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Netbookは企業市場に食い込めるか?帯に短し(2/2 ページ)

» 2009年05月25日 15時51分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK
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 企業にとってNetbookにはもう1つ問題がある。Netbookの居場所がないのだ。企業でのインターネット利用が高まるのに伴い、従業員はますますスマートフォンに依存するようになってきた。プロフェッショナルワーカーたちはオフィスのコンピュータのそばにいないときには、iPhoneやBlackBerryなどの携帯端末を使って会社と接続している。従業員たちがコンピュータを使える環境にあるときに必要なのは、彼らのニーズを処理する能力を備えた製品――例えば、2.4GHzプロセッサとDVDドライブを搭載したノートPCだ。業務をきちんと処理できるOS――例えば、Windows XP Professionalも必要だ。早い話、オフィスではノートPCかデスクトップが必要とされるのだ。

 Netbookはこの2つのニーズのちょうど中間に位置する中途半端な存在なのだ。ASUSのEee PCはBlackBerryほど小さくはなく、携帯性に劣る。AcerのAspire OneはHPのノートPCほどパワフルではない。それにNetbookは本来、よりポータブルなコンピュータという位置付けの製品なので、企業にとってはそれを従業員のために購入する理由が分かりにくい。要するに、モバイルアクセス用の小型デバイスおよび本格業務用のパワフルなデバイスが既にあるのであれば、Netbookが入り込む余地はどこにあるのか、ということだ。この疑問にはまだ答えが出されていない。

生産性

 Netbookの支持者たちは、Netbookがユーザーの生産性低下を招くことはないと主張する。しかしほとんどのNetbookのキーボードが標準のキーボードよりも小さいことを考えれば、そういった議論は成り立たないだろう。わたしは多くの機会でNetbook上で長い文章を入力しようとしたことがあったが、手が引きつってしまい、非常に多くのタイプミスをしてしまった。キーボードが小さ過ぎるので、こういった長文入力には向いていないのだ。わたしはNetbookのキーボードに慣れることはできなかった。この点を認識すれば、企業がノートPCの代わりにNetbookを導入して同じ生産性を実現できるとは言い難い。従業員は文書を入力するのに苦労し、基本的な作業でも快適には実行できないだろう。もちろん、Netbookのパワー不足のスペックが能率低下を招く恐れもある。Netbookが仕事の足手まといになりかねないのだ。

 これは、企業でNetbookを検討する際に忘れてはならないポイントだ。Netbookは一部の人にとっては便利かもしれないが、ことビジネスに関しては厄介な邪魔者にほかならない。

 企業にはNetbookの居場所はない。

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