PCモニター最高画質・最高音質を検証する――FlexScan M190/M170レビュー(前編)レビュー(2/2 ページ)

» 2004年11月15日 00時17分 公開
[リアクション,ITmedia]
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 音質の向上は、スピーカー部分のグレードアップと、サラウンド機能の搭載によって実現されている。まずスピーカーだが、従来のMultiEdgeシリーズに内蔵されていたステレオスピーカーは、出力が1W+1Wと低く、品質的にも「音が鳴る」程度のものだった。

 M190/M170では、出力を2W+2Wに高めるとともに、スピーカーネットにパンチングメタルを採用した。従来モデルのようなプラスチックに穴を開けただけの成形と比較して、音のヌケがよいクリアなサウンドが響く。OSDメニューから、低音と高音、左右バランスも調整できる(従来モデルには調整項目がない)。

 サラウンド機能には、SRC Labs社の「SRS WOW」を採用した。SRS WOWは、SRS、TruBass、FOCUSという3つの技術で構成されている。

 まずSRSだが、正面に配置したスピーカーの音声を、正面、側面、背面から立体的に聞こえるようにする技術だ。音源の位置(正面/側面/背面)によって、人間の鼓膜における周波数特性が大きく変化することを利用している。正面のスピーカーから出力される音声の一部に対して、周波数特性を補正することで、あたかも側面や背面に音源があるかのように聞こえるわけだ。

 TruBassは、重低音(低い周波数の音)を擬似的に作り出す技術だ。例えば、100Hzと150Hzの音源があったとすると、人間の脳は4つの音を認識する。100Hzと150Hzに加えて、100Hzと150Hzを足した250Hz、および150Hzから100Hzを引いた50Hzだ。この中では、50Hzの「差成分」をもっとも強く感じる(脳の勘違い)。TruBassは、原音に含まれる周波数から差成分を作り出し、存在しないはず重低音を人間の脳に聞かせてしまうことができるのだ。

 最後のFOCUSは、SRS技術の応用だ。SRSは水平方向の仮想サラウンドだったが、同じ仕組みで垂直方向の仮想サラウンドを作り出す。音像が明確になり、人の声や楽器の輪郭がくっきりはっきり聞こえるようになる。

 SRS WOWの効果は、OSDメニューで設定する。オフ、モード1(効果弱)、モード2(効果強)という3通りがあり、モード1とモード2の強度は付属ツールの「ScreenManager Pro for LCD」で調整可能だ。SRS、TruBass、FOCUSについて、それぞれ5段階(0〜4)で強度を調整できる。デフォルトでは、モード1がすべて強度「2」、モード2がすべて強度「3」となり、デフォルトのモード2でもかなり強めのサラウンドだ。低音と高音の調整と合わせて、好みや再生ソースに応じてうまく設定したい。

付属ツールの「ScreenManager Pro for LCD」におけるSRS WOWのサラウンド設定。SRS、TruBass、FOCUSの強度を組み合わせた設定を2通りまで保存でき、OSDで使い分けられる

液晶パネルには「FlexScan S170」と同じく高品質なPVAパネルを採用

 M190/M170の液晶パネルに関するスペックは、SlimEdgeシリーズの「FlexScan S170」とまったく同じだ。高品質なPVAパネルを採用し、1000:1という高いコントラスト比、250カンデラ/平方メートルの最大輝度、水平/垂直とも178度の広い視野角を持つ。最大色数は8ビット処理の1677万色フルカラーだ。

 実際の画質も申し分ない。高いコントラスト比のおかげで黒が引き締まり、立体感とメリハリに長ける。トーンカーブでコントラストを高めているわけではないので、シャドウからハイライトまで階調性も良好だ。また、sRGBモードの色調が正確な点も強調しておこう。

 優れた階調性については、ナナオ独自のガンマ調整機能が大いに貢献している。ビデオカードの信号(8ビット、RGB各色256階調)を、M190/M170の内部で10ビット(RGB各色1024階調)に変換し、最適な8ビットに割り当て直す機能だ。液晶パネルのガンマ特性に合わせて補正されるので、RGB各色のガンマカーブのズレがなくなり、素直な階調性が得られる。

 輝度も必要十分で、100%(250カンデラ/平方メートル)で使うと目に厳しいくらいだ。筆者の場合、普通にWindowsを使うときは30〜50%がちょうどよかった(もちろん個人差はある)。暗めの映像を見るときでも、100%では明るすぎるくらいだ。ちなみに、M190/M170は画面上部に環境照度を検知するセンサーを内蔵しており、設置場所の明るさに合わせて輝度を自動調節する機能を持っている。自動調節は、画面下部のボタンで有効と無効を切り替えることが可能だ。

照度センサー

 視野角もスペック通りに広く、上下左右とも視認性にはまったく問題ない。ただし、色調の変化はそれなりに大きめだ。視点を画面の正面から上下左右にずらしていくと、彩度が徐々に落ちていく。なるべく正対して使いたいが、映像なら彩度の低下も静止画ほどは気にならない。

 デジタル接続とアナログ接続の画質差もごくわずかだ。デジタル接続のほうが階調性で上回るように感じたものの、厳密な色にこだわる用途でなければ、気にする必要はない。アナログ接続のオート調整(クロックとフェイズ)も高精度で、1ドットのシャープさもデジタル接続と遜色ないレベルだ。なお、SXGA未満の解像度は、画面全体に拡大表示される。スムージングの強度は5段階で調整可能だ。

 M190/M170の画面は映り込みを抑えるノングレア処理だが、オプションの保護パネルを使えば、光沢の表面処理を演出できる。保護パネルはダブルフェイス仕様になっており、片面は光沢処理、もう片面はノングレア処理のリバーシブルだ。保護パネルの透過率は90%を実現しており、発色を含め画質的な低下はまったく感じない。

 次に実際に応答速度を他の一般的な液晶モニターと比較する実験を行ってみた。(後編に続く、後編アップ後リンク張ります)

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