エントリークラス「VAIO type A」のAV機能の核となるテレビ機能はアナログ地上波に対応。録画はハードウェアエンコードで行われ、高画質録画のための三次元Y/C分離、デジタルノイズリダクション、ビデオデッキからのダビング時に有効なタイムベースコレクタを備えるなど、ビデオレコーダとしての基本機能を備えている。ただし、ゴーストリダクション機能は選択できない。
Windowsを起動せずに、電源投入から短時間でテレビ視聴や録画が行えるインスタントテレビ機能も備えている。電源オンから実測値約10秒でテレビ画面が表示され、DVDメディアへの直接録画も行える。キーボード上部にテレビとDVD/CD専用操作ボタンも備えているので、リモコンが手元にないときでも、すぐにテレビを視聴できる。
もっとも、インスタント機能は微妙な位置づけでもある。例えばWindows XPでテレビ機能を使おうとした場合、スタンバイ状態から復帰してテレビ画面表示まで約15秒、休止状態からでも約23秒でテレビ画面が表示された。Windows XP上でテレビ機能を使うと多機能で快適なのもユーザーを悩ませるところだ。常にコンセントが接続されている使い方なら、未使用時にはスタンバイにしておくのが一番快適なのではないだろうか。
Windows XP上でテレビ視聴、録画などに利用するソフトはお馴染み「Do VAIO」となる。PSXや最新のスゴ録でもお馴染みのXMB(クロスメディアバー)と同様のユーザーインタフェースを採用しており、リモコンの方向ボタンと決定ボタンだけでチャネルの切替、録画番組の再生、番組表を使った録画予約などの操作が可能。もちろんPCらしく動作も速く、かつ、キーボードの操作もシンプルで快適だ。
「Do VAIO」はその操作性だけでなく、機能統合が進んでいるのも評価できるポイントだ。録画した番組のDVDメディアへのダビングまで、ほぼ「Do VAIO」で完結するようになっている。DVDへのダビング処理になった瞬間にサードパーティのソフトに切り替わり「操作性が異なる」「リモコン操作できない」といった違和感は発生しない。
すでに書込みされたDVDメディアへの追記は行えない(別の付属ソフトを使えば行える)といった制限はあるが、録画したままの画質ではDVDメディアに収まらない場合に再エンコードしてDVDメディア1枚に収める機能なども備えており、使い勝手はHDD+DVDレコーダに負けていない。
ノートPCへのテレビ機能搭載はもはや珍しくない。多機能モデルでは標準機能である。したがって機能面だけで比較してしまうと本機と肩を並べるライバルは多い。しかし、本機の魅力は機能以外の、デザインやソフトウェアに随所に見られるVAIOらしさだ。
デザインに関しては好き嫌いもあると思うが、早い時期からPCのテレビ録画機能に注力して自社製ソフト搭載していたVAIOならではの、改善を積み重ねてきたソフトが提供する使いやすいユーザーインタフェースこそが「VAIO」らしさ、といえるのかもしれない。
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