ワット性能と聞くと「省電力化」と考えたくなるが、「デスクトップ向けGPUの熱設計消費電力には柔軟性があると考えている」(タマシ氏)と述べるNVIDIAは、今のところ消費電力を下げるためにワット性能を使っていない。事実、GeForce 7900 GTXの熱設計消費電力は120ワットに達し、GeForce 7800 GTXの100〜110ワットをさらに上回った。
ワット性能がGeForce 7800 GTXを上回るのに、なぜトータルの消費電力が増えてしまったのか。それはワット性能の向上でうまれた「ゆとり」をすべて性能を上げるために回してしまったからだ。GeForce 7800 GTXがコアロック430MHz、メモリクロック1.20GHzであったのに対してGeForce 7900 GTXはコアクロック650MHz(ただしバーテックスシェーダエンジンのみ700MHz)、メモリクロック1.60GHzと大幅に引き上げられている。
このため消費電力が大幅に増えてしまったのだ。スリムPCが市場の大半を占めている日本のユーザーからすれば、ワット性能が上がったのなら消費電力を下げてくれよ、と言いたいところだが、米国のユーザーが消費電力よりも性能を重視する現状を考えると致し方ないところか。
なお、GeForce 7900シリーズのラインアップは、GTXが先ほど紹介したようにコアクロック650MHz(バーテックスシェーダ700MHz)とメモリクロック1.60GHz、GeForce 7900 GTが同じくそれぞれ450MHz(バーテックスシェーダ470MHz)と1.32GHzとなっている。
これらのGPUを搭載したグラフィックスカードの実売価格はGTXで499ドルから699ドル(日本円で5万7385円から8万385円、ただし1ドルを115円で計算している)の範囲で、かつ、限りなく499ドルに近い価格になるとNVIDIAは予測している。同様にGTが249ドルから399ドル(2万8635円から4万5885円)の範囲でその中間あたりが最も多くなりそうだという。「競合他社のハイエンド製品であるRADEON X1900XTXやRADEON X1900XLなどに比べて低い価格設定になるはずだ」とのタマシ氏は述べている。
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