2006年秋に投入される「Genesis」は、これら現状の問題点を解消すべく構成されるサービスとなる。従来までのノートンシリーズと大きく概念が異なる点は、多彩な“スタンドアロンソフト”の集合体ではなく、1つの統合ソフトウェアであり、個人ユーザー向けに“サービス”として提供される形態であることにある。
単体PCベースのセキュリティ対策から、エンドツーエンド(たとえば「オンライントランザクションを行うPCから、ネット経由で、コマースサイトへ」など)へセキュリティフォーカスが変化するイメージだ。上記で挙げた現状の心配点を解消でき、かつさらに容易に堅牢な、オンライントランザクションにおける対策も含めたセキュリティ対策が行えることを目的としている。
Genesisは、同じく2006年登場予定の「Windows Vista」(関連記事参照)およびXPに対応し、ノートンブランドとして投入される。料金形態は従来シリーズと同様の1年間サブスクリプション型を基本とし、OEMやプロバイダ提供型なども想定される。なおスタンドアロン型のオンライントランザクション対応ソフトも投入予定となっている。
シマンテックが考える「守るべき分野」は大きく分け、システム/PCヘルス&サポート/トランザクション/デジタルコンテンツの4つとなる。
「守るべき分野」とその概要 | |
システムセキュリティ | ウイルス対策(ノートンアンチウイルス)、ファイアウォールなど(ノートンインターネットセキュリティ)、スパイウェア検出・駆除など |
PCヘルス&サポート | リカバリ、クローン、PC最適化など |
トランザクション | ゼロアワー脅威対策を用いたコンシューマ製品の投入、金融機関や電子コマース業者と協力し、ユーザーが信頼できる利用環境を実現する |
デジタルコンテンツ | コンテンツ保護のための新たな技術や製品の投入など |
Genesisは、これらがシームレスに統合された個人向けの総合パーソナルセキュリティサービスとして展開される。主に下記のような機能を持つ。
1つのサービスとして統合されることにより、操作インタフェースも4つの保護されるべき分野とその状況が表示されるのみとなり、ユーザー側で操作もほぼ必要がなくなるようなつくりとなる。設定もあらかじめ用意され、アップデートも自動的に行われる。
トランザクションセキュリティ対策のための機能は、それに使われる個人情報をリアルタイムで保護し、高リスクのクライムウェア(キーロガーなどの犯罪性の高いプログラム)や、年々巧妙になるであろうインターネット詐欺に対する事前保護などを目的とするものとなる。
たとえば詐欺目的のWebサイトの場合は、URL分析やページ内コンテンツの分析、レイアウトの分析、サイトそのものの分析を統合的に行い、検出を行う。キーロガーなどのクライムウェアに対しても、実際に入力したデータがネット上で送られる前にそれを確認・判断し、可/不可を判別する機能を備える。
Genesisから、さらに先のロードマップで予定されるSecurity 2.0ソリューション群では、BtoC(企業対個人)/CtoC(個人どうし)のやりとりにおいて「自分がだれか、相手はだれか」をしっかり確認できる機能を備え、さらに堅牢なエンドツーエンドセキュリティ機能を提供するとしている。Webブラウザにビルトインする方法でツールを提供し、たとえば検索サイトの検索結果画面に同社による信頼度のチェック結果(格付けのようなもの)を付加するといった、閲覧前に安全なサイトかどうかをチェックできる機能を提供する。オンラインによるサポートサービスでは、たとえばバックアップ用に1Gバイトぶんのオンラインストレージを無償提供する。ストレージ機能は、容量追加を有償オプションにて用意する予定もある。
なおMicrosoftが6月から提供する、PCの保護やアップデートを自動で行うオールインワンの会員制サービス「Windows OneCare Live」と競合するのではという質問についてFreer氏は、Microsoft参入は、個人用PCにおけるセキュリティ対策の重要性を啓蒙するという意味においては大きな意味を持つとするものの、「Windows OneCare Liveは、たとえばシマンテック既存製品の機能を提供するようなものだ。Genesisはオンライントランザクション対策など昨今のニーズにも沿った機能をシームレスに統合し、追加できる。また当初は米国のみのサービスとなるWindows OneCare Liveに対し、Genesisは当初から日本を含めたワールドワイドでの展開を想定している点も異なる」と述べる。
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