レンズは「ライカDCバリオ・エルマリート」と呼ばれるものを採用しており、35ミリフィルムカメラ換算で36〜432ミリの12倍ズームであるにもかかわらず、F値は全域でF2.8と非常に明るい。望遠撮影では撮影状況によって若干の色ズレが起きるものの、かなり拡大しないと分からない程度なのでおおむね良好である。
手ブレ補正機能はDMC-FZ10よりも性能が向上している。手ブレ補正機能は望遠撮影時やスロー気味のシャッター速度での撮影時に実感できる。
手ブレ撮影モードは常に手ブレ補正されるモード1と、シャッターを押した瞬間に手ブレ補正を行うモード2の2種類がある。
モード1では、構図を調整するときに少しカメラを動かすと、手ブレと見なされてすぐにはファインダー内の映像は動かず、ワンテンポ遅れて映像が動くため、構図を決めにくいことがある。松下はモード1のほうが構図が確認しやすいと言っているが、使ってみた感じではモード2のほうが構図を決めやすかった。
モード2は構図を決める際は手ブレ補正されず、撮影時のみ手ブレ補正が行われる。手ブレ補正も撮影時まで補正されずにレンズは中央にあるため、手ブレ補正の効果は状況にかかわらず安定して発揮される。
こう見るとモード1はあまり意味がないようだが、マニュアルフォーカス撮影時など、ファインダー内の映像が動かないほうがよい場合にはモード1のほうが使いやすいだろう。
撮影時に大切なのはシャッターを押してから撮影されるまでの時間だ。シャッターを押してから撮影されるまでの時間が長いと、シャッターチャンスを逃してしまうことがある。FZ20ではシャッターを押してから撮影されるまでの時間が短く、快適に撮影できる。
また、FZ20では測距点が9点となり、幅広いシチュエーションで簡単にフォーカス合わせができるようになった。さらに3点測距ではフォーカスの合う速度が2倍になる。
望遠撮影や動く被写体など、フォーカス合わせが難しい状況でも安定して撮影できる。吹き出る水や、散水機で散水しているような状況でもフォーカスが合わないと言うことがなく、安定した撮影ができた。そのため、マニュアルフォーカス機能はマクロ撮影時くらいしか使う必要がなかった。
DMC-FZシリーズの画像は、空や日陰の壁など、似た色が広がる部分にややノイズが出る傾向にあった。パソコン上で100%以上に拡大表示しないと目立たない程度であるが、人によっては気になるだろう。FZ20ではこれが大きく改善されている。今回はDMC-FZ3も同時に撮影を行ったが、明らかにDMC-FZ20のほうがノイズは低く抑えられていた。
この快適な動作と手ブレ補正機能、高倍率ズームレンズを組み合わせることで幅広い状況で確実に、そして快適な撮影ができる。また、レンズ交換式の一眼デジタルカメラに近い感覚で使用できるので、マニュアルを多用するユーザーでも納得できるカメラだろう。
9つある測距点からフォーカスを合わせる位置を任意に設定できないことや、マニュアルフォーカス撮影時にピントの山が被写体によって分かりにくい、緑色の発色がややよくないなど、まだ改良の余地は残っているが、ブレずに望遠撮影が快適に行える機能はすばらしい。運動会などの動きが速い被写体を望遠撮影する機会の多い人はもちろん、幅広い人におすすめできる製品だ。
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