HDD市場の97%をまかなえるシーゲイトの強みとその狙い(1/2 ページ)

» 2005年06月09日 21時14分 公開
[小林哲夫&編集部,ITmedia]

 日本シーゲイトは6月9日、垂直磁気記録技術を用いるノート向け2.5インチHDD含む、HDD製品計10種類を発表した。

 コンシューマエレクトロニクス(CE)市場向けとしては3.5インチHDD「DB35」シリーズに、現状単一ドライブとしては最大容量となる500Gバイトモデルを追加し、1インチの「ST1」シリーズに4G、8Gバイト製品を、そして新ジャンルとして車載用HDDとして「EE25」シリーズ、コンパクトCE市場に向けた「LD25」シリーズの投入を行う。量産開始時期は「EE25」シリーズが2005年Q4、ほかは2005年Q3が予定されている。

 なお「EE25」シリーズは車載向けとして設計されたモデルということで、低温から高温(−30〜85度)での動作と振動(動作時2Gs)に耐える設計としているのがポイントとなる。もう1つの「LD25」シリーズは小型据え置き筐体向けに設計された2.5インチ製品で、低電流(起動時1A)/低騒音(2.7bels)さを備えるスペックが特徴となる。こちらはすでに、先日発表されたマイクロソフト「Xbox 360」(関連記事参照)への提供が決定している。

photo CE市場での新製品群。こちらは一般市場には流れないはずなので、基本的には一般店舗などでは入手できない

 デスクトップPC向けの3.5インチモデルとしては、Barracuda 7200.9シリーズを40〜500Gバイトのレンジで投入する。既存モデルとなるBarracuda 7200.8との主な差は、キャッシュメモリを一部16Mバイトとし、最大プラッタ枚数を4枚としたことなどが挙げられる。このため、500Gバイトモデルは125Gバイトプラッタを4枚搭載する。

 ノート市場向けには、2.5インチモデルでは業界初となる垂直磁気記録方式(関連記事参照)を採用するMomentus 5400.3シリーズと、こちらも業界初の提案となる、ドライブ内暗号化記録対応のMomentus 5400.2 FDE(Full Disc Encryption)を投入する。

 なお垂直磁気記録方式技術に関しては、すでに日立グローバルストレージテクノロジーズ(関連記事参照)や、東芝(関連記事参照)が同技術を採用した製品投入を発表しているが、2.5インチドライブにおいては同社が先となる。テクノロジーの垂直統合ということを考えると、いずれ3.5インチドライブでも利用されると思われるが、他社同様に小型ドライブからの採用となったようだ。

 一方のドライブ内暗号化記録技術については、昨今話題になっている情報漏洩問題において、HDDメーカーの観点で対応した製品としたことがポイントの1つである。重要なデータが入っているPCが盗難あるいは紛失したとしても、そもそもユーザーが意図することなくデータは暗号化されているために当然容易に復号化できないだけでなく、HDDユニット内でハードウェア的に暗号化を行うことは従来のソフトウェア暗号化より高データレートで行えるなどのメリットも挙げられる。barracuda 7200.9は2005年Q3、ノートPC向け製品は2006年Q1の投入となる。

photo PC市場向け製品ラインアップとそのスペック・投入時期

 最後にワールドワイドレベルでの発表という前置きで説明されたのがリテール3製品だ。3.5/2.5インチの外付けモデルとして、3.5インチモデルに80〜500Gバイト、2.5インチモデルに40〜120Gバイトのモデルを用意する。

 そしてコンパクトフラッシュサイズの1インチHDD「1.0" Photo Hard Drive」の4G・8Gバイト製品がある。日立GST、Magicstorに続く日本での市場参入に期待したいところだ。

狙いは、製造の垂直統合とその相乗効果

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