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» 2006年03月15日 08時48分 公開

「4倍高速」なMacBook Pro、魅力は何倍? (1/4)

インテル版Mac miniの発売も始まり、製品ラインアップの約半分がインテルCPUに移行したアップル。現在、新生Macで唯一のノートPC製品であるMacBook Proの実力と可能性を探ってみた。

[林信行,ITmedia]

 アップルコンピュータ(以下、アップル)の「MacBook Pro」は、「ついにPCから解放され自由になったインテルチップ」を搭載する最初のノート型Macだ。名前に「Pro」がつくことからもわかるように、プロフェッショナルユーザーを対象にした最初のインテルMacでもある(iMacとMac miniはあくまでもコンシューマー用だ)。この2点からも、この製品に対する注目度は大きい。アップルの公式発表では、従来のPowerBook G4に比べて“4倍高速”ということだが、果たして魅力も4倍あるのだろうか。ようやく在庫も潤沢になり始めたMacBook Proの2GHz版を数日間使った。

MacBook Pro 2GHz 今回はMacBook Pro(MA464J/A)を評価した。ほかに、1.83GHzのモデル(MA463J/A)と、2.16GHzのモデル(Apple Store専売)も購入できる。

MacBook Proの可能性は――

 結論から言うと、MacBook Proの印象はインテルMacのテレビCMの通りだ。今は「可能性を想像して」みることしかできない。というのも、インテルMacに最適化されたソフトはすでに1000本あると言われてはいるものの、まだPhotoshopをはじめ、いくつかの重要なアプリケーションが最適化されていないからだ。

 このような理由からMacBook Proの魅力は用途――とくにどんなアプリケーションを使いたいかによって大きく変わってくる。電子メールやWebブラウジング、付属の「iLife '06」の利用が中心になるユーザーなら文句なくお勧めできる。以前からMacを使っていた人は、Webブラウジングの快適さだけでもかなり満足するだろう。

 またHDV方式のハイビジョンビデオカメラを持っている人にも最適だ。これまでのPowerBook G4では4分の1の速度での取り込みが精一杯だったが、MacBook Proではほぼ等倍速(たまに4分の3速度)でキャプチャできる。この違いは単純に「4倍」という言葉では片付けられない。さらにPowerBook G4では、15fps程度でしか再生できなかったハイビジョン(720p)の動画も30fpsのフルフレームで問題なく再生できる。

720pplay,アップルが提供するハイビジョンサンプル動画「NASA Space Shuttle(720p版)を再生してみた。左はMacBook Proでほぼフルフレームで再生できている。右のPowerBook G4(1.67GHz)はフルフレームに追いつくときもあるが平均で15fpsくらいだ

 では、プロ用のビデオ編集にも即座にお勧めかというとそうとはいえない。プロ用ビデオ編集スイートの「Final Cut Studio」(とそれに含まれる「Final Cut Pro」「Motion」「DVD Studio Pro」などのソフト)は、まだインテルMacに最適化されておらず、MacBook Proでは動かないからだ。もっともこれは時間の問題で、アップルは同ソフトのインテルCPU対応版を3月中にリリースすると予告している。それが出れば状況は一変するかもしれない。しかし、アドビの「After Effect」などを多用するユーザーは、それらのソフトが最適化されるまではPowerBook G4の方がいいということになりそうだ。

 ビジネス書類の作成が中心の一般ユーザーはどうだろう。iWorkの「Pages」を使った書類作成や「Keynote」でのプレゼンテーションといった利用が中心なら、MacBook Proはかなり魅力的なマシンだ。人気アウトラインプロセッサの「OmniOutliner」やビジネスドローイングソフトの「OmniGraffle」にもUniversal Binary版(PowerPCとインテルCPUの両方に最適化されたバージョン)が出ている。

 ただし、古いプリンタなどを使っているユーザーは、インテルMacに最適化されたプリンタドライバが出ていない可能性があるので要注意だ。機種によっては汎用のプリンタドライバでとりあえず印刷できることもあるが、紙の種類が選択できない場合がある。同様の理由でDTP系ユーザーも慎重にならざるをえない。必須ソフトのPhotoshopはまだPowerPC版しかないため「Rosetta」という技術を使って動かすことになるが、これがパフォーマンスの足かせになってしまう(もちろん、本来PowerPC用につくられているソフトを、インテルMac上でまったく普通に起動し、利用できてしまう技術はすごい)。

photoshopbench Photoshopを使ったベンチマークテストの結果。画面のリサイズやぼかしなどのフィルタエフェクトを使い、PowerBook G4(1.67GHz)で約1分かかるアクションをMacBook ProやMac miniで動かし時間を計った。インテルCPU採用機はRosettaモードで動作するため結果は低い。MacBook ProはPowerBook G4の80%ほどの速度だったが、実際に手作業で操作を行う場合にはそれほど遅さは感じない

 Rosettaは、異なるCPUのしくみを模倣してその上でプログラムを動かす「エミュレーション技術」とは異なり、PowerPC用につくられたプログラムをインテル用命令に逐次翻訳し、インテルCPU上で直接実行する技術なのでスピードはそれなりに速い。とはいえ、本来4倍高速なはずのMacBook Proで、PowerBook G4の8割ほどの速度しか出ないのはくやしい。ちょっとした画像の修正などDTP的利用ならばほとんど気にならない速度差ともいえるが、高解像度の写真を複数使ったコラージュなど、かなり負荷のかかる処理をするグラフィックアーティストは、移行をもう少し待った方がいいかもしれない。一方、Microsoft Office for Macのような書類作成が中心のアプリケーションなら遅くなっていることにすら気がつかないだろう。

classic インテルCPU搭載Macでは、Classic環境用ソフトのアイコンには、起動できないことが明示するこのようなマークが表示される

 このほか、インテルMacがClassic環境に対応していないことにも注意したい。一部の作業でまだ旧Mac OS用ツールに頼っているような場合は、MacBook Proへの乗り換えを先送りすることになるだろう。


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