初心者からハイアマチュアまで楽しめるサンプリングシステム「Emulator X」サウンドカード

» 2004年09月17日 17時50分 公開
[北村明子,ITmedia]

 クリエイティブメディアは、新ブランド「Creative Professional」を設立し、音楽の再生・録音・編集に特化したデジタルオーディオシステムを6製品発売した。今回も、その中のサンプリングシステム「Emulator X」をレコーディングエンジニアの岩崎氏(ONAIR新宿スタジオ)に、実際に使ってもらったので、その使用感をお届けしよう。

デジタルオーディオシステム「E-MU 1212m」とサンプラー「Emulator X」のセット

 Emulator Xは、デジタルオーディオシステム「E-MU 1212m」と、ソフトウェアサンプラー「Emulator X」からなる。

 E-MU 1212mは、10 in 10 outの「1010 PCIカード」と、2 in 2outの「0202 I/Oドーターカード」の2枚組。

1010 PCIカード

 1010 PCIカードには、2chのS/PDIF端子、8chのadat端子に加え、IEEE1394端子とLAN端子が搭載されている。

0202 I/Oドーターカード

 0202 I/Oドーターカードには、ステレオ1系統とMIDI端子が装備されている。

 付属ソフトは、メインとなるサンプラー「Emulator X 1.0」とCD-ROM 4枚分のサウンドライブラリ。ドラムキットやベース、ギター、ピアノ、ストリングスなどの音色に加え、E-muオリジナルGM音源やE-muのProteus 2000に搭載されている音源も収録されているのがうれしいところだ。

 また、シーケンスソフトは「Cubase VST 4.0」がバンドルされる。バージョンがかなり古いのが気になるが、手持ちのソフトがasioドライバに対応していれば、他のソフトで代用できる。

実際に音楽作成

 さて、実際にEmulator Xを利用して簡単にデモを行ってみた。Emulator Xソフトウェアは、マルチティンバーで16チャンネル分扱えるが、今回はドラム(1ch)、ベース(2ch)、キーボード(3ch)の3パート。まず、PCとキーボードをMIDI接続し、キーボードを使って思い浮かんだリズム(フレーズ)をそれぞれ打ち込んでいく。シーケンスソフトは、付属のCubase VSTを使用した。

Cubase VSTでドラムのリズムを打ち込んだ

 Emulator Xソフトウェアに割り当てる各チャンネルの音色は、数種類のサンプルを組み合わせたプリセットが用意されている。もちろん、一から自分でプリセットを作ることも可能だ。

 プリセットはギター、ベース、キーボードなどのカテゴリに分類されているので、その中から“エレキギター”や“アコースティックギター”など、好みの音色を探し出して、各チャンネルに音を割り当てればよい。しかし、プレビューがないようなので、実際に割り当てて再生するまでそれがどのような音が分からないのが残念だ。

 ここではプリセットから、ドラムキットにシンプルな“studio kit”、ベースに“acoustic”、キーボードに“clavinet”を選んでみた。

Emulator Xでキーボードの音色を探す

 なお、MDの音やCDの音を追加したい場合は、E-MU 1212mからアナログでPCに取り込めばよい。だがE-MU 1212mにはマイク入力端子がないので、音声を入れたい場合は直接マイクからは入れられない。MDなどに録音してアナログで入力するか、別途マイク端子を搭載したサウンドカードを利用しよう。

 こうして組み合わせて完成した楽曲をCubase VSTで実際に再生してみて、例えば「ドラムをもう少し派手にしたいな」と感じたら、Cubase VSTでスネアやシンバルの打ち数を増やしたり、「ストリングスが欲しいな」と思ったら、ソフトウェアEmulator Xでバイオリンなどのチャンネルを追加し、Cubase VSTでそのリズムを作ればよい。

 もちろん「ごちゃごちゃしすぎた」なんて場合は、キーボードそのもののチャンネルを削除することも可能だ。

 なお、作成したオーディオファイルをCubase VSTで再生すると、若干遅れが出てしまう。レーテンシーを極力小さくしようとすると、今度はノイズが発生してしまうのが気になるところだ。

初心者からこなれたユーザーまで、幅広く使えるキット

 このように、Emulator Xを利用すれば、楽器が弾けなくても簡単に音楽が作成できることが分かった。また、収録された音源は合計で2Gバイト以上と膨大で、かつそれぞれの音質も高い。これらの音源があれば、そうそう飽きることはないだろう。もちろん、手持ちの音源もEmulator Xソフトウェアに取り込んで活用できるため、集めている音源が無駄になることはない。「E-MU 1820m」同様Macintoshには対応していないが、対応環境にあるユーザーは、楽しめる製品だと思う。

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