さて、fi-5110EOXの新機能をいくつか試してみた。まずは新機能である高圧縮モードのクオリティチェックだ。下記はいずれもスーパーファインモードで試している。
こうしてみるとカラー原稿については、多少の文字のくっきり感が異なる程度でほとんど差がなく、使えることが見て取れる。だが、モノクロ原稿のほうについては、異なる。高圧縮のほうが比較的もやっとしたスキャン結果となり、圧縮率5でのスキャンのほうがよりくっきりとしたスキャン結果となった。
これは高圧縮モードの場合、必ずカラーモードで読み取りを行っていることに起因する。もともとScanSnapはカラー原稿とモノクロ原稿を自動判別し、モノクロはモノクロスキャンすることでよりデータ量を減らすことを実現していた。モノクロ原稿だけをスキャンするなら、高圧縮モードを用いないほうが、より読みやすいPDFデータを作成できることになる。
だからカラー原稿をスキャンする場合には高圧縮モードで、モノクロ原稿の場合は高圧縮モードでないモードに使い分けると、スキャンデータのクオリティを維持することができるわけだ。ただしこれは理想論。いちいちドキュメントのスキャニングの前にモードを切り替えることなど、実は非現実的だ。蓋を開け、ドキュメントを給紙してボタン一発。ほかには何もしたくないのだ。
カラーとモノクロが混在したドキュメントをスキャンすることが多いユーザー(各企業様のリリースや製品パンフなどをいただく私のような人間)にとっては、割り切りが必要となるだろう。
さて今回の新機能のもう一つの目玉である、自動向き補正を検証してみた。この機能、スキャンしたデータの文字の傾きを判読し、ドキュメント全体の天地左右を正しい向きに自動で回転してくれるという優れもの。ドキュメントを天地さかさまに給紙しても、自動保存されるPDF上では天地を正しく回転して保存してくれるのだ。
実際に難しそうなドキュメントで、試してみたところ、下のようになった。メーカーには申し訳ないが、この機能、100%の判別能力は無い。日本語でないものや手書きの汚い字などの場合、向き補正はうまく機能しない場合もある。
つまりそこで前述の、Adobe Acrobat 6の出番と言うわけだ。当然のことながらAdobe AcrobatであればPDFファイルを編集して保存できるので、Adobe Acrobat上で回転して、再保存をするという手順になる。
最後に同じくPFUから発売されたデジタルデータのファイリングソフト「楽2ライブラリ」を紹介しておく。
これはオフィス文書のデジタルデータ化をScanSnapで行い、そのデータを整理するというコンセプトのソフト。実売価格が2万円半ばと、パーソナルユースというよりは、オフィスで購入して、データ整理に活用するのに適している。
今現にオフィスで紙の文書を整理に四苦八苦しているかたにとっては、非常にわかりやすく、PCに不慣れな人でもすぐに理解しやすいのがポイントだろう。
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