大手周辺機器メーカーのエレコムはここ数年、製品の開発や販売を中心とした従来のビジネスだけでなく、さまざまな付加価値サービスを合わせて提供するビジネスにシフトしている。店舗や宿泊施設、学校、公共施設などにWi-Fi環境の設置工事から運用保守までを一貫して提供する「Wi-Fi導入サービス」も、そうしたビジネスの一つだ。
しかし、新事業を進める中で課題も見えてきた。機器の設置やサポートなどの事業を手掛けるエレコムサポート&サービスの田中章裕部長(CS部)は次のように説明する。
「エレコムはWi-Fi設備を導入する法人向けの支援ビジネスを拡大しています。しかし、全国のお客さまの元に営業担当者と技術者が同行して足を運び、支援を行うことが難しくなっていきました」(田中部長)
Wi-Fi導入サービスは、ルーターなどの製品だけでなく、工事のあらゆる話を現場で行えるスキルが求められる。しかし、営業担当者だけでは技術的に判断しづらいことも多く、どうしても技術者の支援が必要になることも少なくない。エレコムサポート&サービスの事業所が札幌にあるため、全国各地の現場に社内の限られた技術者が同行すると移動時間も経費もかかってしまう。
そうした課題を解決したのが、Web会議システムによる遠隔同行だった。
Web会議なんて「自分は関係ない」と思っていた
田中部長はWeb会議システムを導入する前から、取引先のベンダーが営業活動を遠隔で行っているという話を耳にしていた。当時はエレコムの事業に遠隔同行のニーズがなかったため、「他社の話だろう」という認識にとどまっていた。
しかし、Wi-Fi導入サービスなどが本格化したことで、営業担当者から殺到する同行依頼にとても応えきれる状況ではないことを実感。遠隔同行の必要性を強く感じるようになった。
Web会議システムを使った技術者の遠隔同行というアイデアが浮かんだ田中部長は、すぐに同様のサービスを探し始めた。そこで最初に見つけたのがブイキューブのWeb会議システム「V-CUBEミーティング」だった。
「午前中にブイキューブのWebサイトにアクセスしたところ、テキストチャットですぐにインサイドセールスの荒木さんに相談に乗っていただき、それからおよそ2時間後には実際にWeb会議を立ち上げたデモを見せてくれました。このスピード感には感心しました」(田中部長)
とはいえ導入には他社との比較検討も必要だ。複数のサービスを候補としてピックアップし、評価用の機材を借りて試した。その結果、Web会議の映像が圧倒的に鮮明で映像や音声の遅延も少なかったことがV-CUBEミーティングを導入する決め手になった。
「Web会議で技術者が同行します」現場の反応は?
画面を通して技術者が遠隔同行する──当初は現場に出入りする営業担当者からネガティブな反応があることを心配していたという。しかし、それは取り越し苦労だった。
「仕事でWeb会議を使ったことがない人でも、多くが個人のデバイスでテレビ電話アプリを使った経験がありました。そのような状況から、Web会議システムを使った遠隔同行に拒否反応はありませんでした」(田中部長)
実際に顧客先でWeb会議を行ってみても、好意的な評価を受けることが多かったという。
「初めてV-CUBEミーティングを使ったのは、お客さま先でのトラブル対応でした。営業担当者はすぐに現場へ駆け付けましたが、技術者は同行できません。そこで遠隔同行でトラブルを回避するための設定方法を説明しました。お客さまを待たせることなく迅速に対応できたため、喜んでいただけました」(田中部長)
拠点をつなぐ「空間共有」という考え方
V-CUBEミーティングを導入したエレコムサポート&サービスでは、Wi-Fi導入サービスの遠隔同行だけではなく、社内ミーティングでも頻繁に活用するようになった。エレコムサポート&サービスの及川佳史さん(CS部 新規ビジネスグループ グループリーダー)は、手軽なミーティングを行う頻度が増えたと話す。
「営業を支援するサポートセンターは札幌にあります。オフィスには全国各地の営業拠点と結んで会議を行うテレビ会議システムが設置されていますが、他の人が使っていることも多いため、最近はV-CUBEミーティングを使ってミーティングを行うケースが増えています」(及川さん)
今後は、業務を委託する工事会社への指導や研修を行うなど、用途を広げられるように制度を整える予定だ。
「工事会社との打ち合わせは、実際に顔を合わせないと伝わらないこともあり、基本的には実際に出向いています。ただし、今後は工事会社ともV-CUBEミーティングを活用していきたいと考えています。電話による音声のやりとりだけではなかなか伝わらない話でも、顔が見えるWeb会議システムなら対応できそうです」(田中部長)
