新しいGeForceはスリムだけどすごいんです──NVIDIAがGeForce 7900/7600を発表GPU(4/4 ページ)

» 2006年03月09日 23時00分 公開
[笠原一輝,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

普及価格帯のNVIDIA SLI対応GPUは「6600GT」から「7600GT」へ

 GeForce 7900シリーズと同時に発表された開発コード名「G73」ことGeForce 7600 GTは、NVIDIAの歴史上でも「最もヒットしたGPUとなった」(タマシ氏)GeForce 6600シリーズの後継となる。

 GeForce 7600 GTを大胆に説明するならば、GeForce 7900シリーズを半分に切ったような構成である、といえる。バーテックスシェーダユニットこそ5つ(7900は8個)だが、ピクセルシェーダユニットは12個、ROPが8個、メモリコントローラは64ビットが2つ(合計で128ビット)と、それぞれ上位モデルのちょうど半分になっている。 動作クロックはコアクロック560MHzにメモリクロック1.4GHz(ビデオメモリはGDDR3に対応。容量は256Mバイト)となっている。SLI用のコネクタを備えているのでNVIDIA SLI構成も可能だ。

 GeForce 7600 GTも90ナノプロセスルールで製造されており、ダイサイズは125平方ミリとなっている。熱設計消費電力は65〜70ワット程度で、PCI Expressグラフィックスカード用の外部電源コネクタが必要のない範囲にぎりぎり収まった。このため、グラフィックスカードに載っているクーラーユニットもGeForce 7900シリーズに比べると薄く小型になっている。

 GeForce 7600 GTを載せたグラフィックスカードの実売価格は、179ドルから229ドル(2万585円から2万6335円)あたりとNVIDIAは予測しており、これはATIのRADEON X1600 XTと競合する価格帯になる。ただし、今回の発表では、GeForce 6600シリーズであった「無印」のGeForce 7600は発表されていない。GeForce 6600シリーズでも売れ筋は無印だっただけに、無印7600のリリースも期待される。

G73ことGeForce 7600 GTのアーキテクチャ。おおむねGeForce 7900を半分にしたような構造になっている

現時点におけるGeForce 7600シリーズのラインアップ。登場するのはGTのみで無印7600はまだ姿を見せていない

ワット性能で立場が入れ替わった?ATIとNVIDIA

 GeForce 7900と7600でNVIDIAが強く強くアピールしているキーワードは「ワット性能」だ。だが、低消費電力という言葉は、これまでATIが使ってきたものだった。低消費電力を強調してきたATIはモバイルPC向けGPUでNVIDIAを常にリードしてきただけに、デスクトップ向けGPUではすっかり立場が入れ替わった印象だ。

 あるNVIDIAの関係者が、ATIのRADEON X1900シリーズをどう思うか?という質問をされていたときに「あれを見ていると、我々のNV30世代のことを思い出すね」と答えていたのが筆者には大変印象的だった。というのも、NV3xシリーズ(具体的にはGeForce FXシリーズ)は、NVIDIAにとってできれば忘れてしまいたい製品であるからだ。ピクセルシェーダの構造における基本設計を間違えてしまったため、ATIに大きな差をつけられたGPUであったと言える。

 しかし、NV30世代がGPUとして明らかにATIに差をつけられてしまっている状況でもNVIDIAがシェアを大きく落とすことはなかった。当時のNVIDIAは、マーケティングチームを総動員してさまざまな方法でブランドイメージを維持し、その結果として(若干は後退させたものの)シェアを大きく失うことはなかったのだ。

 そのNVIDIAが忘れてしまいたいNV30世代を持ち出してRADEON X1900シリーズをやゆするほど、NVIDIAの関係者はGeForce 7900に自信を持っている、このエピソードはそれを物語っているといえるだろう。

 贅肉をできるだけ落とし、軽くなった分少しでも速く回すことで高性能を実現したGeForce 7900シリーズと48ユニットのピクセルシェーダユニットとリングバスなど意欲的なアーキテクチャを採用することで最高性能を目指したRADEON X1900シリーズ。果たしてどちらのアプローチが成功したのだろうか。その結果は別途ベンチマーク記事で確認していただきたい。

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. わずか237gとスマホ並みに軽いモバイルディスプレイ! ユニークの10.5型「UQ-PM10FHDNT-GL」を試す (2024年04月25日)
  3. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  4. 「Surface Go」が“タフブック”みたいになる耐衝撃ケース サンワサプライから登場 (2024年04月24日)
  5. QualcommがPC向けSoC「Snapdragon X Plus」を発表 CPUコアを削減しつつも圧倒的なAI処理性能は維持 搭載PCは2024年中盤に登場予定 (2024年04月25日)
  6. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  7. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  10. AI PC時代の製品選び 展示会「第33回 Japan IT Week 春」で目にしたもの AI活用やDX化を推進したい企業は要注目! (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー