Longhornを待たず仮想化技術導入を目指すIntel(2/2 ページ)

» 2005年03月07日 13時15分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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VMM開発はItanium 2版が先行

 もっとも、市場にSmithfieldが登場しても、すぐにVTを利用することはできない。VTに対応したWindowsやLinux上のVMMが存在しないからだ。IDFの展示会場にはVirtual PCやVMwareのデモが行われていたが、問い合わせてみると、すべて「テクノロジーデモで、実際にVTで動作しているわけではない」と話していた。

 いつも用意周到な(しかもVTに関しては何年も前から構想を温めていたハズ)Intelにしては、ずいぶん間の悪い話だ。やはり32ビット版に関しては、Longhorn以降に対応予定だったと考えるのが妥当だろう。技術面の質問に対しても、具体的な実装の話は見えてこず、具体的な実装についてはいまひとつ見えてこなかった。

 一方、Itanium 2版は開発が先行しており、IDF会場では日立製作所がItanium 2用のVMMの動作デモを行っていた。日立のVMMはシステム上で利用可能なプロセッサ(同時実行スレッド数)を、任意の仮想マシンに割り当てることが可能になっていた。

 パフォーマンスの面でも、Itanium 2版VMMはホストOSからの影響を全く受けない上、I/Oイベントの仮想化処理でホストOSのドライバを通す必要がないため、WindowsやLinux上でVMMを動かすクライアント版VTよりも有利だと話す。

 また開発担当者は「Itaniumのプラットフォームは、もともと、ハードウェアの仮想化を意識してあるようで、VTの実装は比較的容易。そうした意味でも、サーバに仮想技術を載せる場合はXeonよりもItanium 2の方が有利なのでは」と話した。

パフォーマンス面でのVTの貢献

 ではVTを用いることで、本当に仮想マシンのパフォーマンスを上げられるのか? この点は大きな疑問だとして抱いている読者も多いと思う。

 まず、これまでのVirtual PCやVMwareではOSに対して動的にパッチを当てたり、特殊な書き方をされているプログラムをバイナリレベルで別の互換性が高いコードに書き換えるなどのテクニックを駆使する必要があった。このため、製品によってOSのサポートがマチマチだったのだ。しかし、VTでは従来、完全にソフトウェアだけで仮想化できていなかった部分も、ハードウェアの支援で仮想化が容易になっているという。

 加えてパフォーマンス上、重要なイベントをハードウェア支援することで、ソフトウェアによるハードウェアイベント仮想化の数を激減させる。図(vtperformance)は、ベンチマークプログラムのSYSmarkを実行した時、VMMがソフトウェアで仮想化処理を行ったハードウェアイベント数を示したものだ。

ソフトベースの仮想化とVTサポート付き仮想化の比較 ソフトベースでの仮想化処理とVTを利用した場合の仮想化処理の、ハードウェアイベント発生数比較グラフ

 このグラフを見ると、I/Oイベントに関しては減っていないが、割り込みイベントの仮想化が激減していることがわかるだろう。VMwareの担当者によると、仮想マシンのパフォーマンスに最も大きな影響を及ぼすのは割り込みイベントだという。

 I/Oイベントの仮想化を行おうとすれば、ディスクコントローラやGPUなど、あらゆるハードウェアが仮想化可能なアーキテクチャになっていなければならない。将来的には、GPUパワーを仮想マシン間でシェアリング管理(たとえばゲームを実行している仮想マシンに対してGPUリソースを優先して割り当てるなど)も行えるようになるだろうが、現時点ではプラットフォーム全体の準備が不足しているのだろう。

 Intelはもともと、当初導入予定のVTは初期段階のもので、最終目標はCPUだけでなくPCのあらゆる要素を仮想化し、仮想マシン間で自在にシェアしながら同時並行的に動作させることだと話している。

 とはいえ、割り込みイベントなどの高速化だけでも、相当にパフォーマンスアップできていることは間違いないだろう。既にVMMが動作しているMotencitoマシン上での実験では、I/Oの競合さえ起きなければ、仮想マシンであることを意識させない性能だという。「フロントエンドで仮想マシンを使っていても、それが仮想マシンとは気付かないレベル」とは日立の担当者の弁。

 VTはサーバ、デスクトップだけでなく、デュアルコアのモバイルプロセッサYonahでも利用できる。さまざまな面で楽しみな技術であることは間違いない。ただしSmithfield向けの、つまりEFIを利用できないプラットフォームでのVTサポートは、いつになるのか現時点ではわからない。

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