代理店・顧客が驚嘆――ニコン・トリンブルの最新測量システムは反射型液晶の富士通タブレットPC富士通タブレットPCユーザー事例(2/2 ページ)

» 2005年01月17日 18時00分 公開
[ITmedia]
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 実際に測量点に立つミラーマン自身が測定対象物の情報を入力するため、測量対象の入力を間違えることがなく、作業が円滑に進められるのが同社製システムの特徴だという。下水道のマンホールから電柱、歩道の縁石、U字溝に至るまで、日本の土地にあるあらゆるものには公共測量作業規定で決められた固有の番号が振られている。ミラーマンはその番号を入力し、図面上で入力結果を見ることで正確かつ素早い作業が可能となるのである。

 GUIDERシステムの始まりは、前述したようにJECという会社が開発したもので、発売は1994年。Windows 3.1 for Penを用いて開発していた。現在のGUIDER Vは5世代目の製品となる。その間に多くのフィードバックを受け、現在のものへと発展してきた。だからこそ、現場の使い方に即した機能と使いやすさを備えているのだろう。

 有田氏は「日本は測量精度や規定がもっとも厳しい国です。だからこそ、自動化によるメリットも大きいと言えるでしょう。世界でもっとも厳しい市場で揉まれた経験とノウハウが我々の持つもっとも大きなアドバンテージとも言えます」と語った。

これまで使用してきた専用マシン

富士通製タブレットPCは環境適応の高さが魅力

 では、同社システムはなぜタブレットPCを採用したのか。測量CAD専用機として使うのであれば、何もタブレットPCである必要はない。バーティカル業務向けのペンコンピュータを仕入れ、専用機として仕上げる方法もあるだろう。

 「タブレットPCには電磁誘導式のペンシステムを搭載しながら、コストパフォーマンスにも優れるという良さがあります。我々のシステムでは、まず両手が使えなければ仕事になりませんから、ペン入力は必須のものです。ところが感圧式では図面入力を行えるほどの操作感や精度を出せません。またペンに電池が必要なシステムも、現場で使えなくなる可能性を考えると使いにくい。測量対象の情報を文字入力することもありますから、手書き認識技術に優れている必要もあります。これらすべての要素が、タブレットPCには最初から含まれています(有田氏)」

 測量の現場では、荒っぽい使われ方もするだろう。オフィス用PCとは使われる場面が異なり、その結果、ニーズも微妙に異なると考えられる。そうした中で、富士通製タブレットPCを採用した理由はどこにあるのだろうか?

 「我々が求めたのは、環境に対する耐性です。炎天下の中、測量を続けたり、車の中に機材を入れたまま放置したり、逆に真冬の寒い中で測量を行わなければならないこともあります。たとえば液晶パネルの温度が上がりすぎると液晶が沸騰し、黒ずんで見えなくなることもあります。また地面に落としたり、雨が降ってきたり。そうした環境への適応性が高い機種として選択しました。また、新モデルで反射型液晶パネルが採用されたことも大きいですね」と有田氏。

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実際にひさしを装着した様子

 富士通FMV STYLISTICの最新シリーズ「FMV-STYLISTICTB11/R」には、フロントライト付きの反射型液晶パネルが搭載された。反射型液晶パネルは外光を取り込み、背後のミラーからの反射光を利用して像を表示するというもの。暗い場所でも使えるよう、液晶パネル前面から明かりを供給するフロントライトもあるため応用範囲も広い。

 「測量は明るい日中の作業が主となるため、炎天下でもハッキリと画面が見えなければなりません。オリジナルの専用キャリーケースを開発し、ケースに“ひさし”機能を付けることで従来は凌いでいましたが、顧客からの不満は大きかった。しかし、FMV-STYLISTIC TB11/Rの反射型液晶パネルは、太陽光が強ければ強いほど、むしろ見やすくります。顧客へのデモでも“この機種以外は考えられない”と驚きの声が多数上がっています(有田氏)」

太陽光下でのFMV-STYLISTIC TB11/Rの画面の様子反射型液晶は太陽光が明るいほど視認性が向上する
ちなみにこちらは通常の液晶を搭載した旧世代のFMV-STYLISTICTB10

 見やすさだけでなく、反射型ではバックライト分の消費電力を節約できるため、同じバッテリでも長時間の駆動が可能になるといった長所もある。顧客から拍手喝采を受けたという反射型モデル。もちろん、それはSTYLISTICの高い耐環境性能があってこそのもの。ニコン・トリンブルの事例は、明るい場所での利用という顧客ニーズにいち早く対応した富士通開発陣の意図が見事にマッチした好例と言えそうだ。

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