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「KDrive」が50Gバイトまで無料に スマホ向け新カメラ機能で「ローカルフォルダはもういらない」

» 2012年08月22日 18時49分 公開
[ITmedia]
photo iOS/Androidアプリに追加されたクラウドカメラ機能。アプリ内で撮影した画像を直接オンラインストレージ上にアップロードできる

 キングソフトは8月22日、オンラインストレージ「KDrive」の無料容量を最大50Gバイトに拡張した。クライアントソフトにMac OS版を追加するほか、iOS/Android向けアプリも刷新。アプリ内で撮影した写真をKDrive上に直接アップロードできる「クラウドカメラ」機能などを追加した。

 KDriveは、2Gバイトの無料オンラインストレージとして2011年5月にスタート。Webブラウザ経由でファイルのアップロードや閲覧が可能なほか、無料のクライアントソフトをPCにインストールすれば、ローカルドライブと並ぶ形で仮想ドライブを作成し、オンラインストレージと仮想ドライブを自動で同期できる。

photo 無料容量50Gバイトへの拡張方法

 今回のアップデートでは、新規登録時に30Gバイトからスタートし、チェックイン機能やユーザー招待機能などの利用によって最大50Gバイトまで拡張できるようになった。同社のオフィスソフト「KINGSOFT Office」のシリアルナンバーを入力すれば、一気に50Gバイトまで拡張することも可能だ。

 無料オンラインストレージサービスの容量としては「業界最大だと思う」と、同社の沈海寅社長は話す。DropboxやSkydribe、Google Driveといった他社サービスの無料容量は軒並み2〜16Gバイト。ネイバージャパンのNドライブは30Gバイトの無料容量を提供しているものの、50Gバイトまで拡張できる国内の無料サービスはKDriveだけだという。

photo 他社の無料オンラインストレージサービスとの比較
photo 沈海寅社長

 沈社長によると、KDriveの大容量化の背景にはスマートフォンの進化の“矛盾”があるという。「スマートフォンのカメラは高解像度化しており、撮影できる写真のファイルサイズも大きくなっている。だが、端末内蔵ストレージの容量には限界があり、micro SDカードなどの外部ストレージも32Gバイトまでしか対応していない場合がほとんどだ。こうした矛盾の中で(大容量オンラインストレージの)ニーズがかなり大きくなるのでは」

 iOS/Android版アプリに追加されたクラウドカメラ機能では、ユーザーがアプリ内で撮影した画像を直接KDriveにアップできるようになった。画像はKDrive内の「クラウドアルバム」に保存され、撮影したスマートフォンや他の端末から閲覧/ダウンロードできる。また、端末内のローカルフォルダから写真を選択してアップロードすることも可能だ。

 写真のアップロード時には、画質を「元画質」〜「低画質」の間で選択できる。ファイルサイズや通信環境によってはアップロードに時間がかかる場合もあるが、バックグラウンドでアップロードを続けながら次の写真を撮影する――といったこともできる。「スマートフォンのカメラにローカルフォルダはもういらない」と沈社長は自信をみせる。

photophoto 画面をタップして撮影する。画面全体がシャッターボタンになっているため、ズームや測距点の手動指定には未対応(写真=左)、スマートフォン内の画像もKDrive上にアップロードできる(写真=右)

 「ユーザーから要望が多かった」というMac版クライアントソフトも提供するほか、Windows版クライアントソフトのユーザーインタフェースも刷新。エクスプローラ上で仮想ドライブを開くと右側に「ナビゲーションパネル」が表示され、KDrive内のファイルのダウンロードリンクを設定する「パブリックリンク」や、他のKDriveユーザーとのファイル共有、KDrive内のファイルのバージョン管理などを簡単に行えるようにしたという。

photo クライアントソフト上でさまざまな操作が行えるようになった

 また、新たにAPIをオープン化した。これにより、他社のアプリやWebサービスとの連係が可能になるほか、ハードウェアメーカーとの協業を通じて「スマートTV」などへのプリインストールといった連係も考えられるという。

 無料版のほか、30Gバイト(6000円/年)、50Gバイト(9600円/年)、100Gバイト(18000円/年)も追加容量プランも提供する。

 沈社長によれば、オンラインストレージのユーザーは、有料サービスを使わずに複数の無料サービスを使い分けている場合が多いという。そこで同社はKDriveの大容量化を通じ、複数のサービスを使い分けていたユーザーに対し、KDriveに“一本化”してもらうのが狙いだ。

 「50Gバイトの無料容量で満足してくれるユーザーもいると思うが、すぐ足りなくなるのでは」と沈社長。まずは年内100万を目標にユーザー数を増やし、一部ユーザーへの有料サービスの提供で収益を上げていく考えだ。

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