さて、指静脈認証である。ユーザーから見た使い勝手は指紋認証に近い。指紋認証では最初に指紋を登録し、OSの起動やネットワークのログインでパスワードを求められたら、センサーに指紋を読み込ませてパスワードとして認証させる。
指静脈認証も同じで、最初にユーザーの指静脈のパターンを登録する。今回評価した機材に導入されていたユーティリティでは2本の指が登録できる。これは、1つの指が不測の事態で認証作業に使えなくなった場合(別に切断!という大事故でなくても、骨折してギブスと包帯、となると内部を透かして静脈パターンを読み取ることができなくなる)、もう1つの登録パターンを使えるようにするため。これも指紋認証も同じ理屈だ。
指紋認証機能を持ったノートPCでよく使われる「スライド方式」のセンサーと異なり、FLORA Se 201の指静脈センサーは指を置くだけでよい。ただし、指の位置は正確に置かなければならず、センサーには「第一関節」の位置を合わせる矢印と「指の向き」を合わせるライトが用意されている。
今回使った登録ユーティリティでは指1つのパターンにつき5回の読み取り処理が行われる。中西氏の説明によると、これは5回読み取ることで、認証時の読み取り誤差(指をセンサーに置く位置や向きの違いで発生する)をある程度吸収するために複数のパターンを記録しておくため。だから1回読み取るごとに指を置き換えるのがベストである。しかし、ものぐさな記者は指を置いたまま「トントントン」とクリックして登録作業を終わらせてしまった。
静脈パターン(システムではパターンから読み取った“特異点”情報として保存される)の登録が終わったら、次は「指静脈認証」である。FLORA Se 201はOSの起動時に求められるログイン処理で「認証する指をセンサに置いてください」と聞いてくる。過去「指紋認証」でさんざんはじかれた記者だけに、たかが機械に指の静脈パターンを詰問されただけで緊張し、手に汗がじっとりとにじんでくる。
しかしっ、今度は最新テクノロジーの粋を集めた静脈認証だ。CEATEC2005の体験デモでも社内の評価作業でも発表会のデモでもすんなりと認証されて、「認証の早さが最大のウリだろう。この製品では0.2秒で認証できる」と日立製作所 中央研究所 知能システム研究部 研究主幹 宮武孝文氏もいっているじゃないか。勇気を出してどぉーんといってみよう。
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