VRChat経営陣が来日 “スタンミショック”でユーザー激増からの定着──独特な“3rdプレース”ビジネス化の展望(3/3 ページ)

» 2025年12月22日 13時52分 公開
[武者良太ITmedia]
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マーケットプレース:アイデンティティーの入口と流通を作る

 3Dデータやアバターギミック、ワールド内アイテムなどの売買は、VRChat内の経済活動の基盤になり得ます。クリエイターが収益を得られるクリエイターエコノミーの仕組みも含め、さまざまな形でコンテンツをVRChat内に持ち込む道が開けている、という説明でした。

 ここで提示されたのが「新規ユーザーはVRChatに自分のアイデンティティーを探しに来る」という視点です。例えば、VRChat外部のECサイトであるBOOTHは公開資料で「3Dモデルカテゴリ」の取引規模を継続的に示しており、2024年は取扱高が58億円超だったとされています。

 一方で、外部で購入したアバターや衣装をVRChatで自分のものとして使いこなすには、Unityの理解が必要です。そうしたハードルを下げる導線として、VRChat内マーケットプレースを位置付ける。さらに、そこに見覚えのあるキャラクターやIPが並ぶと、初めてのユーザーでも「まず試してみる」入口になり得る、というわけです。

広告:ただ露出させるのではなく体験に内包する

 広告についてジェレミー氏は、日本のパートナーが「革新的な没入型の広告キャンペーン」を実践してきた点を評価しました。VRChat内の空間に宣伝文句を並べるのではなく、体験の中にメッセージを埋め込む。イベントやマーケットプレースの設計とも接続しやすく、ここでも「サードプレースの体験価値」を企業が扱える形にする意思が見えます。

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 発言を総合すると、VRChatはサードプレースとしての体験価値を企業が投資/運用できる構造へ変換しようとしています。イベントはVRChatアプリを起動してアクセスしてもらうための理由を作り、マーケットプレースはアイデンティティーの入口と流通を作る。広告は体験に内包され、看板以上の没入型キャンペーンへ寄っていく。

 そして日本は、ビジネスパートナーとクリエイターの厚み、企業側の関心の強さを背景に、そのゲームチェンジを進める重要市場であると繰り返し言及されました。

 VRChatは2026年に向けて、イベントとコンテンツを中心に、機能とマネタイズ手段を拡充する方針を示しました。次に問われるのは再現可能な型、すなわち成功モデルがどこまで整うかです。

 企業がサードプレースを扱うために必要な要素をVRChatがどこまでプロダクトと制度の側に引き寄せられるのか。そのアップデートも、ビジネス側の活用像をより具体化していくことになります。

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