以前のタブレットPCにはいろいろと不満点もあったが、多くの企業(特に医療機関)にとってはタブレットは実に便利なものだ。まず、重要な情報に直感的にアクセスできる。また一般に、タブレットはすぐに立ち上がる。Appleのタブレットもこういったトレンドを踏襲すれば、多くの企業がその価値を見抜くだろう。それは、シンプルなコンピューティングがさらに直感的になるということだ。
ほとんどの企業は現在Windowsを使っているが、MicrosoftのWindows Vistaは、Appleに対する企業の認識を変えた。企業がソフトウェアやハードウェアを選ぶ際にAppleを検討すらしないという時代は過ぎ去った。今日、Appleのエコシステムに移行するのが正しい選択であるかどうかを検討する企業がかつてなく増えている。こういった企業では、Appleのタブレットを試しに使ってみるのが最初の一歩になるかもしれない。
会社の中で毎日を過ごす従業員は次第に少なくなってきた。顧客のオフィスに向かう車の中や、出張に向かう機内にいる方が多いという従業員もいる。こういった従業員にとっては、持ち歩きに不便なノートPCよりもAppleタブレットの方が実用的な選択肢となりそうだ。
多くの企業が見過ごしていると思われる重要な検討項目の1つが、タブレットは会議に適しているという点だ。ノートPCを会議に持ち込む従業員が増えてきたのに伴い、会議の出席者の間に壁ができてしまった。大したことではないように思えるかもしれないが、ノートPCは会議の様相を変えてしまったのだ。Appleタブレットは、この状況を一変させる可能性がある。テーブルの上(かつてはメモ帳が置かれた場所)に置いても、参加者同士のアイコンタクトが妨げられることがない。このメリットを軽視してはいけない。アイコンタクトは会議で重要な要素なのだ。
Windowsベースのタブレットの多くが失敗した最大の要因の1つが使い勝手だ。Microsoftのソフトウェアはユーザーの意図を想定して設計されておらず、ベンダーのハードウェアも満足できるものではなかった――初期のタブレットは重くて不格好なデザインだった。しかしAppleはユーザーを理解している。それに同社は、企業ユーザーを含むあらゆるユーザーにアピールするデバイスを提供する方法も知っている。
企業がAppleタブレットを何台か購入したところで、何か失うものがあるだろうか。大抵の企業は、全社的にOSを切り替えるのをいやがる。それに、Windowsで動作するエンタープライズアプリケーションもまだたくさん残っている。だから企業はMac OS Xに移行したがらないのだ。だがAppleタブレットは別だ。企業はWindowsを使い続ける一方で、Web関連業務、文書編集、電子メールの送受信といったシンプルな作業をずっと簡単にこなすことができる製品を従業員に与えることができるのだ。生産性に悪影響を及ぼすというリスクは存在しない。
Appleが何よりも望んでいるのは、iPhoneの企業進出を果たすことだ。それには、電話機能を除けばiPhoneのほぼすべての機能を備えるタブレットをリリースする以上にうまい方法があるだろうか。企業はAppleタブレットを試し、それが使いものになることが分かれば、タブレットを補完するものとして、電話機能の付いたiPhoneを従業員に与えようと考えるかもしれない。言い換えれば、企業市場でのiPhoneの普及という面で、タブレットはAppleに大きな貢献をする可能性があるということだ。両者の相乗効果は大きい。
Appleタブレットを無視すべきではない。このデバイスは企業市場で有望だ。
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