VRChat経営陣が来日 “スタンミショック”でユーザー激増からの定着──独特な“3rdプレース”ビジネス化の展望(1/3 ページ)

» 2025年12月22日 13時52分 公開
[武者良太ITmedia]

 ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」は、ワールド(空間)やアバター(分身)、ファッションをユーザーが制作/公開できるUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)型のサービスとして浸透してきました。

 主にVRゲームの1つとして知られてきましたが、Windows PCのデスクトップモードやAndroidデバイス、そして10月から始まったiOS版の提供によって、誰でも手軽にアクセスできるマルチプラットフォームなコンテンツに変貌しています。

photo VRChatのイメージ(出典:VRChat)

 バーチャルイベントへの参加や、“バーチャルなたまり場”的な友人とのハングアウトを起点にコミュニティーが生まれ、そこに課金や販売の仕組みが重なることによって経済活動が活発化してきている中、12月17日に秋葉原でVRChat社主催の公式オフラインイベント「VRChat Japan Business Experience 2025」が開催されました。

 動員数は500人規模とされており、ビジネス層の関心が高い場として設計されていたことが読み取れます。

 翌18日にはビジネス/メディア向けのセッションが開かれ、同社のジェレミー・ウィールフェルダー氏(VP of Operations & Legal)、ケイシー・ウィルムズ氏(VP of Product,Design&Production)、そしてVRChat Business Development Japanの北庄司英雄氏によって、VRChatがビジネス領域でどのように存在感を出していけるかについて語られました。

photo 左からジェレミー・ウィールフェルダー氏、ケイシー・ウィルムズ氏、北庄司英雄氏

VRChatの本質は「サードプレース」

 VRChatの中核は、仮想空間という器そのものよりも、UGCが集まる場と、そこで起きるソーシャルな相互作用にあります。

 ユーザーはアバターで同じ空間に入り、会話し、イベントに参加し、コミュニティーを作ります。ワールドもアバターもバーチャルファッションも、ギミックの数々もユーザーが制作/公開できます。落ち着くチル空間で友達と雑談したり、コンサートホールでバーチャルライブを見たり、ゲームで遊んだり、バーイベントにキャストとして参加したりと、使い方は多様です。そしてVRChatに人が集まり続けること自体が価値になっています。

photo サードプレースのイメージ(クリックで拡大)

 この価値を整理するキーワードが「Third Place(サードプレース)」です。サードプレースとは、家庭(第一の場所)や職場(第二の場所)とは別に、人が集まり、会話や交流が生まれ、偶然の出会いが起きる第三の居場所を指す概念です。

 同じ場所に居合わせて得られる体験そのものが価値になります。なお、VRChat側も、近年の公式発信で「(VRChatは)a true Third Place」と明示的に位置付けています。

 2021年にNetflixからVRChatに転職したケイシー氏は、「VRChatに初めて入ったとき、どうすればいいのか戸惑った」といいます。これは、VRChatに触れてみたけどなじめなかった方々が口をそろえて言っていることでもあり、大きな課題であるといえます。

photo サードプレースとしての居場所を獲得できた人は、VRChatの継続率が高い(クリックで拡大)

 ところが2024年におきた“スタンミショック”(日本で人気ストリーマーのスタンミ氏がVRChatを始めてから、VRChatに興味を持ってアクセスするユーザーが激増した現象)以後、引き続き滞在するユーザーの行動から、サードプレースを見つけられた人ほど(VRChatへの滞在を)継続する傾向が見えたとのことです。

photo VRChatはバイラルの波が数カ月ごとに起きている(クリックで拡大)

 そのため、(VRChatを伸ばすためには)「人が自分の居場所を見つけられるようにする」ことが重要だと述べました。理念としてサードプレースを掲げるだけでなく、機能開発の優先度としても扱っていくといいます。現在開催中のイベントを見つけやすくする導線や、興味に合うグループ/コミュニティーを発見する仕組み、友人との接続を補助する機能などでVRChatになじむまでの摩擦を減らし、滞在時間やリテンションにつなげます。

 VRChatがビジネスに変換しようとしているものは、まずこの「サードプレースとしての価値」だと言えます。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年01月09日 更新
  1. 世界中のMacでロジクール製品に不具合 原因はアプリの“証明書の期限切れ”  近日中に修正へ(更新あり) (2026年01月07日)
  2. 古い車でもCarPlayやAndroid Autoが使える「ケイヨウ ワイドディスプレイオーディオ」が20%オフの1万5800円に (2026年01月07日)
  3. ゲーミングPCを売ってください――ソフマップが異例の呼びかけ 背景は? (2026年01月08日)
  4. Fire TVがUIを一新 テーマは「すっきりサクサク」 米国では2月から順次適用 (2026年01月07日)
  5. 新型「Echo Show 11」は「買い」か? 激変したUIとデザイン、ジェスチャー廃止の影響を「Echo Show 8」と徹底比較 (2026年01月07日)
  6. +2万円の価値はある? 「Amazfit T-Rex 3 Pro」実機レビュー チタン×サファイアガラスで進化した“タフネススマートウォッチ”の実力を試す (2026年01月07日)
  7. 2026年のPC市場は「茨の道」か メモリ枯渇と価格高騰が招く“二極化”のシナリオ (2026年01月05日)
  8. 壁掛けの15.6型スマートディスプレイ「Amazon Echo Show 15」が21%オフの3.8万円に (2026年01月07日)
  9. 1万9800円でこのデザイン! 希少なホワイトボディーのモバイルディスプレイ「amadana DP10」の使い勝手を試す (2026年01月08日)
  10. 「Core Ultra(シリーズ3)」はワッパ重視の“バッテリー寿命王”――Intelが激推しする背景から見える戦略 (2026年01月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年