PCI Express対応チップセット「Intel 925X」「Intel 915G/P」ようやく正式発表

» 2004年06月22日 03時31分 公開
[長浜和也,ITmedia]
Intel 925Xとサウスブリッジで組み合わされるICH6、LGA775対応Pentium 4

PCI Express対応だけでない「Intel 925X」「Intel 915 G/P」の新機能

 インテルは、PCI Expressに対応したチップセット「Intel 925X Express」(以下 Intel 925X)「Intel 915G Express」(Intel 915G)「Intel 915P Express」(以下 Intel 915P)を日本時間の6月22日に正式発表した。価格は1000個ロット出荷時の価格で、Intel 925Xが5720円、Intel 915Gが4690円、Intel 915Pが4230円。

 Intel 925XとIntel 915G/Pはともに、DDR2-533とPCI Expressといった、新しい規格に対応した新世代チップセットともいうべき製品。インテルも「10年に一度の抜本的な変革をもたらす」と新しいチップセットを評価している。

Intel 925Xのブロック図

 ハイパースレッディングテクノロジーに対応したFSB 800MHzサポートは従来のままだが、メモリバスはDDR2-533をデュアルチャネルでサポート。従来のPC3200にも対応している。ATAインタフェースも、4ポートのSerial ATAに対応。こちらも従来のパラレルATAをサポートするが、1ポートのみの対応となっている。

 最も大きな特徴ともいえるPCI Expressは、ディスクリートグラフィックスカードに使われるPCI Express×16と、四つのPCI Express×1をサポート。これまでグラフィックスカードのインタフェースとして使われてきたAGPはIntel 925X、Intel 915P/Gでサポートされない。PCI Express ×16では、AGPで共有していたアップストリームとダウンストリームのデータバスが、それぞれ独立して用意される。そのため、従来のAGP 8Xでは最大帯域2Gバイト/秒であったが、PCI Express ×16では双方向で8Gバイト/秒と大幅に向上する。

 新規格バスアーキテクチャのサポート以外にも、Intel 925XとIntel 915G/Pでは、「Performance Enhancements」「Intel Matrix Storage Technology」「Intel Wireless Connect Technology」「Intel Graphics Media Accelerator 900」など、新しい機能が採用されている。

 Performance Enhancementsは、Intel 925Xのみでサポートされる機能で、メモリバスを流れるデータストリームに「Maintenance Command」を発行することで、効率的にデータアクセスができるようにメモリ内におけるデータの再配列を行う機能。メモリアクセスの効率を向上させてパフォーマンスを改善する機能だが、Intel 875Pで採用されていたメモリアクセラレーション的機能とは性格が異なる、とインテルでは説明している。

 「Intel Matrix Storage Technology」は、HDDにおけるデータの保護やデータアクセスのパフォーマンスを向上させる技術。サウスブリッジにICH6Rを組み合わせることで、データの格納位置を把握し、データキューのときに最も効率よく読み込める順序でデータにアクセスしたり、一つのRAIDシステムの中に、RAID 0とRAID 1の領域を動的に割り当てられるようになる。

 Intel Wireless Connect Technologyは、ノートPC向けのCentrinoと同様、無線LANをデスクトップPCでも使えるようにしたもの。サウスブリッジにICH6Wを組み合わせることで、IEEE 802.11b/gが利用可能になる。

 Intel Graphics Media Accelerator 900(以下Intel GMA 900)は、Intel 915Gのみでサポートされる内蔵グラフィックス機能。従来のIntel Extreme Graphics 2では、ハードウェアによる3Dアクセラレーション機能がサポートされていなかったので、実質的に3Dゲームが動作しない状況にあったが、Intel GMA 900はDirect X 9をハードウェアでサポートする。

 このほか、Pixel Shader 2.0、Open GL 1.4にもハードウェアで対応(Vertex Shaderはソフトウェアでサポート)。コアクロックは333MHz、ビデオメモリはメインメモリを共有するため、DDR2-533を利用した場合、最大メモリ帯域は8.5Gバイト/秒と高速なデータ転送が可能になる。

機能/性能の比較Intel Extreme Graphics 2Intel GMA 900
Direct X Hardware AccelerationDirect X 7.1Direct X 9
Pixel Shader非対応Pixel Shader 2.0
Vertex Shader非対応ソフトウェア対応
Transform & Lightingソフトウェア対応ソフトウェア対応
Shadow Maps非対応ハードウェア対応
Volumetric Textures非対応ハードウェア対応
Slope Scale Depth Bias非対応ハードウェア対応
Two Sided Stencil非対応ハードウェア対応
コアクロック266MHz333MHz
Pixel Pipes1/clock4/clock
Single Textyre Fill Rate266MT/s1.3GT/s
Display PipesSingleDual Independent
ビデオメモリ(最大)64Mバイト244Mバイト
最大メモリバス帯域6.4Gバイト/秒8.5Gバイト/秒
インテルが公開したIntel 865GとIntel 915Gの内蔵グラフィックス性能を3DMark2001SEで比較したデータ
同じくインテルが公開したバリュークラスビデオカードとIntel GMA 900のパフォーマンスを3DMark03で比較した場合

LGA775対応Pentium 4の6機種も同日発表

 インテルは、新しいパッケージ規格「LGA 775」に対応したCPU「Pentium 4 Extreme Edition/3.4GHz」「Pentium 4 560」「Pentium 4 550」「Pentium 4 540」「Pentium 4 530」「Pentium 4 520」も同日発表した。それぞれの動作クロックと1000個ロット出荷時の価格は次のようになっている。

Pentium 4 Extreme Edition/3.4GHz3.40GHz11万4200円
Pentium 4 5603.60GHz7万2820円
Pentium 4 5503.40GHZ4万7670円
Pentium 4 5403.20GHz3万1780円
Pentium 4 5303GHz2万4920円
Pentium 4 5202.80GHz2万350円

 LGA775対応のPentium 4は、ピンを使わないため電気特性が向上し、高クロックの実現が容易になっているとインテルは説明している。

 基本的アーキテクチャはPrescotteコアPentium 4と同様で、90ナノプロセスルールを採用し、1MバイトのL2キャッシュを搭載する。今回登場したCPUはすべてハイパースレッディングテクノロジーをサポート。PrescottコアPentium 4から実装されたSSE3も同じくサポートする。

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