みなさん忘れていやしないか?――愛するトラックボールのよさを改めて考えるトラックボール(1/2 ページ)

» 2004年09月15日 02時05分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

トラックボールのよさについて改めて考えてみる

 3次元ホイール(記事参照)や、センサーにレーザーを使用するモデル(記事参照)、指紋リーダー付きワイヤレス、Bluetooth通信モデル(記事参照)など、最近高機能・多機能マウスに注目が集まっているようだが、ちょっと待て。トラックボール愛用派のことを忘れてはいやしないか?

 ある日編集部に行くと、ロジクール製トラックボールの現行全モデルが置いてあった。マウス新製品がリリースされたり、それに関するレビュー記事などが載るたびに、編集部に根拠のない文句を言い続けてきたトラックボール愛用派の筆者に、ならばトラックボールの何がいいのかを書いてみろというのだ。

photo ロジクール製トラックボール現行4モデル。左から、Cordless Optical TrackMan(CT-100)、Cordless TrackMan Wheel(CT-64UPi)、TrackMan Wheel(ST-65UPi)、Marble Mouse(ST-45UPi)

 さてロジクールの場合、現行モデルがたった4種類。ポインティングデバイス市場にてライバルとなるマイクロソフトもトラックボール製品をリリースしているが、こちらはもっと少なく、現行モデルは2種類のみ。両メーカーとも現在ではややマイナーな存在となってしまったように感じられる。

 マウスに比べてラインアップが貧弱なトラックボールだが、現在主流となっている光学式マウスの基礎となっているのが、実はロジクールのトラックボールである「TrachMan」なのである。

 ちなみに筆者は「Cordless TrackMan Wheel(CT-64UPi)」を自宅でも仕事場でも愛用している。記憶が正しければ、自宅のものはこのコードレスモデルが出てすぐ購入し、仕事場のものは3年ほど前にロジクールが展開していたコードレスキャッシュバックキャンペーンの時に購入したもので、当然年季入りまくりである。

photo 年季の入り具合は塗装の剥げでお察しいただきたい(左)。なおシルバー塗装は剥げるのでやめて欲しいというのがホンネ

 このCT-64UPi愛着度を軸に、トラックボールのよさについて改めて考えていきたい。

ダイヤモンドに次ぐ硬度の鉱石をボール受けに用いる「3石」仕様なのだ

 上記の通り、3年ほど使い込んでも操作性にはまったく衰えを見せないのがロジクール製トラックボールのよいところだ。

 これは、トラックボールの支え部分がライバル製品と違うところにある。トラックボール製品は、そのボールを三つのボールペンの先のような細い球体で支える仕組みとなっているわけだが、他社のよくあるトラックボール製品の場合、この球が鉄製のものもある。であれば、次第にすり減ってくる。すり減ればガタツキが出て、ボールの回転も渋くなり「そろそろ買い換えるか……」となってしまう。その時にマウスに心変わりしてしまうユーザーも多いことだろう。

 対して、ロジ製トラックボールは「石」を使用している。今回改めて眺めたら、最上位モデルの「Cordless Optical TrackMan(CT-100)」には、赤い人工ルビーが見える。そして手持ちの「CT-64UPi」を含めた下位機種は、白いアルミナが使われている。

 ルビーを含むアルミナ(酸化アルミニウム)はモース硬度「9」と、ダイヤモンドに次いで硬い「石」だ。ちなみに、高級機械式時計などには軸受けにルビーが使われていることからも、経年使用においても磨耗しにくい素材であることが分かる。

 蛇足だが、かつては「100石時計」などといって、その時計にどれだけの数の石があるかということを示すことで高級感を表現していたそうだ(といっても、1時、2時部分などの文字盤上や、ケースを開けないと見えないようなところなど、ほとんどが装飾用。平たく言うと見栄なのだが)。それになぞると、TrackManは「3石トラックボール」ということになる。どうでもいいが。

 しばらく使っていると、ボールに付いた手の脂と埃が、球の周りに詰まって動きが渋くなることもあるが、ボール式マウスのように「びっしりこびりつく」といったものではない。ボールを外してちょいと拭けば元通りだ。

photo ボール軸部に汚れが付きはするが、すぐふき取れる

 対して、光学式マウスはそもそもボールがないので、埃を巻き込んで動きが悪くなるといったことはない。ただし、底面の滑りをよくするシリコン部分が机との摩擦によりどうしても磨耗し、そして汚れる。このため本体そのものの動きが悪くなる。筆者が別途使用しているマウスは、テフロンシールを別途調達して貼ったりしているが、所詮応急処置である。今、これを読んでいるマウスユーザーは一度マウスの裏を見てみてほしい。ほら、汚れているでしょう?

 この酷使し続けているCT-64UPi、ホイールやスイッチの耐久性もそこそこで、現在も衰えはない。もっともクリックのスイッチは、どの製品でもマイクロスイッチが使われているため、数年程度の使用であればめったなことでは壊れることはないだろうが、逆に外装ボタン部の、そのスイッチを押すプラスチック部分が折れたりすり減ってしまうことが多いのである。

マウスと使い勝手が異なるので使いにくい――それは思い違いだ

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