俺の血管でPCが起動するっ!──日立製作所「指静脈認証」ノートPCを試してみた(3/3 ページ)

» 2005年12月15日 17時11分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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汗を拭いて曇りを拭って認証する

 記者は、先ほど登録した指を「ビシッ」と静脈センサーに押し付けた。センサーの矢印とライトで示される「位置」に正確に位置をことはいうまでもない。さぁ、さくっと認証してくれ。

 「ありゃ、認識しませんね」(中西氏)

 なんてこったい。静脈でもはねられちまったよ。記者と中西氏は一緒に頭を抱えた。「もう一度認証してもらえますか」という中西氏の指示に従って、センサーに指を押し付ける。

 「あ、このセンサーは非接触タイプなので、押し付けないほうがいいですね」というアドバイスにしたがって、今度は「ふわり」をセンサーに指を乗せる。……しかし認識せず。

 「ひょっとして、手の平に汗をかいていませんか」と中西氏。ええ、指紋認証ではねられて自分のPCが使えなくなった過去の「トラウマ」のせいか、き、緊張して手が汗でびっしょりなんであります。「汗をかくとセンサーが曇ってしまいますね」(中西氏)ということで、どうやら汗っかきの記者は「バイオメトリックス」にあまり向いていない体質らしい。

 ちなみに「あの、脂肪は影響するんですかね」「いえ、指先にはあまり脂肪はつきませんから大丈夫ですよ」ということで、「少々太り気味」な体格は問題ないそうだ。

 さあ、手を乾かしてセンサーの曇りもふき取って再度認証作業だ……。ま、まだ認識されない。

 実をいうと、この問題は、最初の登録作業で「トントントン」と指を動かさずに一気に作業を進めてしまったため、センサーに指を置いたときの位置や向きの微妙な誤差に対応できる静脈のパターンが登録されなかったのが原因だったそうだ。1回ごとに指を置きなおしてパターンを登録し、認証作業では手を乾かしてセンサーに指を置けば高い認識率を示す。これは、社内の評価だけでなく、CEATEC2005におけるデモでも示されている。

 記者は登録しておいた「もう1本」の指静脈パターンを認証させて、無事ログインすることができた。その経過は静脈認証だからといってとくに特別なものではなく、使い勝手は指紋認証と変わらない。「静脈を使う」と聞くとなにやら大掛かりのことを考えて身構えてしまうが、実際に使うと何ら気負うことなく、普通に使うことができる。

 現在、指静脈センサーを搭載するノートPCはHDDを持たない、シンクライアントタイプのFLORA Se 210のみ。センサー搭載モデルの価格が19万4250円。センサーを搭載しないモデルの価格が16万4000円となっており、「指静脈センサーの価格はその差額と思っていただければ」と中西氏は説明する。となると、それほど非現実的に高い、というわけでもない。

 小型の指静脈センサーを搭載したUSB接続機器、というアイデアも湧いてくるがその可能性について中西氏は「ふっふっふっふ」と含みを残している。

 先ほども触れたように、指紋センサー搭載ノートPCが当たり前になりつつある現在、「指静脈」センサー搭載ノートPCがFLORAでなく「Prius」で登場してもインパクトは強烈であるように思える。だが、「まずはシンクライアントPCと組み合わせた“セキュリティーPC”の構成要素として指静脈認識をアピールしたい」(中西氏)というのが日立製作所の考え。

 しかし、「Priusで指静脈センサーを載せたらインパクトがあると思いますよ」という問いかけに中西氏は「ふっふっふっふ」と応えるのであった。

記者に静脈認識方法のレクチャーをしてくれた日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ インターネットプラットフォーム事業部 事業企画室 主任技師 中西潤氏
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