i:robeシステムの全貌と未来への予感(2/5 ページ)

» 2004年12月09日 18時17分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 CCDは1/2.7インチの400万画素。

 基本的にフルオート系コンシューマ機なので、ISO感度はオートのみ(64〜400だが撮ってみるとISO80をベースに細かく変動するようだ)で、ホワイトバランスもオートの他プリセットが4つだけ。スポット測光モードもあるものの、もうフルオートとシーンモードで撮るデジカメと割り切ろう。円形十字キーの下方向はカスタマイズできるので、そこにホワイトバランスを割り当てればけっこうメニューレスで一通りできる。

 写りは、広角側の収差や大きな輝度差のエッジに現れるパープルフリンジ(紫色の縁取りがでちゃう)は大きいものの、露出やホワイトバランスのヒット率はなかなかで色は悪くないし、シャープネスもきつすぎずに鮮やかな見映えのする絵が撮れる。ちょっと暗いとすぐAFが合いづらくなるのが難点かと思うが、試作機ゆえかもしれない。

 このデジカメで注目すべきはやはり2.5インチの大型液晶とユニークなモードダイヤルだろう。

 液晶モニタは大きいだけでなく半透過型のサンシャイン液晶で屋外でもそこそこ視認性があり、約21万画素でけっこう精細。発色もいいし描画も滑らかでなかなかのレベルだ。これはよい。

 その横に大きなモードダイヤルがある。

 基本はP-AUTOだが、VIVIDという色を鮮やかにしたモードが独立したモードになっており、派手目の絵が好きな人は随時このモードを使うといい。特に晴天下ではなかなか効果的だ。

 さらにポートレート、風景、自分撮り用とモードがあり、それ以外はシーンモードに入っている。料理や打ち上げ花火(もっとも三脚穴はないので撮るのは大変そうだが)、ドキュメント、寝顔、ショーウインドウとなかなか多彩だ。

画像 シーンモードではこのように解説付きでシーンが用意されるのでわかりやすい

 画像は400万画素の高画質モードでも1枚あたり600〜800Kバイトレベル。かなり圧縮率を上げてあり、できるだけ撮影枚数を増やそうという意図が見える。

 動画は電子手ぶれ補正機能を搭載しているので手ぶれを軽減させられる。が、VGAサイズでは秒15コマどまりなのがやや残念。もっとも800×600で秒15コマというモードは連写代わりにも使えてうれしい。

 注目すべきは再生モード。通常の再生以外に、アルバム機能(指定した写真をアルバムに登録できる。アルバムは全部で12個まで作成可能)やカレンダー機能(撮影した日にだけサムネイルが出て、その日に撮った写真を見られる)が用意されている。さらには時計表示機能もある。

 「見る」ことにも多くの機能が割かれているのが特徴なのだ。だからできるだけ大容量(256Mバイトや512Mバイト!)のxDピクチャーカードを装着し、どんどん溜め込んでいった方が楽しそうである。

画像 カレンダー表示機能もIR500の特徴の一つ。これを活用するには大容量メディアが欲しいところだ
画像 時計表示機能もついている

 重さは約172グラムと重くはなく、気軽にバッグに入れて日常風景を撮るデジカメとして楽しみたい。なおボディにはUSB端子などはなく、付属のクレードルを使って画像転送や充電を行う。このクレードルは後述するHDDと合体するので、それもにらんだ構成になっているのだ。

画像 クレードルにセットするとUSBでPCとの接続と充電の両方がすぐできて便利
画像 バッテリーは専用のリチウムイオン充電池。メディアはxDピクチャーカードだ

 製品版でないとはいえレンズ性能や起動時間が今ひとつで画質追求型の人にはちょっとお勧めしづらい。でもシーンモードを中心とした撮影機能や豊富な再生機能は楽しめるし、液晶モニタもきれい。画質自体は結構がんばっており、日常的にスナップを撮るには十分。

 液晶モニタもきれいで観賞用としても優れている。撮るだけでなく、写真をメディアに溜め込んで持ち歩き、自分で見返したり友達に見せたりして楽しむという、撮って持ち歩いて鑑賞するという新しい楽しさを追求しようというデジカメなのだ。

 個人的には、ここまでやったのなら小型HDDを内蔵してもらいたかったと強く思う。そうすれば「撮ったものを持ち歩く」、「カレンダーで日付で振り返りながら以前撮った写真を鑑賞する」、「アルバムを楽しむ」という製品の新しさがより際だつと思うからだ。新コンセプトのシリーズだけにもうちょっと思い切ったムチャをやってもよかったんじゃなかろうか。

IR-500と専用外付けHDDをつなげて使ってみる

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