静止画も動画も美しく撮れる400万画素コンパクトデジカメ――三洋電機 Xacti DSC-J4(2/3 ページ)

» 2004年04月13日 19時37分 公開
[石井英男,ITmedia]

最短2センチまで寄れる強力なマクロ機能

 記録画素数は、4M(2288×1712ピクセル)/8M(3264×2448ピクセル)/6M(2880×2160ピクセル)/2M(1600×1200ピクセル)/WEB(640×480ピクセル)から選択できる。なお、8Mモードや6Mモードでは、「Pictrise 800」と呼ばれる画素補間機能を利用して、カメラ内部で画素数を増やして記録する。

 Pictrise 800利用時は、記録にやや時間がかかるほか、デジタルズームを利用できないという制限がある。通常は4Mモードで使うのが適当であろう。また、画像の圧縮率はSFINE/FINE/NORMの3段階が用意されているが、最も圧縮率の低いSFINEは、4Mモードのみ利用可能である。

 DSC-J4は、初心者でも気軽に撮影できるように設計されており、メニュー体系もわかりやすい。メニューモードは、手軽に撮影や再生が行える「ベーシックモード」と、機能をフルに活かせる「エキスパートモード」が用意されている。

 ベーシックモードとエキスパートモード、オプション画面は、各メニューの一番上または下にカーソルをあわせて、左右キーで切り替えられる(「ローリングメニュー」と呼ばれる)。

ベーシックモードとエキスパートモード、オプション画面を左右キーで切り替えられるローリングメニューを採用。こちらはベーシックモードでのメニュー

 ベーシックモードでは、シーンセレクト、解像度、フォーカス、セルフタイマー、動作モード(静止画/連写)のみを設定可能だ。

 シーンセレクト機能では、スポーツ/ポートレート/風景/コスメ/夜景/花火/ランプ/セピア/モノクロ/スリム/合成/証明写真の12種類のメニューが用意されている。

 中でもユニークなのが、被写体の縦横比を変えて撮影できる「スリム」だ。スリムでは、被写体を縦に伸ばしてスリムに写したり、逆に横に伸ばして撮影することが可能だ。また、4つのテンプレート(合成パターン)を利用して、2枚の写真の合成ができる「合成」も面白い。コンパクトデジカメは、一種のコミュニケーションツールとして使われることもあるので、こうしたプリクラ的な機能が役に立つこともあるだろう。

ベーシックモードでは、12種類のシーンが用意されているシーンセレクトメニューが利用できる

 フォーカスメニューでは、オート/マクロ/遠景/マニュアルフォーカス/コンティニュアスAFを選択できる。通常撮影では、最短20センチ、マクロモードでは、最短2センチまで被写体に寄ることができる。

 マクロ機能はかなり強力であり、小さな被写体をクローズアップしたいときに威力を発揮する。ただし、最短2センチまで寄ることができるのは、光学ズームの広角端のみで、望遠端での最短距離は30センチとなる。連写機能は、0.75秒間隔で4枚の連写が可能だ(8Mモードや6Mモードでは不可)。

 エキスパートモードでは、シーンセレクトが利用できない代わりに、圧縮率やフリッカー軽減、ISO感度、ホワイトバランス、スポットフォーカス、測光方式、光学ズーム(動画撮影時)、デジタルズーム、アシストライト、露出補正の各メニューが追加される。

 ISO感度は、静止画撮影時では、AUTO(50〜200相当)/50/100/200/400から、動画撮影時では、AUTO(200〜800相当)/200/400/800/1600から選択できる。ただし、静止画撮影時でも、シーンセレクトで「ランプ」を指定すると、最大1600相当までゲインアップされる。ホワイトバランスは、オート/晴天/曇天/蛍光灯/白熱灯/マニュアルから選べる。

エキスパートモードでは、圧縮率などの設定メニューが追加されている

動作は軽快で、動画撮影機能も強力

 絞り優先AEやシャッタースピード優先AEなどの機能は用意されていないが、撮影時にはシャッタースピードや絞りが表示されるので、撮影時の参考になる。

 Xactiシリーズは、従来から起動時間が高速なことで定評があったが、DSC-J4ではさらに起動時間が高速化され、レンズカバーを開けて約0.8秒(音声ガイドと起動音オフ時、音声ガイドと起動音をオンにすると約1.5秒)で撮影が可能になる。レリーズタイムラグも約0.05秒と超高速であり、常に被写体にピントをあわせ続けるコンティニュアスAFモードを利用することで、動いている被写体の決定的なシーンも逃さず撮影できる。

 なお、連続撮影間隔も約1秒以内で、次々に撮影が可能だが、転送速度2Mバイト/秒のSDメモリーカードを利用していると、データ転送が追いつかなくなり、バッファが一杯になって待たされることがある。

 具体的に言うと、4Mモード、SFINEの場合、連続で5枚撮影するとバッファが一杯になってしまい、12秒ほど待たされてしまう。しかし、転送速度10Mバイト/秒の高速SDメモリーカードなら、何枚連続で撮ってもバッファが一杯になってしまうことはなかった。

 SDメモリーカードは、転送速度が2Mバイト/秒の第1世代品と、転送速度が10Mバイト/秒の第2世代品がある。基本的に128Mバイトまでは第1世代が中心で、256Mバイト以上は第2世代品が中心となっているが、256Mバイト以上のSDメモリーカードでも、廉価版では転送速度が2Mバイト/secの製品も存在するので、転送速度を確かめてから購入することをおすすめしたい。DSC-J4のウリであるVGAサイズで30fpsの動画撮影も、カード容量一杯まで連続撮影するには、転送速度が10Mバイト/秒の高速SDメモリーカードが必要になる。

 三洋電機のデジカメは、以前から動画機能を重視していることが特徴だが、その伝統はDSC-J4にも受け継がれている。640×480ピクセル/320×240ピクセル/160×120ピクセルの音声付き動画(QuickTime Movie形式)を撮影可能で、フレームレートはそれぞれ30fps/15fpsから選べる。640×480ピクセル、30fpsで撮影した動画は、DVカメラで撮影したものと比べても遜色はない。

 ただし、圧縮率の高いMPEG-4を採用するDMX-C1とは違って、QuickTime Movie形式を採用しているので、ファイルサイズがかなり大きく、長時間の撮影はできない。512MバイトのSDメモリーカードを利用した場合、640×480ピクセル、30fpsでは最大5分44秒、320×240ピクセル、30fps(NORM)では最大24分29秒の動画を記録可能だ。

 また、コンパクトデジカメでは、動画撮影中には光学ズームが利用できない(ズームレンズの動作音が入ってしまうため)製品が多いが、DSC-J4では、動画撮影中に光学ズームを利用できるのも便利だ(動画撮影時に光学ズームを有効にするかどうかは、メニューでオン/オフできる)。ただし、動画撮影中に光学ズームを利用すると、やはりズームレンズの動作音が多少入ってしまうので注意したい。

 なお、撮影した静止画に10秒までの音声メモをつけるアフレコ機能や、音声のみを録音するボイスレコーダ機能も装備している。撮影した動画から、静止画を抜き出せる機能も便利だ。

 DSC-J4は、動作が軽快で、初心者にも使いやすく設計されている。旧モデルに比べて、ボディデザインがより洗練され、携帯性も向上している。動画撮影機能やマクロ撮影機能も強力であり、コンパクトデジカメとしての完成度は高い。初心者はもちろん、気軽に撮影できるサブデジカメが欲しいという中上級者にもおすすめだ。

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