懐は痛くても指には優しい7万円キーボードレビュー(1/2 ページ)

» 2004年06月10日 20時08分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]

 セイコーエプソンが7万円を超えるキーボードを発売――。衝撃のニュースは、実はかなり多いらしいキーボード愛好家の話題を瞬く間にかっさらった。

 ITmediaが過去に何度か取り上げてきたプロ仕様の東プレ製キーボードでも2万円を下回る。7万円なら東プレ製の実に3倍以上。秋葉原で売っているような1000円キーボードなら70台は買える。

 エプソンの「ビジネスフルキーボード」に1000円キーボード×70台の価値はあるのか? レビューを口実に高級機材を無料で借りられる記者の立場を乱用するなら今しかないと、その実力を試してみた。

photo

サイズの大きさは気になるが――

 編集部に届いた実物を見た最初の感想。――大きい。

 通常サイズのキーボードと比べ、二回りは大きい。机の上に置く場所をまず空けねばと、散乱していた飾り付けてあったガンダムボトルキャップを泣く泣く片付けた。

photo ハードパンチャーである記者の打鍵に耐え切れず、既にお亡くなりになられた一般的なキーボードとのサイズ比較。

 実際に使ってみた打鍵感は、優しい感触。やかましい音量で騒ぎ立てず、打鍵後にねちっこく指先へ付きまといもせず、末永くお付き合いしたい「大和撫子」とでも言ったところか。

 当初はマイナス材料だったそのサイズも、慣れていくうちに気にならなくなった。場所を取っていたのは、キーボード下部のアームレスト。これが使っていてしっくりくるのだ。

 着脱式でないのは残念だが、ほかのキーボードでもアームレストを用意すれば同じくらい場所を取ることになる。

 また、アームレスト部が大きいことでチルトアップ時の傾斜はゆるやかになる。記者はチルトアップさせて打ち込むと急な傾きで指に疲れを感じるタイプだったが、このキーボードでは感じなかった。

photo 一般的なキーボードとの角度比較。

 エプソン販売の担当者によると、「大量の伝票入力業務をこなす税理士・会計士を対象とした人間工学に基づく設計」になっているという。

 サイズは確かに大きく、かなりのスペースが犠牲になる。だが、そもそもキーボードは移動させる機会が少なく、据え置いて使うものだ。仕事柄、キーボードに向き合う時間の長い職種には勧められる設計だと思う。

指に優しく、さらさらとした打鍵感

 ビジネスフルキーボードは、東プレ製と同じく、キーを下まで押し抜く必要のない「静電容量無接点方式」を採用している(関連記事参照)。なお、東プレとの関係について尋ねてみたが、コメントは得られなかった。

 記者は長時間入力を続けていると、指の節々に軽い違和感を感じることがある。このキーボードを使っていた期間は、それがまったく出なかった。打鍵の際に抵抗をさほど感じず、指先がすっと抜ける感覚。一般的なキーボードと比較し、軽い負荷で入力できていたと思う。

 ちなみに、個人的に一番気に入ったのはキーボード表面の肌触り。昇華印刷方式を採用しているためか、ぬるぬる感の残る感触ではなく、さらさらとした質感だった。なお、昇華印刷方式では、キーにインクを染み込ませるため、印刷のはがれる心配はない。

「テンキーありき」のキー配列?

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  5. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
  10. MetaがMR/VRヘッドセット界の“Android”を目指す 「Quest」シリーズのOSを他社に開放、ASUSやLenovoが独自の新ハードを開発中 (2024年04月23日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー