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米Yahoo!のバーツCEO、Microsoftに検索部門を売却する可能性を示唆「巨額の現金」が用意されれば

» 2009年05月28日 11時25分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 米Yahoo!のキャロル・バーツCEOは5月27日、米カリフォルニア州カールズバッドで開催された第7回年次カンファレンス「D: All Things Digital」でのインタビューで、多額の現金と引き替えにYahoo!の検索部門をMicrosoftに売却する意思があることを示唆した。

 ITコラムニスト、カーラ・スウィッシャー氏のインタビューの中でバーツ氏は、「巨額の現金と適切な技術が用意されているのであれば」、Yahoo!は検索部門をMicrosoftに売却するつもりだと語った。

 「Yahoo!を丸ごとMicrosoftに身売りするつもりはあるか」との質問に対し、バーツ氏は「それには膨大なお金が必要だ」と答えた。両社間の話し合いは現在も継続中のようだ。

 さらにバーツ氏によると、ジェリー・ヤン元CEOが最初に同氏に接触してCEO就任を打診したときは、同氏はこれを断ったらしい。ヤン氏が再びアプローチし、手描きのYahoo!組織図を見せて説得を試みたときに、初めてバーツ氏の好奇心が刺激されたという。

 「彼はそこかしこに矢印を描いた。まるでディルバートのマンガのようだった」とバーツ氏は取材で語った。「もっときちんとした構造の組織にする必要があると感じた。それはわたしが得意とするところだった。だから仕事を引き受けたのだ」

 Yahoo!は昨年、ヤン氏がMicrosoftの買収提案を拒絶したことで株価下落を招き、同氏はその責任を取る形でCEOの座から退いた。しかしバーツ氏はその後、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOと会談を重ね、提携の可能性も含め、さまざまな問題について話し合った。

 伝えられるところによると、両社の提携の可能性としては、MicrosoftがYahoo!の検索広告事業を担当し、Yahoo!は総合ディスプレイ広告事業を運営するという形態も考えられる。MicrosoftとYahoo!は交渉に関する正式なコメントを差し控えており、バーツ氏は今年3月、話し合いは“非公式に”行われていると述べた。

 MicrosoftとYahoo!の両社はGoogleと激しい競争を演じている。米市場調査会社comScoreによると、今年3月時点でのコア検索市場におけるGoogleのシェアは63.7%で、Yahoo!の20.5%、そしてMicrosoftの8.3%がそれに続く。

 Microsoftは今週、新しい検索エンジンを発表すると伝えられている。「Kumo」のコードネームで呼ばれる新検索エンジンは、「Bing」という名前でリリースされるようだ。

 一方、検索エンジン市場でのシェア拡大を目指すYahoo!は、多数の新製品および自社のコア検索技術の機能強化を発表した。SearchMonkeyでは、ビデオ、ゲーム、スライドを検索結果に組み込めるようになった。Yahoo!の位置情報プラットフォーム「Fire Eagle」をベースとした「Friends on Fire」などのアプリケーションも、同社の製品に新たな機能を追加する。

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