シャープのPC用液晶ディスプレイはやっぱり「AQUOS相当の画質」が自慢

» 2004年09月30日 20時19分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 液晶IT-TVは、シャープが「AQUOS相当の高画質をPCでも利用できる」とアピールしていることからも分かるように、最近のPCで多くなってきたDVD-VideoやTV番組の視聴を強く意識したPC用ワイド液晶ディスプレイ。

 ラインアップは26インチサイズ「IT-26M1」に23インチサイズ「IT-26M1」、20インチサイズ「IT-20M1」の3製品で構成される(それぞれのモデルで法人向けにカスタマイズ可能な"IL"モデルも用意されている)。それぞれ価格はオープンで、実売予想価格は「IT-26M1」が23万円前後、「IT-23M1」が20万円前後、「IT-20M1」が15万円前後

26インチワイド液晶ディスプレイを搭載した「IT-26M1」がセットになる「PC-TX26GS」

 すべてのモデルで500カンデラ/平方メートルという高輝度パネルを搭載し、デジタルハイビジョンチューナー/レコーダを接続できるD4端子を用意している。また、IT-26M1とIT-23M1は、最大解像度1366×768ドットの16:9ワイド液晶パネルを搭載する(IT-20M1の解像度は1024×768ドット)。

 3モデルともTVチューナーモジュールを内蔵しており、「IP変換」機能や「3:2プルダウン」「三次元Y/C分離」などの高画質機能をサポートしている。機能の項目としては他社製AV重視型PC搭載のチューナーユニットと同等であるが「AQUOSで培ったノウハウをつぎ込んだ」という画質にシャープは絶大なる自信を持っている。

 AQUOSと液晶IT-TVの棲み分けについて、シャープは「エンターテイメントに徹した最高画質を表示できるAQUOSはリビングで使ってもらい、PCユーザーをターゲットにした液晶IT-TVはよりパーソナルな空間で利用していただきたい」と述べている。

AQUOSと液晶IT-TVは「エンターテイメントのAQUOS」「情報端末用高画質ディスプレイとしての液晶IT-TV」ということになる

 デスクトップPC「PC-TX26」シリーズにセットされる液晶ディスプレイは、この「液晶IT-TV」26インチモデルとハードウェア的に同等なもの。PC-TX26シリーズの価格もオープンで、実売予想価格は上位モデルの「PC-TX26GS」が35万円前後、エントリーモデルの「PC-TX26G」が30万円前後。26インチというこれまでにない大型サイズのパネルを採用しながら、実売価格で30万円前後という価格競争力を実現している。

 「AVセンターパソコン」という名称を与えられたPC-TX26シリーズについて、シャープは「従来の単なるデスクトップPCとは異なる、まったく新しいジャンルのPC」とアピールする。その筐体は、PCというより高級なオーディオ機器の雰囲気を醸し出すデザインだ。

 CPUはコストパフォーマンスを優先させるためにCeleron D 330(動作クロック2.66GHz)を搭載。250MバイトのHDDを内蔵し、DVDスーパーマルチドライブを筐体に内蔵している。カードメディアについてもコンパクトフラッシュ、スマートメディア、SDカード、メモリースティック用の専用スロットがそれぞれ用意されている。

オーディオ機器といったほうがよさそうなフロントパネルデザイン。カードスロットやUSB、IEEE 1394などのコネクタは開閉式のカバーに隠れている。液晶で表示されるのはHDDの空き容量とDVDコンテンツの再生残り時間
背面に用意されたインタフェースはLANにUSBに6ピンのIEEE 1394など。ディスプレイ出力はアナログのみで、意外にもDVI-Iは用意されていない

 HDDの増設について、シャープはユーザーによる増設作業を認めていない(内部にドライブベイの余裕があるかどうかについても明言を避けている)。その代わり、より多くのデータを保存するために、本体に用意されたIEEE 1394に接続する外付けHDDユニットによる増設を勧めている。利用できる製品についてはシャープの検証作業が済み次第、Webサイトなどで告知される予定になっている。

 上位機種のPC-TX26GSとエントリー機種のPC-TX26Gの違いは搭載するメモリ容量(PC-TX26GSは512Mバイト、PC-TX26Gは256Mバイト。最大メモリ容量はともに2Gバイト)とサブウーハースピーカユニットの有無(PC-TX26GSはサブウーハーが標準で同梱)。また、Microsoft Office Personal Edition 2003(SP1)が同梱されるのもPC-TX26GSのみ。

 TVチューナーは液晶ディスプレイに搭載されたものと本体のキャプチャーカードに搭載されたものによるデュアル構成。ディスプレイでサポートするピクチャーインピクチャー機能によって、TV番組とPCの同時表示やPCのデュアルディスプレイ機能が利用できる。

液晶IT-TVは2系統の入力をそれぞれ同時に表示するマルチディスプレイモードをサポート。表示サイズもそれぞれ可変OKだ

 ただし、PCへの録画は筐体本体に内蔵されたキャプチャーカードのみが有効になるため、同時複数録画などには対応しない。また、地上デジタル放送などのコピーガードコンテンツについては、ディスプレイ側に用意されたD4端子にデジタルハイビジョンチューナーを接続することで、液晶IT-TV経由の視聴は可能になるが、PC機能を利用する録画に関しては不可能。

 また、シャープは「OSを立ち上げずにTVが楽しめる」と説明しているが、これは液晶IT-TV側を起動すればTVの視聴がすぐにできる、という意味で、ほかのメーカーのように、PC側でOSを立ち上げないで再生録画ができる「インスタントプレイ」的機能はサポートされていない。

 「AVセンターパソコン」というキャッチフレーズにあるように、シャープとしてはこのPCをホームネットワークの中核としてコンテンツサーバ的役割を持たせようとしている。そのために「Media Library」という保存コンテンツ管理ソフトを同梱。録画した番組などの動画コンテンツだけでなく、静止画や音楽ファイルなどをホームネットワークに接続されたほかのPCからも視聴できるようになる。

 クライアントソフトはこれから登場するMebiusノートPCに同梱される予定だが、他社製PCや自作PCからもMedia Libraryで管理されているコンテンツへアクセスは可能、とシャープでは説明している。

 このほか、コンテンツの視聴やTVの録画が簡単な操作で行えるソフトとして「StationTV」も用意。同梱されているリモコンにあるポインティング操作でも再生や録画が楽に行えるように、「縦」「横」の動きだけで各種操作ができるメニュー構成にデザインされている。

シャープが想定する“AVセンターパソコン”の利用スタイル。ポインティングデバイスを搭載したワイヤレスキーボードで、ソファーに座ったまま、離れたPCを簡単にコントロールする

 AVに特化したデスクトップPCが、すでにほかの国内メーカーから数多く登場していることを考えると、シャープの参入はかなり遅くなったとも思える。このタイミングでの「AVセンターパソコン」の投入について、シャープは「26インチという大画面液晶パネルをユーザーが求めやすい価格で提供できるようになった、今のタイミングでAVに特化したデクストップPCを投入することに意味があった」としている。

 また、ほかのメーカー製PCでは、すでに再生や録画が可能になっている「地上デジタル放送」にたいして、PC-TX26では再生のみで録画できないことについては「複雑な要素が絡み合っていて、今回の製品では録画できないことになったが、ユーザーの希望も大きいところではあるので、どのようなことができるか、時間をかけて探っていきたい」と、これからの製品で地デジ放送を扱えるようになる可能性を示唆している。

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