モバイルコンピューティングを実践するためのモバイルPCには、軽く・薄くといった物理的な携帯性を高める要素が求められてきた。これは現在でも変わらない。モバイルコンピューティングでは、身に付けるようにいつでも持ち歩ければ持ち歩けるほど、そのパワーが活きてくる。軽量・コンパクトであることは、モバイルPCの基本条件だ。
しかし、当然ながら、PCとしての操作性・快適性を損ねない範囲でなければならない。キーボードの使いやすさ、バッテリでの長時間駆動、それに現在の主要アプリケーションが快適に動作するパフォーマンスも必要となる。これらは技術的には軽量・コンパクトと相反する要素だが、それをどこまで技術でカバーできるかがモバイルPCの価値を決めると言っても過言ではない。
新型dynabook SSシリーズも、当然ながらその点をきちんと押さえてきた。薄型・軽量の光学ドライブを採用するといった工夫で、PCとしての機能性を殺さずに軽量化を果たしている。
とはいえ、この二つのテーマだけでは欠けているものがある。それは堅牢性などに代表される“安心感”だ。
ビジネスにおけるPCへの依存度が高まれば高まるほど、PCが使えないときとのギャップは大きくなる。モバイルコンピューティングにより、使えない場面を減らすことはできるが、PCを持ち歩くようになると、今度はノートPCが故障するリスクが高まってくる。
持ち歩いていれば鞄を落とすこともある。満員電車で強い圧力に晒されることもあるはずだ。モバイルPCはデスクトップPCよりも、はるかに過酷な条件下においても十分に高い信頼性がなければならない。大切なビジネスの情報が失われたり、壊れてノートPCが使えない状態になってしまえば、せっかくのビジネスチャンスを失うことにもなるからだ。
新型dynabook SSシリーズの真骨頂は、薄型・軽量と機能性・操作性を両立するだけでなく、同時に堅牢性や情報の保全性・安全性をもバランス良くコンセプトに取り入れている点にある。
たとえば軽量にするだけであれば、筐体の厚みを薄くすればよい。しかし、薄くすれば強度が落ち、ひいては内部の基板やHDDに強い衝撃やストレスが伝わりやすくなる。剛性が不足するほどに筐体を軽く・薄くすることも可能だろうが、それでは安心感が損なわれ、モバイルPCとしてのバランスは悪化してしまう。
新型dynabook SSシリーズはマグネシウム筐体の厚みを0.8ミリに設定した。技術的には0.6ミリ以下の成形も可能だが、あえて0.8ミリとしているのは、開発目標に掲げた剛性と強度をフラットボディで実現するためには、それだけの厚みが必要だったからだ。
さらに、液晶パネルやHDD、マザーボードなどを守るため、ショックプロテクタで衝撃を吸収する構造を採用した。HDD保護のため、落下を検知してヘッドを待避させるHDDプロテクション機能も実装している。さらに、HDDや液晶パネルなどの壊れやすい重要パーツは、衝撃吸収性の高い特殊なゴム素材でフローティングマウントして、衝撃による故障を軽減できるようにした。
キーボードに水滴が落ちても重要なデータが失われないように、水分がキーボードの隙間からマザーボードなどの電気回路部分に浸入するのを遅らせるウォーターブロック構造も採用された。dynabook SS LX/L10では、HDDのミラーリングまで可能だ。
このように、単純に軽いだけ、あるいは操作性が良いだけ、といった偏ったバランスではなく、実際に持ち歩いた際の安心感も含め、ビジネスでモバイルコンピューティングを実践しているユーザーにとってのウェルバランスを実現するために最新技術を投入したのが、新型dynabook SSシリーズなのである。
これは最近のノートPCにはあまり見られなかった新しい考え方だ。モバイルPCに必要なものは何なのか? スペック表だけで製品を比較しているのであれば、もう少し落ち着いて製品の特徴を俯瞰してみるといい。そこに理想のモバイルPCの姿が見えてこないだろうか?
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