DLだけじゃない。5倍速RAM記録、12倍速+R記録に対応――アイ・オー「DVR-ABH12W」(2/2 ページ)

» 2004年06月14日 17時24分 公開
[小林哲雄,ITmedia]
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気になる実効速度をチェック

 スペック表だけでは判別できない、気になる「真の書き込み速度」だが、DVD+-Rに関しては、エリアによって書き込み速度を段階的に変更するZONE-CLV書き込みを採用しているようだ。

 DVD-Rの8倍速書き込みは、初めの400Mバイトほどを6倍で書き、残りは8倍速で書き込むため平均書き込み速度は7.81倍と「ほとんど8倍速」と言って差し支えないレベルになっている。以前のドライブである「DVR-ABH8」(中身はGSA-4082B)は、4→6→8と3段階の書き込み速度変化で、平均6.96倍だったので、DVD-Rが“8倍速”と同一スペックに見えても、中身は向上しているのは頼もしい。

DVD-Rの書き込み速度グラフ。ほとんどの領域で8倍速で書き込み、6倍速なのは初めの400Mバイトほどと、「ほとんど8倍速」スペックだ

 対してDVD+Rの12倍速は、初めの400Mバイトほどを6倍速、2.1Gバイトまでが8倍速、残りが12倍速の3段切り替えとなっている。丸々書いたとすると半分が12倍速書き込みになり、この場合の平均書き込み速度は9.86倍速であった。

 これも以前のドライブと比較してみたところ、速度切り替えポイントが若干遅くなったものの、すべて+2倍速で書いていると言える。ただし、いち早くDVD+R 12倍速を達成しているプレクスターの「PX-712A」と比較すると、DVD+R 12倍速をP-CAVで書き込んでいるため、平均速度が10.34倍速であり、ちょっとだけ遅い。

DVD+Rの書き込み速度グラフ。こちらは3段階の速度切り替えで、プレクスターの12倍速よりも若干遅めとなっている

 同じくDVD+-Rディスクの読み出しも、4〜10倍のCAVで平均速度は7.70倍と、書き込み速度を下回るものだ(PX-712Aは5〜12倍の平均9.06倍)。書きっぱなしでよしとしないのが普通なので、Rディスクの読み出し速度アップには今後期待したい。

DVD+-Rの読み込みテスト。平均で7.70倍と書き込み速度より低いのは改善ポイントかもしれない

 もうひとつの注目ポイントが、DVD-RAMの5倍速サポートだ。基本的にDVD-RAMはベリファイが入るため速度は1/2となるのだが、それでも2.5倍速ならば使い勝手は非常に上がる。

 むしろDVD-RAMに関しては、DVD-RAMドライバを組み込んだ形でパケットライト風に使うか、DVDレコーダーとの連携が望ましい使い方だろう。従来の2倍速が3倍速になった程度では手を出しにくいと思っていた人も、5倍速なら乗り換えも考えるはずだ。

 サポートソフトの「B's Recorder GOLD 7 BASIC」上でもベリファイオフ書き込みでのテストが行えなかったのだが、それでもほとんどいっぱいのデータを26分程度で書き込むことができた。この書き込み時間でベリファイ付きなのだから、ベリファイ抜きで4倍のDVD+-RWに書き込むよりも確実性はあるだろう。なお、同じく注目のDVD+R DLもサポートしているが、ディスクが入手困難なので残念ながらテストできなかった。

DVD-RAM書き込み時間

転送開始00:02.28
転送終了26:41.80
イジェクト26:45.66

(4472.04Mバイト:2236257/2236704セクタ。ベリファイあり)

DVD-RAMの読み出しはCAVの5倍速のようだ

オーサリングソフトが強力に。加えて独自ツールも添付

 DVD+Rの12倍速対応製品は他にも登場しているが、DVDスーパーマルチドライブとなると日立エルジーデータストレージの独壇場と言える状況となっており、前人気も高い。すでに発表しているバッファロー製品か、アイ・オー・データー機器製品かという選択は、添付のソフトやサポートで選ぶことになるだろう。

 添付ソフトも従来よりパワーアップしており、ユーリードシステムズのソフト(「DVD MovieWriter 3 SE for I-O DATA」、「VideoStudio 7 SE」、「PhotoImpact 8 SE」、「COOL3D 3.0 SE」)とビー・エイチ・エーのソフト(「B's Recorder GOLD BASIC Ver.7」、「B's CLiP5」)に加えて、アドビ システムズの「Photoshop Album 2.0 Mini」が添付されている。

 また、DVD-RAMドライバだけでなく、独自ツール「M-Tray」が新たに添付された。OS終了時にメディアが入っていると警告する機能や、開けっ放しのトレイを自動的に閉じるといった、少々痒いところに手の届くツールとなっている。

新ツールのM-Tray(見張っトレイ)。ディスクを入れたまま電源を切る、トレイを開けたまま電源を切るというありがちなトラブルを解決する

 DVR-ABH12Wは、価格が下がっているのも魅力だ。先に発表されたDVR-ABH8は、価格改定で2万1500円になったが、本モデルはハードウェアのスペック向上だけでなく、添付ソフトもよくなっていて2万1000円だ。

 DVD+Rの書き込み速度の向上だけでなく、DVD-Rも実質速度アップし、DVD-RAMも実用的な速度で利用できるDVR-ABH12Wは、多くのユーザーのマシン環境パワーアップに使えるだろう。自作PCユーザーだけでなく、メーカー製パソコンにも日立製ドライブを使っているケースが多いので、交換してパワーアップするのにも好都合だろう。

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