自社開発BIOSで、企業ユーザーのニーズにきめ細かに対応東芝 新型dynabook SSシリーズ(1/2 ページ)

» 2005年01月19日 17時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 dynabookシリーズは個人ユーザー向けの製品としても人気を博してきたが、もう一方のビジネスターゲットは、言うまでもなく企業の一括導入である。

 この市場では、コンピュータ単体としてのハードウェアクオリティ、機能、操作性が優れているだけでなく、企業システム全体の中においてもより良いコンピュータでなければ、他社に対する優位性を確保することはできない。

 このページでは、新型dynabook SSシリーズにプリインストール、または販売代理店経由で配布される企業ユーザーをターゲットとしたユーティリティやオプション類が、どのようなポリシーで作られているのかをチェックしてみよう。

自社開発BIOSだからできるきめ細かな配慮

 ハードウェアとソフトウェアの間を取り持つ要素として、BIOSは未だに重要な役割を果たしている。BIOSは本来、プログラムがハードウェアにアクセスする際に呼び出す、小さなソフトウェアの機能ブロックだった。しかし時はWindowsやLinuxの時代。ほとんどのハードウェア機能へのアクセスに、BIOSは必須ではなくなった。

 しかしセキュリティのため、デバイス管理のため、そしてハードウェアに近いローレベルの独自機能を実装するために、BIOSはその役目を終えていない。

 BIOSは多くの場合、互換性を保証できるBIOS専門の開発会社がPCベンダーに基本部分を提供し、PCベンダーは必要であればそれをカスタマイズして自社の製品に組み込む。かつて自社でBIOSを開発していたPCベンダーも、今ではBIOSベンダーに依存しているところが多い。その方が効率的で、コストを削減できるからだ。

 しかし東芝はBIOSを他社に依存することをよしとせず、自社開発にこだわり続けている。前述したように、ソフトウェアの互換性など、本来のBIOSが持っていた役割に関しては、他社製を使っていてもほとんど問題はないだろう。しかし、自社で開発しているが故の自由度は失ってしまう。

 自社でBIOSを持っていれば、ローレベルでハードウェアと結びついた機能をより簡単に実装することができる。もちろん、BIOSベンダーのBIOSをカスタマイズすることでも可能だが、すべてを自社で開発する方が身軽で自由が利くことは容易に想像できるだろう。そして東芝は、それを自ら実践している。

 その成果は、たとえばHDDクラッシュを未然に防ぐ「東芝HDDプロテクション」機能(BIOSがWindows上で動作するユーティリティに3D加速度センサーの情報を通知)や、不要時に光学ドライブの電源を完全にオフにすることで省電力化を実現する「ドライブ電源オフ」機能など、さまざまな部分にちりばめられている。

3D加速度センサーの情報を利用してHDDクラッシュを未然に防ぐ「東芝HDDプロテクション」
「ドライブ電源オフ」の画面 不要時に光学ドライブの電源を完全にオフにできる「ドライブ電源オフ」機能

 機器や内蔵パーツの各種情報、ドライバやアプリケーションのバージョン、ハードディスクの故障予測情報などを管理する「東芝マネージメントコンソール」もそうしたソフトウェアの一つだ。東芝マネージメントコンソールには、別途企業向けに無償提供される管理者用コンソールがあり、ネットワーク経由でクライアントの状態を監視することもできる。

「東芝マネージメントコンソール」の画面 機器や内蔵パーツの各種情報、ソフトウェアのバージョン、故障予測情報といったクライアントマシンの各種情報を一元管理できる「東芝マネージメントコンソール」

 東芝マネージメントコンソールは通常のデスクトップ管理ツールよりもはるかにきめ細かな管理が可能だが、その背景に存在しているのは、やはり独自開発のBIOSだ。

 とはいえ、自社BIOSの採用でもっとも大きな成果を上げているのは、なんと言ってもセキュリティの向上であろう。

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