DSLRが真似できない“画作り”――「サイバーショット F828」(2/3 ページ)

» 2004年01月19日 23時52分 公開
[西坂真人,ITmedia]

重量級ボディは“画作り”のため

 昨年のデジカメ界でのセンセーショナルな出来事の一つに、「低価格DSLRの登場」がある。最新技術を盛り込んだ各メーカーのフラッグシップ機は以前から十数万円ぐらいはしていたのだが、実売12万円前後のキヤノン「EOS Kiss Digital」の登場で、同価格帯で競合するレンズ一体型フラッグシップ機の存在意義があらためて問われ始めたのだ。

 今回のF828も、現時点での実売は12万円前後で推移(ショップでの価格はこちらを参照)しており、価格面ではEOS Kiss Digitalと競合している。もちろん、価格だけがデジカメの選択基準ではないだろうが、いざ財布の紐を緩めるときには、それが意思決定の大きなウエイトを占めることは間違いない。

 同様の価格帯でF828と同じようなポジションにあるコニカミノルタのフラッグシップ機「DiMAGE A1」は、コンパクトに設計できるレンズ一体型のメリットを生かして小型軽量ボディに仕上げ、重く大きくなりがちなDSLRに比べて“機動力”をセールスポイントにしている。

 一方のF828は、サイズが134.4(幅)×91.1(高さ)×157.2(奥行き)ミリで重さが約832グラム(撮影時は約955グラム)と、かなり重量級のボディになっている。ちなみに、EOS Kiss デジタル・レンズキット(EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM)のボディ+レンズの重さは750グラムとF828よりも軽い。

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 剛性を高めるためにマグネシウム合金のダイキャストをボディ素材に採用しているせいか、実際に手にとるとプラスチックパーツを多用したEOS Kiss Digitalに比べて数値以上にズッシリと重く感じる。ただし、そこはレンズ一体型の専用設計がなせる技というか、重量バランスは非常によくできており、レンズとボディとの一体感はレンズ交換式のDSLRでは味わえないものだ。

 それでも1キロ近いボディは、機動性で不利なことには変わりない。この重さの原因は、F828の見た目のアクセントにもなっている“大きなレンズ”だ。

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 以前から同社フラッグシップ機では、高い描画性能を誇るカール・ツァイス製レンズを採用していたが、今回のF828では新開発の4色フィルターCCDを最大限に生かすために、不要な反射光を抑える多層コーティング仕様「T*(ティースター)」を施した「バリオゾナーT*」レンズを使用。さらにレンズ一体型デジカメでは最大級となる58ミリという大口径タイプの採用によってF値はF2.0からと非常に明るく、テレ端時でもF2.8の明るさを確保している。

mn_cyber7.jpg 1/13秒、F2、ISO 64。ワイド端(28mm相当)で撮影。元画像はこちらをクリック

 上の画像は、東京の年の瀬の風物詩になりつつある光の祭典「東京ミレナリオ」の昨年末の様子を撮影したものだ。画質優先でノイズを避けるためにISO 64という低感度を選んでいるため、普通なら三脚を使用して長秒露光しなければいけないこのようなシーンでも、F2という明るいレンズのおかげで手持ち撮影ができるシャッタースピード(1/13秒)で撮影できた。

 光学7倍となるズームレンズの焦点距離は、35ミリ判換算で28〜200ミリと広角から望遠まで幅広く対応する。F2〜F2.8の明るさで28〜200ミリをサポートするレンズは、DSLRの交換レンズでも見当たらない。DSLRでも真似できないこの魅力的なレンズを標準搭載していることが、F828の大きなアドバンテージになっているのだ。

撮影スタイルの幅を広げる「回転レンズ」と、ユーザーの幅を広げる「ダブルメディアスロット」

 もう1つの魅力が、同社ハイエンド機シリーズで定番となっている「回転レンズ」機構だ。レンズは上方向に70度、下方向に30度回転するため、ハイアングルやローアングルなど多彩なアングル撮影ができる。

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