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Microsoft、真の脅威はGoogleの検索技術ではないMicrosoft vs. Google(2/2 ページ)

» 2009年07月23日 17時11分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK
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Chrome OS

 Microsoftはとにもかくにも、オンライン用OS分野に注意を集中する必要がある。Googleは最近、Netbook市場でMicrosoft Windowsに対抗する「Chrome OS」の計画を発表した。しかし、Googleがそこでとどまるとは誰も思ってはいないだろう。GoogleはOS市場で今後も攻勢を強め、あらゆるタイプのコンピュータのユーザーを引きつけるために最大限の努力をするだろう。GoogleはOS市場に進出したいだけではない。OS分野の将来はWebにあると同社は確信しており、Microsoftが同社の動きに効果的に反撃する準備が整う前に、この分野を支配したいと考えているのだ。

 Microsoftはそのことを理解しているようだ。同社も「Gazelle」プロジェクトを発表した。現時点では、Gazelleはシステムリリースを管理する機能を備えたブラウザベースのOSの開発モデルという位置付けだ。それはChromeよりも強力なように思える。だが、この計画が実を結ぶかどうかについては、まだ何とも言えない。しかしGoogleがオンライン用OSを提供し、この分野の支配を不動のものにするのをMicrosoftが許すとは思えない。

Office

 Microsoftのもう1つのコアビジネスがMicrosoft Officeだ。このスイートはコンシューマーにも企業ユーザーにも人気がある。Microsoftにとって最大の収益源の1つでもある。そのことを考えれば、MicrosoftはGoogle、そして小規模企業のZohoが、Officeの本格機能を必要としないユーザーを引き付けている現状を憂慮すべきだ。こういったユーザーはインターネットにアクセスするだけで、簡単な文書や表計算ドキュメント、プレゼンテーションなどを手早く作成することができる。Googleが、Chrome OSを通じてGoogle Docsに簡単にアクセスできるようにするという約束を果たせば、Microsoftは困ったことになるだろう。Microsoftに有利に作用した相乗効果が、今では同社に不利に働いているのだ。

 Microsoftがソフトウェアのオンライン化の取り組みを強化する必要があるのも、まさにそれが理由だ。検索技術はGoogleによるオンライン分野の支配に貢献し、Microsoftも新しい検索エンジン「Bing」を投入したが、Microsoftのコアビジネスは検索ではない――ソフトウェアなのだ。Googleがオンライン分野をリードするのを許していれば、追い付くのがますます困難になるだろう。それは売り上げと利益率の深刻な低下を意味しかねない。

 ただし、その影響が現れるのは何年も先のことだ。Microsoftは当分の間、高機能アプリケーションを提供するオンプレミス(社内保有)型ソフトウェアに対する企業ニーズのおかげで優位を維持できるだろう。しかし今、新たなフロンティアにおける新たなOS戦争が始まったのだ。Googleは、Windowsの真のチャレンジャーになり得る製品の土台づくりを進めている。Microsoftが今すぐ対応しなければ、コンシューマーと企業がともにオンラインに移行しているのに、同社だけがデスクトップのWindowsにしがみつくという状況になりかねない。

 検索は短期的な関心事ではあるが、Microsoftは自社のコアビジネスに目を向ける必要がある。その分野でGoogleの進出を阻止しなければならないのだ。また、Bingばかりに関心を注ぐあまり、ソフトウェア分野をコントロールする力が弱まるといったことがないように注意する必要もある。

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