正しく、そしてより効率よく──さらにかしこくなった「ATOK 2006」を試す(2/2 ページ)

» 2006年01月23日 15時18分 公開
[寺崎基生,ITmedia]
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かなり便利な日付けの入力支援機能

 メールによる連絡事項を記入するさいなど、日頃、日付けを入力する機会は非常に多い。ただしきょうが何日だったか忘れてしまっていたり、間違えてしまったりすることもある。たとえば担当編集者から「締め切り日:1月2日(月)」と記載されたメールが届く。しかし1月2日は火曜日だ。はて、本当の締め切り日は2日(火)なのか、1日(月)なのか、といった感じで、日付けの間違いはトラブルの元にもなりえる。そこで便利なのが日付入力支援機能である。

photo たとえば「あした」と入力したときの変換候補はこのような感じ。もっとも候補である確率の高い“明日”はいちばん上に、さらにその日の日付けの候補もリストアップされる

 使い方というほどでもないが、「きょう」や「あした」、「きのう」「あさって」「おととい」など、日付けに関する単語の変換を行うと、候補の中に実際の日付け文字列もリストされるという仕組みだ。たとえば「あした」を変換すると、“明日”という漢字変換候補のほかに“2006/01/10”や“2006年1月10日”、“平成18年1月10日(火)”なども候補に含まれる。なお日付け文字列は候補の先頭になることはなく、先頭に来るのは“明日”“今日”“昨日”といった候補となるため、通常の文章入力を妨げることはなく、使い勝手は良好だ。

前後の文脈を判別し、変換候補を使い分ける──変換精度の向上

 ATOKの単語の変換効率や文節に区切りなどに関して、いままで使っていたATOK 16でも不満を持っていなかった。そのためATOK 2006も、よくなったと感じられる部分には具体的には気が付かないかもしれない。これはそもそもかしこいということもあるが、不便なところを感じさせず「当たり前」に変換できるからだと思われる。この改良点に関しては、ジャストシステムのリリースを基に検証してみることにした。

 まず、「しようするさいひつようとなるのが」という文章。ATOK 16では“使用する才筆用となるのが”というように変換される結果となった。これをATOK 2006で変換してみると“使用する際必要となるのが”と一発で正しく変換された。もう1つ、「こうぞうがめにみえるようである」は、ATOK 16では“こうゾウガメに見えるようである”、ATOK 2006では“構造が目に見えるようである”。なるほどかしこい。ATOK 2006では、数多くの文章を正しく解析し、前後の文脈なども判別しつつ正しく変換してくれるようになっている。

photo 文書の構造などを判別し、連文節変換精度も向上した

 さてATOK 16では話し言葉モードとして、話し言葉、話し言葉大阪、話し言葉北海道東北、話し言葉九州、文語モードなどが搭載されていた。そして前バージョンのATOK 2005ではそれら加えて、話し言葉中部北陸、話し言葉中国四国が、ATOK2006ではさらに「話し言葉関東」が追加された。これをちょっと使ってみよう。

 「はなしにいくんべえ」という言葉を入力してみる。一般変換モードでは“話しに異訓部絵”と意味不明に変換される。これを話し言葉関東モードにすると“話しに行くんべえ”と変換されるようになる。もう1つ「このみずひやっこいねえ」も“この水ひゃっこいねえ”に、「あおなじみできちった」は“青なじみできちった”というのも間違いなく変換できた。ちなみにこれらは一般モードでは「この水百恋ねえ」「青なじみでき散った」と誤変換される。

 文章を入力する場合においてこれら話し言葉はさほど使わないかもとも思ったが、友人へのメールなどには方言でこそ入力しないまでも、くだけた口語表現にて文章を入力する機会はある。こういった話し言葉で入力する場合はとくに誤変換が多くなるものでもあるわけで、それらも補える、日本語にこだわったATOKならではの大いなる強みであると感じる。

 最後は「校正支援」機能。これは、ワープロソフトにおけるスペルチェッカー機能のようなものだと考えると分かりやすい。たとえば「食べられる」を「食べれる」といった“ら”抜き表現、「話している」を「話してる」などの“い”抜き表現といったような、文法的に誤った入力した場合などに指摘してくれる機能がある。なお普段活用しているATOK 16でもこの機能は搭載されているが、ATOK 2006ではよりパワーアップされている。この“ら”抜き表現のほかに「的を射た意見だ」を「的を得た意見だ」と入力する、「役不足」など意味を誤って使用してしまいがちな言葉など、よくある誤用に関しても正確にチェックを行い「正しくはこうでないですか?」「この言葉は誤って使用してしまいがちなので注意してください」と意見してくれる。原稿を書く場合はもちろん、ビジネス文書を作成する場合などにも、この校正支援機能によって安心して文書作成が行える。

photo 「使い方を誤りやすい表現なので注意してください」と指摘してくれる

 なおATOK 2006には通常版のほか、入力文字からそのまま引くことができる明鏡国語辞典とジーニアス英和/和英辞典が付属する「ATOK 2006[電子辞書セット]」と、学生向けの「ATOK 2006[就活応援セット]」も用意される。

photo 明鏡国語辞典の内容を確認したところ。文字入力中にそのまま辞典内の詳しい意味を確かめることができるのはかなり便利だ
photo ATOK 2006通常版、ATOK 2006[電子辞書セット]、ATOK 2006[就活応援セット]、ほか既存ユーザー向けの優待版2種類がラインアップされる

 ATOK 13ないし16いまだに使っていた筆者は、不満らしい不満を感じなかったために今までバージョンアップをしてこなかったわけだが、ATOK 2006はやはり要所要所、各々でさらにかしこくなっていた。前バージョンの不満に気が付いてしまったという気分だ。ライターという職業の筆者はもちろん、文章入力における効率が向上するという大きなメリットは、企画書やビジネス文書を日々作成する会社員にも、日記や記事を毎日執筆するブロガーにも、1日に何度もメールをやりとりする一般インターネットユーザーにも、日本語を入力するユーザー全般に適用できると思う。

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