とりあえず2層式記録型DVDドライブを試してみました――アイ・オー「DVR-ABN8W」(2/2 ページ)

» 2004年05月27日 18時54分 公開
[小林哲雄,ITmedia]
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 ドライブのスペックは、基本的に以前販売されていた8倍速ドライブに使われていた「ND-2500A」とほぼ同じで、これに2層式対応が加わったものだという。つまり、書き込みはDVD+-Rが最大8倍速、DVD+-RWが最大4倍速、CD-R最大32倍速、CD-RW最大16倍速にDVD+RW(2層)2.4倍速が加わり、読み取りはDVD系最大12倍速、CD系最大40倍速となっている。

 DVD+R DLのメディアは1枚しか入手できなかったため、まず小手調べに従来メディアの扱いをチェックした。アイ・オー・データー機器によると、サポートするメディアとその速度は以下のようになっている。

DVR-ABN8Wの推奨メディアメーカー(部分)

方式速度メーカー名
DVD+R8倍速太陽誘電、TDK、日立マクセル、三菱化学メディア、リコー
4倍速太陽誘電※、TDK※、日立マクセル※、三菱化学メディア、リコー
2.42層三菱化学メディア
DVD+RW4倍速TDK、三菱化学メディア、リコー
2.4倍速TDK、三菱化学メディア、リコー
DVD-R8倍速太陽誘電 、富士フィルム
4倍速太陽誘電※、TDK、日立マクセル、三菱化学メディア※
DVD-RW4倍速TDK、ビクター、三菱化学メディア
2倍速TDK、ビクター、三菱化学メディア

(※は4倍速ディスクが8倍速で書き込める事が確認されているが保証外)

 4倍速対応メディアでも、非保証ながらメーカーによっては8倍で書けることが分かっているので、まず太陽誘電のDVD-Rにおける書き込み速度をチェックしてみた。Nero CD speedによると、全周の平均書き込み速度は6.81倍で、従来のND-2500Aと変わらない。読み込み速度も一層最大8倍と同一スペックだ。

DVD-Rにおける書き込み速度
DVD-Rにおける読み込み速度

 続いて、本命の2層式メディアだ。Nero CD speedで書き込み速度を測定してもよいのだが(一応最新のはDL対応ということになっている)、2.4倍速の等速の結果を見てもあまり意味がないので、B's Recorder GOLD 7 BASICで実際に書き込んでみた。ソースは、この手のメディアは長時間のTV録画保存に使われるだろう、というところで、2.5時間ほどのMPEG-2高画質録画を書き込むことにした。

 B's Recorder GOLD 7 BASICのファイルレポートによると、DLディスクの容量は8347.07Mバイトで、書き込み対象は8306.02Mバイトと、ほぼギリギリいっぱいの内容となっている。テスト結果としては43分程度で書き込みを終了しており、スペック通りの速度のようだ。

書き込みセクタ数4153195
転送開始0:00:24.61
転送終了0:41:51
イジェクト0:42:46

 なお、2層を書くためには単層の3倍程度のレーザーパワーを必要とするようで、このため現在の単層8倍速では、最初のDVD+R同様、2.4倍速となるようだ。次世代は単層16倍速、2層4倍速が有力視されている。

DVD+R DLにおける読み込み速度。2層ディスクなので最大速度は遅い

互換性問題は……まだ疑問符付き?

 大容量保存ができる2層式書き込みだが、ご存じのようにこれですべてが幸せになるわけではない。再生互換性があるかどうかという問題が残っている。2層式のおかげで、従来書けなかった大容量ファイルが書けると言っても、読み出せなければ意味がない。

 DVDアライアンス自身は「片面2層DVD-ROMの規格(DVD 9)と互換性を持つ追記型ディスク」と言っており、一方すべてのDVD機器は2層の読み出しが可能なので、この2つを合わせて考えれば、基本的には読めて当然と言いたいところだが、話はそう単純ではないようだ。

 アイ・オー・データー機器によると「2層+複数セッションの場合は、他のドライブでは最初のセッションしか読めない」そうだ。6Gバイトぐらい書き込みをして、後日「ディスクも高いしもったいないから追記しよう」としても、他のドライブで読み出せないのは痛い。これは注意事項となりそうだ。

 もう一つの、他のドライブやDVDプレーヤーでの読み出しはどれだけ可能なのかという点だが、まだアイ・オー・データー機器のWebサイトなどには資料が掲載されていない。調べるべき機器が数多く、調査に限界があるかもしれないが、可能な限りの情報は出してほしいと思う。

 DVR-ABN8Wは、従来のDVD±R/RWドライブにDVD+R DL機能をプラスしたものであり、従来ドライブとの価格差も5000円とリーズナブルだし、これまで新規格のドライブが初登場したときの価格より安い。添付ソフトもパワフルなものが用意されている。再生互換性に関してはまだ十分とは言えないが、“先物買い”に価値を見いだすユーザーならば、迷わず買い、だろう。

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