日本の「パソコン」はどこへ行く?(1/2 ページ)

» 2004年12月06日 11時37分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 米国の調査会社「Gartner」が発表した、「PC大手3社が3年以内に消える」という大胆な予測は、パソコン業界を震撼させるに十分なインパクトをもって受け止められたようだ。数日遅れて発表されたIBMがPC事業を売りに出したという記事も、その予測に裏打ちされたリアルな現実をわれわれに叩き付ける。

 IBMのノートPCは、ベテランPCユーザーに人気が高い。高スペックなのに加えて、キーボードの作りが良く、指名買いも多い。またアキバあたりでは別売のIBM製キーボードも、堅調な売れ行きを示しているという。

 先日もレビューが載ったばかりだが、IBMのハイエンドスリムノート「ThinkPad T42p」は、指紋認証機能を備えた、技術的にも意欲的なモデルだ。だが価格は45万円を超える。仕事でどうしても必要な人やIBM一筋な人はともかく、すでに一般ユーザーが買う金額ではなくなっている。

 「Gartner」の予測に対する反論記事では、今後新たに15億人を超える市場が立ち上がるとしている。今後世界レベルでのパソコンの伸びしろは、Microsoftがこれらの地域に対して廉価版OSを投入していることから考えても、中国をはじめとするアジア地域を指していると考えていいだろう。

 だがこれらの地域は、先進国から比べると平均所得額などに大きな差がある。したがって投入するパソコンはかなり低価格でなければならず、それが実現できるかどうかが問題なのだ。「PC大手3社が3年以内に消える」という予測は、別の理由からもそのまま当てはまっていることになる。

AV機能はパソコンを救うか

 これらは世界レベルの市場動向だが、一方で日本市場はどうだろうか。日本にはアキバという特殊な地域があるため、そこだけに注目していては、日本の平均値がわからない。

 新宿あたりの量販店、あるいは郊外の量販店をのぞいてみると、もはやパソコンは売れ筋商品とは言えなくなってきているのをひしひしと感じてしまう。パソコン売り場は、AV家電コーナーに比べて明らかに活気がなくなってきている。とくにデスクトップ売り場は、活気がないというよりも人気(ひとけ)がないような状態にまで落ち込んでいる店もある。

 近年、国内市場向けパソコンは、テレビ録画機能が必須となっている。早くからテレビ録画機能を搭載したソニーのVAIOが好調であった時期に、各メーカーのデスクトップ機が一斉に相乗りした。最近では、ノートPCしか作っていない東芝でさえも、ノートPCでテレビ録画モデルを出している。

 同じくノートPCしか作っていないシャープでは、テレビ録画機能を重視して、テレビ録画機能を重視して、ついにデスクトップモデルが復活した。一見するとまるでDVDレコーダーのようなルックスの「Mebius TX」は、まさにその機能を形で表わしている。同社のデスクトップ機としてはX68000シリーズを思い出すが、一時期2000年あたりには、液晶一体型を始めとするデスクトップPCを作っていた。デスクトップPCとしては、それ以来の参入となる。(編集部注:初出時、「X68000以来の再参入となるのではないか」とありましたが、正しくは上記の通りでした。お詫びして訂正いたします)

 パソコンをレコーダー化するという動きは、他にもある。最近はすっかり一般誌でもおなじみになったLivedoorでも、パソコンなんだかレコーダーなんだかというマシンを販売している。

 この「インターネットコミュニケーションTVフルインストールユニット」と名前が長すぎて覚える気も起こらないマシンは、まさに同機が“できること”を体現している。よくは知らんが、Webが見られてメールができて、テレビが録画できるユニットなのだ、きっと。実際に多くのテレビ録画機能付きパソコンで行なわれているのは、ほとんど上記のことだけだろう。まああとは季節柄、年賀状を印刷するぐらいか。

 果たしてテレビ録画機能は、パソコンを救うのだろうか。もともとVAIOがテレビ録画機能を搭載したのは、他社との差別化のためであった。だがこうまで他社が追従してきてしまうと、もはや差別化にはならない。

 さらにクオリティで一歩上に逃げようとしているのが昨今のVAIOだが、その差が分かってお金を出す人というのは、人数で言えばそう多くはないだろう。もっともソニーは薄利多売ではなく、付加価値の高い高額商品で稼ぐというのが信条なので、それはそれでいいのかもしれないが。

モバイルPCよ、もう一度

 かつて「モバイルPC」が受けたのは、いかにフルスペックのデスクトップPCから機能をそぎ落としていくかという、機能の捨て方がポイントであった。その捨てる項目に各社の特徴があり、ユーザーは自分が「これだ!」と思うノートPCを血眼になって探したものだ。

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