「完成度は一番」と自認するLet's note Rシリーズを生んだ「技術力」と「その課題」を神戸工場に見る(1/2 ページ)

» 2004年10月12日 21時34分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 Let's noteは今年の秋で累計出荷100万台を突破したそうな。「レッツラー」なる言葉に代表される濃厚なるユーザーの支持を受けてきたPanasonicのノートPCは、今では珍しくなった国内一貫製造を続けている。

 Let's noteシリーズの生産拠点は神戸市西区にあるITプロダクツ事業部の神戸工場に集約されている(設計部隊は守口市の事業所に駐屯する)。実はこの工場、児童生徒を対象にした、夏休み恒例の人気企画「手づくりLet's note工房」や大学生のPCカレッジの会場として、たびたびITmediaにも登場している。

「生産現場にいる人間は、なかなか表に出ることがないので、いろいろお話したいことがたまっているんですよね」とスタッフはいうものの、競合他社と比較しても、メディアに紹介される機会が多い生産現場ではある。

 「パナソニックAVCネットワークス社 システム事業グループ ITプロダクツ事業本部 プロダクトセンター」が正式名称の神戸工場。3万2600平方メートルの敷地に幅60メートル、長さ150メートル、3フロアの建物が建っている。

3フロアで構成される工場は、1階が品質管理、環境試験、出荷エリアとして機能、2階で基板実装、PC本体組み立てが行われる

 パナソニックAVCネットワークス社ITプロダクツ事業部 伊藤好生事業部長が「本質要求で他社製品との差別化を図る」と述べる松下電器産業のノートPC戦略で、国内一貫生産体制を維持するのは、ひとえに、新製品を開発するたびにより厳しくなる「本質要求」をクリアするため。

 では、Panasonicが考えるノートPCの本質要求とはなんであるのか。これまでのラインアップをみてみると、ほかのメーカーが積極的に取り組んでいる「AV関連機能」というのはどうも違うようだ。

 で、彼らはノートPCに必要な要素として、次の7項目を上げている。

  • バッテリー
  • 重さ
  • ワイヤレス
  • セキュリティー
  • 耐久性
  • 静音性能
  • 屋外利用

 これらはノートPCの携帯性能を大きく決定付ける仕様であるが、また、それぞれが相対する関係にあるものが多い。例えば、バッテリー駆動時間を長くしようとすると重量は重くなり、軽くするために筐体パネルを薄くしていくと耐久性が損なわれる。

 これらの難しいトレードオフのバランスを取りながら、お互いを高いレベルに到達させようとすると、海外の生産技術では実現不可能。それを可能にするために、松下電器産業は国内の生産を続けている、というのがPanasonicの主張だ。

 先の「7項目」の一つにある、バッテリー駆動時間を延ばすためには、省電力性能を向上させなければならないが、そのためにPanasonicでは、自社で基板開発を行い、実装されているチップ単位という、実に細かいレベルで電力削減を詰めている。

 また、静音性能を高めるために必要なファンレス化でも、放熱効果の高いアルミグラファイトをクーラーユニットに採用。さらに、アルミグラファイトの採用は軽量化にも貢献している(同じ放熱効率を銅では40グラムだったものが、アルミグラファイトでは8グラムで済んでいる)。

 ほかにも、軽量化のために筐体パネルの薄型化では、従来0.9ミリ厚だったものが0.55ミリ厚まで薄くなっただけでなく、W2シリーズでは0.57ミリのパネルを採用しながらも、パネル材質の比重を軽くして軽量化を実現している。

 ちなみに、「軽量化は根性だっ!」とは開発担当の同社高木俊幸氏(テクノロジーセンター所長)の言葉だが、「筐体をハニカムにして軽量化を図っているが、300個の穴をあけて、ようやく4グラム軽くなった」というように、地道で気の遠くなるような工夫の積み重ねでLet's noteの長時間バッテリー駆動や1キロを切る軽量化を実現しているのだ。

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