキサイトなどの大手ポータルが続々と参入し、MSNもWindows Media Player 10のリリースと同時に本腰を入れ、「MSNミュージック」がオープン。同サイトではソニー系のレーベルゲートがWindows Mediaを採用して参加したことでも関心を集めた。

 オリコンが計画したチャート連動型配信も期待が高いのか、同社の株価の値動きはストップ高が連発する異様な展開になっている。

デジタル景気にわく国内メーカー

 薄型TV、DVDレコーダー、デジタルカメラの“新・三種の神器”でエレクトロニクス産業は活況を呈した。

 薄型TVではPDPと液晶に加え、キヤノン・東芝によるSEDが姿を現した。「大画面TV」とくくればセイコーエプソンのようにリアプロジェクション型の国内普及に力を入れ始めたメーカーも現れ、市場内競争も目立ってきた。

 レコーダーはHDD内蔵型が400Gバイトに大容量化。下位モデルは価格下落が進んだ。HDDとDVD、VHSが一体化した3in1モデルの人気も高い。デジカメは国内は飽和気味で各社とも販売計画の下方修正を迫られたが、海外市場は好調で市場の成長は当面続く。

 過熱するHD DVDとBlu-rayの次世代光ディスク規格争いでは、両陣営ともハリウッドの映画会社の取り込みに躍起になった。しかしハリウッドは極めてしたたか。本格的な普及はまだ遠い次世代規格のどちらかの陣営と心中するつもりなどあるはずもなく、ソニーの安藤国威社長が語った「現在の支持表明は、これまで親しかったからという程度の話」というコメントはむしろハリウッド側の本音だろう。

 デジタル景気には年後半からブレーキがかかり、2005年は調整局面に入ると予測されている。しかしメーカーは「あくまで一時的」と見ており、設備投資方針などに大きな影響はなさそうだ。

 国内企業が持つデジタル関連特許をめぐる訴訟が頻発したのも今年の特徴。PDP特許侵害で富士通がSamsungを訴えたのを始め、シャープによる台湾製液晶TVの販売差し止め請求は小売店も巻き込んだ騒動になった。松下によるLG製PDPの販売差し止め請求は日韓の二国間問題にもなり、東芝はNAND型フラッシュメモリの特許を侵害されたとしてHynixを提訴した。

 DRAMや液晶で苦汁をなめてきた国内メーカーも、今回はただ乗りを許さない強硬な姿勢で臨んでいる。巨額を投じてようやく収穫期を迎えた市場を荒らされてはたまらない、との思いが強いためだ。

 例えばフラッシュメモリ市場の価格下落の要因の一つに、Hynixなど実績のない新規参入メーカーによるスポット市場への安値放出が挙げられている。東芝の提訴はこれをけん制するねらいだ──という見方がある。年末になって日立グローバルストレージテクノロジーズによる中国GS Magicstorの提訴も明らかになるなど、日系企業とアジア系企業との知財摩擦は激しさを増す一方だ。

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