さらにエレコムサポート&サービスが活用しているのが、V-CUBEミーティングを常時接続する「空間共有」だ。
同社は6月に新しいサポートセンターを福岡に開設。サポート業務の複数拠点展開を開始した。V-CUBEミーティングを使って映像や音声を常時接続することで、遠隔地にある拠点同士でも同じ空間にいるかのようにコミュニケーションできる環境の構築を目指している。
最大の導入効果は「業務効率化の実現」
V-CUBEミーティングの導入による効果は、移動時間や出張旅費を削減など、如実に表れている。全国各地の客先に技術者が同行した場合、経費倒れで赤字になる可能性もあったが、Web会議システムを取り入れたことで赤字を回避。もちろんコスト面だけでなく、移動時間がなくなったことによる業務効率化にもつながり、エレコムサポート&サービスでは大きな導入効果があったと考えている。
「当社は業務効率化に積極的に取り組むのが好きな会社です。場所を問わずに仕事ができるV-CUBEミーティングのようなシステムは、まさに社風にぴったり合っていると感じています」(田中部長)
エレコムサポート&サービスでは、カスタマーサポートや営業担当者の技術支援だけでなく、受注業務や検証業務なども担当している。そうした業務を改善・効率化することも求められるが、及川さんは、自社で取り組んでいる工夫を次のように説明する。
「サポートセンターの業務は、定型的なフローのプロセスが多くあります。例えば、不具合のある製品の交換手配をする業務はこれまで人手で行ってきましたが、電話の受信ログを人が見て出荷システムへ入力するというフローを自動化すれば、大幅に効率化できます」(及川さん)
同社はAI(人工知能)/RPA(ロボットによる業務効率化)などの技術を積極的に導入し、人に頼らずに自動化できる業務を洗い出し、順次適用していくという取り組みを推進してきた。RPAは2018年に導入を済ませており、年間6000時間に及ぶ作業時間の削減を実現した。
V-CUBEミーティングを使ったWeb会議システムやAI、RPAの導入を積極的に進めてきたエレコムサポート&サービス。今後も業務効率化に向けたさらなる挑戦が続く。
関連記事
- 新卒半年で“支社長”に!? 全国展開を進める急成長ベンチャー「あしたのチーム」、その秘密は
- オフィスは「PC画面の中」!? Web会議の一歩先、広がる「空間共有」のいま
- “最も人口が少ない県”で生まれたITベンチャーがいま、全国展開する理由
- 大正時代から続く老舗バス会社がIT化を進めたら 役員会議はどう変わる?
- 「半日かかっていたやりとりが15分で」 スマートグラスを使った遠隔作業支援、水処理大手・オルガノの活用法は?
関連リンク
- Zoom スタイル | Zoom ミーティングで働き方改革
- 社内コミュニケーション強化に向けたテレビ会議の充実を目的にV-CUBE Boxを導入
- 全国展開する店舗スタッフとの定例会議をWeb会議化 20名以上参加のWeb会議でも円滑なコミュニケーションを実現
- 多彩な金融商品の中から最適な提案をするために 専門分野に精通したスタッフがテレビ会議で顧客対応をサポート
- 毎週200店舗以上が接続する朝礼をWeb会議で実施 テレビ会議システムからのリプレイスで50%のコスト削減
- 新商品の社内研修をオンライン化し、3ヵ月で延べ400名以上が参加。 移動時間やコストを大幅に削減
- 「店舗間会議のための移動が5時間」のムダを解消 会議の頻度アップで情報共有の質が向上
- 既存テレビ会議システムではできなかった20拠点の多地点接続をV-CUBE Boxで実現
- V-CUBE セミナーでの「代表者ミーティング」開催で、経営層の思いや考えが、店長やスタッフにまできちんと伝わるようになりました。
- 4つの銀行がWeb会議で分科会を開催 ノウハウを結集し四国創生に向けた施策を展開
- テレビ会議の常時接続による「空間共有」で離れた拠点と“同じ部屋にいる感覚”での業務を実現
- 完全注文住宅の顧客との打ち合わせをWeb会議で展開 “ライフスタイルを大切にするスタッフ”が働き続けるための働き方改革にも
- 顔を合わす機会はないけれども“会っていない感”はない!子育てママの在宅ワークをV-CUBE ミーティングでサポート
- ポリコム製テレビ会議システムからリプレイス 役員会議から配属面接、健康管理のカウンセリングまで幅広く活用
提供:株式会社ブイキューブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2019年9月28日
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.