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» 2021年11月10日 16時00分 公開

マルチスレッド性能5倍をうたう新「Raspberry Pi Zero 2 W」 その性能をいち早くチェック名刺サイズの超小型PC「ラズパイ」で遊ぶ(番外編)

ベンチマークテストを通じて新製品「Raspberry Pi Zero 2 W」の実力をチェック!

[岩泉茂,ITmedia]

 シングルボードPCのRaspberry Pi(通称ラズパイ)に新製品が登場した。10月28日(英国時間)にラズベリーパイ財団が発表した「Raspberry Pi Zero 2 W」(以下、ラズパイゼロ2)だ。価格は15米ドルで、ヨーロッパ、米国、カナダ、香港で発売済み、他の国や地域でも順次発売される。

 日本での発売時期は未定だが、国内正規代理店のケイエスワイは、工事設計認証が終了次第発売するとしている。またスイッチサイエンスは2200円という販売予定価格を示している。

 今回は国内販売に先駆けて米国で販売されたラズパイゼロ2の実機を入手できたので、その概要と性能について紹介しよう。

Raspberry Pi Zero 2 Raspberry Pi Zero 2 W

ラズパイゼロよりも「5倍の処理性能を達成」という

 ラズパイゼロ2は旧モデルの「Raspberry Pi Zero W」(以下、ラズパイゼロ)と同じサイズでありながら、SiP(System-in-Package)にはRaspberry Pi 3と同じくBroadcomの「BCM2710A1」を採用するなど、処理を高性能化している。ただし動作クロックはRaspberry Pi 3が1.4GHzだったのに対し、ラズパイゼロ2では1GHzに抑えられている。しかし、このおかげでラズパイゼロはシングルコアだったのに対し、ラズパイゼロ2はクアッドコアのSiPを利用できるようになった。このためマルチスレッド性能を測定するsysbenchにおいては、ラズパイゼロよりも5倍の処理性能を達成したという。

ラズパイゼロ2のスペック
プロセッサ Broadcom BCM2710A1、クアッドコア64-bit SoC(Arm Cortex-A53@1GHz)
GPU VideoCore IV GPU
メモリ 512MB LPDDR2 DRAM
無線LAN 802.11b/g/n 無線LAN、Bluetooth 4.2 / Bluetooth Low Energy(BLE)、オンボードアンテナ(2021年10月28日現在、工事設計認証を未取得)
マルチメディア機能 H.264、MPEG-4デコード(1080p30)、H.264エンコード(1080p30)、OpenGL ES 1.1、2.0グラフィックス
カードスロット MicroSDカードスロット
MDMI Mini HDMI / USB 2.0 OTGポート
USB Micro USB給電(5 V/2.5 A)
入出力 HAT互換の40ピンヘッダ、テストポイント経由のリセットピンおよびコンポジットビデオ
カメラ CSI-2カメラコネクター
製品寿命 最短で2028年1月まで供給予定
動作温度 -20℃〜+70℃
基板寸法 65(幅)×30(奥行き)×5.2(高さ 最大)ミリ
重さ 10g

ラズパイゼロと同じフットプリントに高性能を詰めた

 続いてはラズパイゼロ2の外観を見ていこう。表面に大きなスペースを占めている黒いチップは、心臓部である「RP3A0」で、SiCのBCM2710A1と4GbitのMicron製LPDDR2メモリが重ねて作られている。その隣にある銀色のカバーが付いている箇所には無線LANやBluetoothなどワイヤレス関係のデバイスが収められており、シールドされている状態だ。またRaspberry Pi 4では電源コネクターがUSB Type-Cに変更されたが、ラズパイゼロ2はラズパイゼロと同様にMicro USB Type-Bのコネクターが採用されている。

 すでに紹介した通り、基板のサイズはラズパイゼロと同じだ。加えてCSI-2カメラコネクターの位置とサイズの他、Micro USBコネクターの位置も同じなので、ラズパイゼロ用に発売されているケース類は、公式のものも含めて流用できる。なおRaspberry Pi Zero WHと異なり、GPIO用のピンヘッダは取り付けられていないため、40ピンのピンヘッダを別途用意する必要がある。

Raspberry Pi Zero 2 ラズパイゼロ2の表面
Raspberry Pi Zero 2 ラズパイゼロ2の裏面
Raspberry Pi Zero 2 ラズパイゼロとラズパイゼロ2の比較。右がラズパイゼロ2。左がラズパイゼロ

ラズパイゼロ2の性能をチェック

 ではここからはラズパイゼロ2の性能について検証したい。定番の「UnixBench」と、ラズベリーパイ財団の公式リリースにもあった「sysbench」を走らせた結果について見ていこう。

 ちなみに今回使っているラズパイゼロ2は国内向け製品ではないため、技術基準適合証明を取得していない。このため以前紹介した「Raspberry Pi 400」と同様に、特例制度の申請を行った上でテストを実施している。

 早速ベンチマークテストの結果を確認してみよう。ラズパイゼロ2はラズパイゼロと比べてかなり良い成績を残している。sysbenchでは“5倍の性能差”とのアナウンスだったが、スレッドのテストを行ってみたものの、さすがに5倍の差は付いていない。しかし、かつてのメインストリーム機であるRaspberry Pi 2よりも良いスコアとなっており、大幅な性能向上があったことは間違いない。

 UnixBenchを見てもシングルコア、マルチコアの両方での処理がかなり向上している。

Raspberry Pi Zero 2,sysbenchの結果−CPU(値の低い方が性能がよい)(クリックで拡大)
Raspberry Pi Zero 2,sysbenchの結果−スレッド(値が低い方が性能がよい)(クリックで拡大)
Raspberry Pi Zero 2,UnixBenchの結果(クリックで拡大)

 実際にOSをインストールして使った感触としても、Raspberry Pi 4と同様に素早い動きをしていることが感じ取れた。電源投入からの起動も素早く、SSHでリモート接続するときはもちろんのこと、VNCによるバーチャルデスクトップでも十分に活用できる。これまでのラズパイゼロだとOSの重さに注意してRaspberry Pi OS Liteを入れて使うシーンもあったが、ライブラリなどが十分に用意されていないため、挙動が不安定になることもあった。ラズパイゼロ2からは標準のRaspberry Pi OSを入れても重さを感じることなく使えそうだ。

IoTデバイスとしての活躍の場が広がる

 ここまで見てきたように、ラズパイゼロ2は前モデルのラズパイゼロと比べて大幅に性能が向上していることが分かった。

 ラズパイゼロシリーズはフットプリントの小ささが武器でもあるので、フルサイズのRaspberry Pi 4を使わなくても、小回りのよい活用方法が期待できる。今後、小型のIoTデバイスを開発する際でも、ラズパイゼロ2は活躍してくれるに違いない。ラズパイゼロ2は、ラズパイの新しい方向性が見えてくる新デバイスであるといえるだろう。

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