きょうはLGA775対応Pentium 4&Intel 925X/915Gでベンチをまわして熟考した(後編)(2/2 ページ)

» 2004年06月23日 18時30分 公開
[佐藤哲,ITmedia]
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FINALFANTASY XI Official Benchmark 2
PCMark04 DivX Video Compression

 動作クロックが同じ3.40GHzである「Pentium 4 550(3.4GHz)+Intel 925X+DDR2-533」と「Pentium 4/3.40E GHz+Intel 875P+DDR400」を比較した場合、ほとんどのテストで両者はほぼ同じ結果になっている。しかし、特定のベンチマークに関しては新型プラットフォーム、従来型プラットフォームがそれぞれ有利になる傾向が見て取れる。

 とくに顕著なのが、SYSmark2004のOffice Productivity。Pentium 4 550+Intel 925X+DDR2-533のパターンは、Pentium 4/3.40E GHz(Prescott)+Intel 875P+DDR400のパターンにやや劣る結果となっている。逆に、Internet Contents Creationでは、傾向は逆となる。このほか、エンコード処理を測定するテストではPentium 4 550(3.4GHz)+Intel 925X+DDR2-533のパターンが良好な結果を示している。

 こうした結果から、メモリのレイテンシが重要視されるようなオフィスアプリケーションはやや苦手で、逆に帯域幅が重視されるようなコンテンツ処理系のアプリケーションは得意であるという傾向が見えてくる。

 この原因としては、DDR2の特性が影響していると考えることができる。というのは、DDR2-533のスピードグレードは4-4-4(CL、tRCD、tRP)となっており、実時間に換算するとDDR400の3-3-3とあまり変わらないからだ。もう少し具体的にいうと、シーケンシャルアクセスが発生して、メモリからデータをバースト転送する場合にはDDR2の効果があるが、ランダムアクセスのようにレイテンシが性能に大きな影響を与えるような場合には、さほど性能向上につながらないということになる。

 もう一つ、DDR2になって、DRAMセルの駆動クロックは133MHzに落とされている(PC3200は200MHz)ことも、ベンチマークテストの結果に影響していると考えられる。このため、DRAM内部でのレイテンシは、DDR400に比べるとやや不利になっている可能性がある。下の表は、SicenceMark2を利用したメモリレイテンシの計測結果だが、やはりDDR2を採用したシステムが不利な結果となっている。

 Pentium 4/3.4E GHz+Intel875P+DDR400Pentium 4 550(3.4GHz)+Intel 915G+DDR2-533Pentium 4 550(3.4GHz)+Intel 925X+DDR2-533
メモリレイテンシ(4バイト ストライド)666
メモリレイテンシ(16バイト ストライド)141515
メモリレイテンシ(64バイト ストライド)495656
メモリレイテンシ(256バイト ストライド)254285277
メモリレイテンシ(512バイト ストライド)267300292

 しかし、帯域幅が性能に与える影響が大きい処理、例えばエンコードではDDR2の効果がでている。しかし、パフォーマンスの向上幅は小さい。これはFSBが800MHzに留め置かれたことが大きいのではないだろうか。

 ハイパフォーマンスを必要とするゲームユーザーにとって重要なゲーム系のベンチマークでは、依然としてAthlon 64 3800+がPentium 4搭載システムを上回っている。「3DゲームならAthlon 64」という最近の傾向はLGA775対応CPUとPCI Express対応マザーの組み合わせでも変わらなかったと言えるだろう。

DDR2は今のところ効果薄。PCI ExpressネイティブGPUに期待

 以上のように、現時点ではDDR2-533がもたらす効果をユーザーはあまり享受できないと言える。すでに3GHz以上のPentium 4とIntel875P/865+DDR400のシステムを持っているユーザーが、Intel 925XやIntel915にDDR2を組み合わせたシステムに乗り換える必要性はあまり感じない。

 現時点で、DDR2-533メモリモジュールが同容量のPC3200モジュールの3〜4倍に近い価格を付けていることを考えると、今回のベンチマークで示されたわずかな差を正当化するのは難しいと思われる。PCI Expressに魅力を感じて乗り換える場合でも、PC3200も利用できるマザーボード(いくつかのマザーボードベンダーはDDR/DDR2両方のソケットを搭載したマザーボードを計画している)を購入するというのが正解ではないだろうか。やはり、DDR2-533が本領を発揮するのは、FSBが1066MHzに引き上げられたあと、ということになるだろう。

 ただし、現時点でも動作クロック3.60GHzのCPUはLGA775でしか利用できない、という点でLGA775にメリットがあるほか、今後、より高クロックのPentium 4はLGA775プラットフォームのみで登場することや、GPUベンダもPCI Expressの性能を本格的に発揮できるようなPCI Expressネイティブ対応GPUを今年後半にリリースする予定になっている動きを見据えたうえで、これからPentium 4システムを購入するのであれば、LGA775プラットフォームを選択するというのは、悪くない選択肢といえるだろう。

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