最近、EXILIMといえば「EXILIM EX-Z40」とか最新モデルの「EXILIM EX-Z50/Z55」といった3倍ズーム搭載モデルが売れ筋だが、もともとのEXILIMは超薄型カードサイズデジカメからスタートしている。コンセプトは「ウエアラブル」。
ただ、カードサイズEXILIMは小さくて軽くて薄くて速かったけれども、2004年になり、単焦点パンフォーカスでマクロ撮影に弱いというのは次第にキツくなり、最期のカードサイズEXILIMである「EXILIM EX-S20」は非常にバランスが取れた名機だったけれども時代は完全にEXILIM ZOOMへ流れていたのであった。
だがしかし、カシオは密かにカードサイズEXILIMの流れを組む新たな「EXILIM CARD」の開発を進めていたのだ。
そして登場したのが「世界最小薄型光学ズームカメラ」である。「EXILIM EX-S100」(以下、S100)だったのだ。2インチと大きな液晶モニタに2.8倍の沈胴式光学ズームレンズ+300万画素CCDと標準的なコンパクトデジカメと何ら変わらない基本性能を内包しながら、カードサイズで厚さ16.7ミリを実現したのだ。
例えば、光学ズーム薄型デジカメの代表格であるコニカミノルタの「DiMAGE Xg」が20ミリ、9月9日に発表されたばかりのソニーの「DSC-T3」が17.8ミリであるから、かなり薄いというのが分かる。しかもカードサイズなのだ。
S100の薄さの秘密はいろいろありそうだが、もっとも奥行きをとるのはやはりレンズ。そこにカシオ自身が開発した世界初の透光性セラミックスレンズを採用した。これは村田製作所が開発した透光性セラミックス「ルミセラ」を用いてデジタルカメラ用レンズとして開発したもの。ルミセラの特徴はガラスに比べて屈折率が非常に高くて強度もあることで、屈折率が高いためにレンズ部を小さくできるという。
S100はそのセラミックスレンズを1枚レンズ群の中に組み込むことで、沈胴時の薄型化を実現。EXILIM ZOOMやペンタックスの「Optio S5i」はペンタックスが開発したスライディングレンズシステムで薄型化を実現したが、S100ではセラミックスレンズのおかげでスライディングレンズシステムにしなくてもさらに薄くできたのだ。レンズ部の厚さは15ミリである。
そのレンズは38-103ミリ相当の2.8倍。ただし、F4.0-6.6と他のコンパクトズームデジカメに比べてかなり暗い。広角側は一般的なレンズにくらべて1段(つまり、倍)、望遠側は1/3〜1/2段ほど暗いのだ。セラミックスレンズのせいじゃないかもしれないが、1段くらいとシャッタースピードが半分になってしまうわけで、気軽に使いたいデジカメとしてはややつらい。
撮影距離はマクロがやや弱くなっており、広角端で17センチまでしか寄れない。やや残念な点だ。
CCDは1/3.2インチの320万画素。ちょっと小さめのタイプだ。
ISO感度は50-400だが、レンズが暗めなので、ISO感度をオートにしていると、すぐにISO 200まで上がってしまう。ISO 200だとそれなりにざらつくが、その辺は割り切って使うのがいいかも。
CCDが小さいわりに増感時のノイズは気にならないが、ダイナミックレンジはやはりEXILIM EX-Z55に比べるとちょっと狭く、解像感もさほど高くないという印象だ。
基本的な絵作りはEX-Z55と同等で、ナチュラルで鮮やかな色を見せてくれる。
高画質+明るいレンズに超したことはないが、S100の驚異的な薄さや小ささを考えると、悪くない画質とはいえよう。
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