「PC業界は復活した」──IDF Fall 2005 始まるIDF Fall 2005(2/2 ページ)

» 2005年08月24日 22時46分 公開
[本田雅一,ITmedia]
前のページへ 1|2       

Meromのアーキテクチャをサーバまで展開する

 オッテリーニ氏によると、来年はじめに登場する初のデュアルコアモバイルプロセッサ「Yonah」は、Baniasに比べて消費電力あたりのパフォーマンスが2倍になるという。こうした「消費電力あたりのパフォーマンス」向上は、来年後半のモバイルプロセッサMeromでさらに進む。

 そのMeromにむけて開発される、省電力性能を重視した次世代アーキテクチャはノートPCだけでなく、現在NetBurst系プロセッサがカバーしているデスクトップ、サーバ向け製品でも採用され、デスクトップ用のConroe、サーバ向けのWoodcrestといったプロセッサに引き継がれることになる。

 以前はデスクトップ用に開発されたアーキテクチャをサーバ向けに強化したり、あるいは省電力化してモバイル用途に利用していたが、新しいアーキテクチャはそれとは逆に、モバイル向けに開発されたものがサーバにまで展開されるのである。

 MeromコアはEM64T(x86-64)やSSE3、Virtualization TechnologyなどNetBurstでサポートされていた機能をすべて内包したデュアルコアプロセッサになる予定で、これらはConroeでも適用される。Woodcrestでは、さらにデュアルプロセッサやより大きなキャッシュサイズなどのサーバ/ワークステーションで必要とされる機能が加えられる。

 オッテリーニ氏は基調講演で、実際の試作シリコンを用いたデモを行い、MeromでWindows XP 64bit-Editionが、ConroeでFedora LINUXの64ビット版が、デュアルプロセッサ構成(計4コア)のWoodcrestでWindows Server 2003が動作する様子を見せてくれた。

キーノートで行われた次世代CPUによる動作デモ。上からMerom、Conroe、Woodcrest

Meromが動いているNapaベースの評価ボード

 Meromの消費電力あたりのパフォーマンスはBaniasの3倍、Yonahの1.5倍となる見込み。整数4命令を同時に発行可能で、整数パイプラインの数も増やされるようだ。NetBurst系プロセッサと比較すると、この差はさらに広がり、消費電力あたりのパフォーマンスがConroeはNorthwoodの5倍、WoodcrestではNoconaの3倍に向上する。

オッテリーニ氏が示してくれたモバイル、デスクトップ、ワークステーションCPUにおけるそれぞれの「消費電力あたりのパフォーマンス」時系列推移

 これらの結果、デスクトップPCは65ワット、サーバは80ワットの熱設計電力に抑えられ、ノートPCも現在の超低電圧版Pentium Mと同じ5ワットの熱設計電力が適用される。また、インテルはさらに小さな“ハンドトップ”と呼ばれる超小型フォームファクタを提案したが、そのためにさらに低消費電力な、かつWindowsが動作できるプロセッサも計画している。

オッテリーニ氏が手にするのは新しい超小型フォームファクタ“ハンドトップ”のコンセプトモデル

 インテルは将来、この新アーキテクチャを基に消費電力を10分の1(0.5ワット)にしたプロセッサから、10倍のパフォーマンスを「メニーコア」で実現するプロセッサまでをスケーラブルに展開する予定だ。この計画では、各種ニーズに合わせて異なるプラットフォームを構築し、全方位的に新アーキテクチャを展開していくことになる。

途上国を中心にしたWiMAX市場の拡大

 オッテリーニ氏は、WiMAXの現状についても基調講演で触れている。

 WiMAXのトライアルを計画している通信キャリアは世界中で100を超え、その3分の2は発展途上国のキャリアだという。あまりにも広い国土のために有線によるブロードバンド普及が日本や韓国などに比べ遅れていた米国はもちろんだが、それまで目処が立っていなかった中国やインドでのブロードバンド普及に、WiMAXが大きな役割を果たすだろうとオッテリーニ氏は話す。

 途上国のブロードバンド普及は、PCのさらなる需要を喚起する可能性がある。WiMAXの普及で10億人がブロードバンドに接続される環境が出現する、と考えられているからだ。そこには大きなビジネスの可能性が横たわっている。

「途上国のユーザーに性能の低いPCで十分と考えてはいけない。台頭市場で成功を収めるには、その国の経済発展のエンジンとなり得るような優れた製品を安価に提供する必要がある」とオッテリーニ氏。

 PC市場全体を拡大するために、WiMAXへの取り組み強化を来場したデベロッパーたちに訴えた。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  5. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
  10. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー