先週のアクセストップは、国内スマートフォンメーカーが苦境に陥った背景を解説する記事だった。そういえば筆者は若い頃、ガラケーを心から愛していたが、スマートフォンはiPhoneとPixelしか使ったことがないな……。
2位と5位は、AI生成画像を使ったグラビア写真集「生まれたて。」に関する記事だ。集英社の週刊プレイボーイ編集部が発行したこの写真集。AI生成画像への評価が揺れる中、大手出版社による参入は話題を集めた。
だが、発売からわずか1週間で販売終了。編集部は発売当初、「法務部に確認しながら適法の範囲内でやっている」と、法律面の課題は確認済みとの姿勢を示していたが、整理しきれていない問題があったのかもしれない。
大手出版社によるAIグラビア電子書籍発売は、「うまれたて。」が初の試みだったが、個人による販売は2022年後半ごろから相次ぎ、23年に入って激増している。いまKindleの「タレント写真集」書籍ランキングを見ると、有料1位がAI生成、無料は1〜10位全てがAI生成だ。
Kindle本の新刊情報などを整理しているタツヲさんのブログによると、AI生成写真集・画像数は、23年に入って指数関数的に激増しているという。タツヲさんは、「これからも加速度的に増加しそう」と予想しており、AI生成ではない本の検索性などが低下していくことを懸念している。
音楽の世界でも同じことが起きているようだ。テクノミュージシャンのSo Kobayashiさんは、Spotifyがユーザーの好みに合わせた楽曲を自動再生するRadio機能で、AIで生成された質の悪い楽曲が増えている、とブログで指摘している。これらの楽曲は、再生数・お金を稼ぐためだけを目的に作られているとみられ、Kobayashiさんは「音楽ストリーミングにはびこる毒」と表現している。
生成AIを使えば、絵や音楽の技術や経験がない人でも、「それらしい」作品を短時間で大量に作ることができる。これまでツールを持たなかった人に創作の可能性を開く、画期的な技術である一方、“粗製濫造”が起き、既存の作品や市場に破壊的な悪影響を与える可能性もある。
KindleやSpotifyでは現状、AI生成による新たな創造により、「質の低すぎるコンテンツが、ユーザー体験を損ねている」問題が目立っている。これはユーザーにもプラットフォームにも損でしかない。おそらく今後、プラットフォーム側が何らかの対策をとっていくのではないだろうか。
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