本機fi-5110EOXの2世代前のマシンをレビューし、今でも愛用している私としては、はっきりいって、うなった。もともとPFUのScanSnapシリーズは、他の追随を許さない、名機である。
デスクトップで使用するドキュメントスキャナという製品分野は米国で始まり、90年代の後半に日本にも入ってきたが、解像度やソリューションの未熟さもあり、市場的には大きくは当たらなかった。PFUは大型の業務用ドキュメントスキャナから始まり、その後企業内個人やSOHOなどでの使い勝手を想定したローエンドのScanSnapシリーズを開始し、現在に至っている。
i-5110EOXは自動両面スキャン機能を持ち、なおかつ読み取ったデータの文字の向きを判別してドキュメントデータの向きを自動で変換してくれるので、カラーだろうがモノクロだろうが、オートドキュメントフィーダ(ADF)にさせば(50枚まで)、紙をそろえさえすれば、スキャンボタン一発で紙のドキュメントをPDFファイルにして保存してくれる。
ScanSnapが注目を集めだしたのは、スキャンしたファイルを画像データではなくPDFファイルとして保存ができるようになってからだ、と言って過言ではない。PDFというファイルフォーマット自体圧縮性能の高いフォーマットでもあり、PDFで保存しておけば、変な画像フォーマットよりよほど利便性が高い。
本機fi-5110EOXになって、とうとうボディ正面にアドビのAcrobatロゴをプリントし、アドビ提供のエンジンでのPDF変換を実現。Adobe Acrobat 6.0 Standard 日本語版をバンドルした。PFUのオンラインショップ「PFUダイレクト」価格は4万9800円。
ドライバとAdobe Acrobat 6をインストールし、スキャンしたファイルをAdobe Acrobat 6で開くように設定するのがスタンダードな使い方だろう。後述するが、今回新搭載の自動向き補正は、実は万能ではない。以前のモデルに比べると助かる機能だが、それでもスキャン直後にAdobe Acrobat 6で開くように設定しておけば、ドキュメントの上下を調整するのがより簡単になる。
大量のドキュメントをデータにし、紙を捨てたい、と考えるユーザーのためのマシンfi-5110EOXの運用キモは、実は圧縮率の設定と、読み取り解像度の設定である。せっかくスキャンしても、質の悪いスキャンだと小さい文字を判別することができなくなるし、そのPDFファイルを再プリントするとさらに判読が難しくなる。
もちろん綺麗にスキャンすれば良いというものではない。圧縮率を低くして600dpiの「エクセレント」モードなどでスキャンすると、数枚のカラードキュメントでも数Mバイトになり、逆にハンドリングが悪くなってしまう。個々人の好みもあるので上手く運用する必要があるだろう。ちなみに私は高圧縮ではなく通常で最大の圧縮率5、スキャン解像度はスーパーファインで使用している。
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