「改造車」と自作PCの奇妙な接点(1/2 ページ)

» 2004年03月01日 11時31分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 某出版社の人と雑談中、ふとしたはずみで暴走族の改造車の話になった。しかし話を聞いているうちに、筆者にはある奇妙な一致に気づいてしまい、それがどうも頭から離れない。その奇妙な一致とは、「改造車と自作PC、じつはベクトル的に同じなのではないか」という点だ。

 例えば「爆速」というキーワード一つとっても、車でもPCでも通用してしまう。走りゃいい。そんな最低限を押さえる以外、実はなんでもアリといったあたり、かなり共通点はあるのではないか。

空冷派? 水冷派?

 一昨年あたりから自作PCの大きなトレンドは、「静音化」である。その中で、CPUを「水冷」するという技術が出てきた。アキバのソレ系パーツショップをのぞいてみると、数々のバルブがショーケースに並ぶという、一種異様な光景が目に飛び込んでくる。バルブの口径に詳しくなければPCが組み立てられないという世界が来ようとは、一体誰が予想しただろう。アキバ近辺では今や、空冷派 vs. 水冷派の様相を呈しているのである。

 事態はほとんど“車並み”だ。方向性として異なるのは、車がどっちかと言えばうるさくなる方向に進みがちなのに比べ、PCでは静かになる方向に進んでいるということだろう。だが水冷にしたら、今度はモーター音がやけにうるさいといった本末転倒なケースもよく見受けられるようだ。

 PCケースを見てみよう。一時のアルミ筐体ブームは、その後すっかりスタンダードモデルとして定着したが、これは車で言えば渋いセダン相当だろうか。しかしその反動か、最近は派手なものが出回っている。黄色や緑など色が派手なのはまだカワイイ方で、柄物に至っては「なぜ」という前置詞を付けずには語れない物も多い。

 例えばここのケースなどを見て頂くと、「なぜ木目調」とか「なぜ大理石」とか問わずにはいられない。まさに「族車」という言葉を連想させる。

Casearts社の筐体の一つ“Skull in Falmes”(同社サイトより)

 さらにCasEdgeの「3GTH-202」に至っては、正面に顔が付いている。いわゆる出っ歯竹槍のような「お造り」系と分類すべきだろうか。顔が付いたら何か不都合があるわけではないが、付いているからどうだということもない。にもかかわらずここに顔を付けた点に、問答を受け付けない「族」っぽい妙な男気を感じる。

 しかし最近のトレンドは、なんといっても「イルミネーション」である。とにかく光る。意味もなく光る。そんなとこ誰も見ねえってというところまで光るのである。こういうのも車グッズと共通点がある。カッコイイケースならライトアップしたいというニーズがあったのかどうか知らないが、ライトアップ用アクリル台なんていうのも登場した。

 これも最初は、電源ランプがカッコイイとかそう言ったレベルから始まったものだ。青色レーザーが実用化云々と言われていた頃は、なぜか青色LED電源ランプが異様に流行ったりもした。後にして思えば、そのぐらいならまだ平和である。

 近頃人気を呼んでいるのは、「光るファン」だ。最初はそれこそ静音化ということで電源ファンが見直されたりしたものだが、次第に静かなだけでは地味ということになったのだろうか。光るファンは意外にも老舗電源メーカーが作っていたりするから面白い。

 この手の光り物の総本山的メーカーは、SUNBEAMのようだ。もちろん光るファンもあるが、光るケーブル光るスピーカーなども開発しており、これも完全に「族」の領域だ。

SUNBEAMの光るファン
2万9000カンデラ/平方メートルで光るスピーカー
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