注目したいのが、メモリースティック(PRO対応)のほかに、TYPE II(マイクロドライブ対応)のコンパクトフラッシュ(CF)スロットを搭載している点。同社デジカメとしても初となるこのダブルメディアスロット採用は、大容量・高速化に対応したメモリースティックPROがあるだけに興味深いところだ。
これは、既存のソニーファンだけでなく、マイクロドライブや大容量CFを所有する多くのカメラファンにF828を使ってもらいたいという同社の期待が込められているのではないだろうか。いずれにしても、メディア単価が安いマイクロドライブ/CFが使えるということはユーザーにとって喜ばしいことだ。
そのほか、手動でズームが操れるダイレクト駆動の「マニュアルズームリング」や、マニュアルフォーカス機能も搭載。 また、赤外線を照射することで暗闇でも撮影できる「ナイトショット」機能をはじめ、暗所でのピント合わせに便利な「ホログラフィックAF」、暗闇でのフレーミングと自然な色合いでの記録が行える「ナイトフレーミング」など、従来機で定評のある夜間撮影機能も継承している。
各機能が割り振られたボタン類も従来機より増え、DSLR的なマニュアル操作志向のユーザーにも満足できる仕様になっている。ただし、それぞれのボタンの位置や機能などは再考の余地がありそうだ。例えば、めったに使うものではないナイトショット/ナイトフレーミング機能が単独ボタンで用意されていたり、積極的に使いたいISO感度設定はメニューからの選択だったりする。
低価格DSLRの台頭によって、ただでさえ小規模だった“10万円超のレンズ一体型ハイエンド機”の市場がさらに縮小するのではという意見もある。だが厳しい状況だからこそ、DSLRには真似のできない“画作り”などで勝負するような優れた機種が登場するのでは、という期待も高まる。F828は、そんな“ハイエンドデジカメ新時代”の幕開けを告げる1台なのかもしれない。
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